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不協留学  作者: 玲於奈
33/146

人生とは・・・

なし

「俺は

 おまえの

 召使でない」


私を指さし


ありったけの力で


デスクにあったものを


両腕で


これみよがしに


すべてを

床に落とす。


キーボードやら書類など

いろんなものが

床にたたきつけられ


いいようのない音が

あたりに響く


静まり返る

フロア。


いいようのない悪意に満ちた

大声で


「今まで

 我慢してきたが

 もう限界だ。

 こんな会社辞めてやる」



何秒間であるが


ふたたび

指をさされる私。


それがスローモーションの

ようにおそろしく

ゆっくり

そして長く感じた


そして

当の本人は

怒りの形相で


フロアを

大股で歩いて

出ていく


営業からもどってきた

課員をよけようとせず


あわてて

事情を知らない課員が

身をかえす


「おいっ。

 山田。どうした」



静まりかえった

1課


皆が不安そうな目を

私に向けてくる。


起こるべくして起こった。

という目。




落ちる時は

あっという間。


これが、「まさか」という

奴か。


異様な雰囲気に

いて


それだけが

わたしが思ったことだった。




面接で

出世につまずき。


あらぬ噂の情報戦で負け。



営業成績を

上げようとやっきになり


いつも怒らないのに

激しく

叱咤激怒。


課員のモチベーションも

限界粋だったのだろう。


いつ爆発しても

おかしくない状態だった。




私の片腕といわれた

課員のなかでは

NO1の男が


会社を辞め

同業他社に移ったのは

それから

しばらくしてだった。



声が降る


「太陽さん、太陽さん」


「大丈夫ですか」


「相当、息が荒かったので

 勾配がきつかったかと・・」


道路中央。


白い白線を

ただひたすらに見

小走りに近い速さで


社長に必死に追いつこうとしていた


何かに食らいつくかのような

追いかけ。



「マラソンを

 少しばかりしていました」


「こないだも皇居の周りを

 走ったばかりで・・」


「桜が満開で綺麗でした」


それが

社長のこころに

火をつけたらしい。


わたしも少し自慢がはいって

粋がっていたかもしれない。



そして、結果。


苦しいことから

あの忘れようとしていた

苦しい出来事を

誘発した


心療内科。



通行止めで

来ることのない乗用車。


だが来る不安が

つきまとう。


心療内科。



そして

やっと意識が戻ったかのように


くまよけでかけていた

ラジオの音が


急にはっきり

意識をもって

耳障りに聞こえ始めた。








なし

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