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不協留学  作者: 玲於奈
35/146

犯人確保

なし

「なんだろう。

 そうか。

 沢の水がないんだ!」


「太陽さん。


 いまだかつてない。」


「沢の水がない」


「私の

 史上はつうううう。」


全裸で

戸外で叫ぶ。




人生が

すべてなのだろうか。


お金が

一番大事なのだろうか。


大切な人はわたしにはいるのだろうか。


結婚、しなくては

いけないのだろうか。


昇進試験、

受けなければいけないのだろうか。



疑問形で叫ぶ。


思いのほか

気持ちがよい。








「叫ぶことは大事だと思います」


「自分のありのままを見せるのです」


「心を開放しましょう」


「叫びましょう」


「また、くまよけでもあります」


社長が自分で言って

くすっと笑っている。


叫んだ。


そして、

叫び疲れた。



社長がNHK第一を

かける


叫び疲れていたので

助かった。


たんたんとした

アナウンサーのしゃべり


何もしゃべらなくてよい

安心感。




しばらく放心していると


男女の夫婦がやってきた。


混浴の客。


よくまあここまで。

おいでなすったね。


それが私の素直な感想。




二人が

有様にあきらめて

腹をくくって

下の熱い浴槽に

入ろうとする気配を感じたので



思わず


「こちらの方がぬるいです」


と、叫んでいた。




社長は動じない。


何もしゃべらない。





成功がすべてなんですか。社長。

その人は

あなたの本当の人なんですか。社長。



夫婦がこちらにやってくる

気配を感じ


背中越しに

気配を感じるも


誰も

何も言わない。



「あああ、


 ありがたや。

 

 下の子どもと

 

 来て以来だ。」


「きっかけがなくてね。

 

 タイミングがよかった?」


お父さんの方が話しかける。



そんなにして

ここに来たかったんだね。



泣きそうになりながら

全裸で前をみながら



「よかったんじゃないですか」



それしか言えない。


NHKラジオ第一。

アナウンサーが

たんたんと

しゃべっているのが


助かった。


後で

社長が


もんもんの輩がいたり


ブラジャー姿の

若い女が入ってきたり


人生だ。


いろいろだ。


と、

着替えながら

そっと教えてくれた。


私たちは

何十年ぶりかに見えたご夫婦に

風呂をゆずった。



もうちょっと

長くはいりたかったけど・・


着替えた。


帰りの登り路で

雪にすべって

登れなかったのが、

自分では笑えた。



社長もめちゃくちゃ。わらって。


最後に一言


「じんせいですねえ」


叫んでいた自分があり

笑う自分もいて

思わず

泣きそうになりながら

雪の斜面を歩いていく。

















なし

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