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謝罪
なし
赤い塔の立つ
公園通りの
一角に
支社がある
いつきても偉そうな建物だ
公園がよく見える
日あたりのよい
ワンフロア
休日だというのに
何人も働いている
そのうちの
一人が
課長をみとめて
やってくる
「課長、アポはとれました」
さすが
できる男は違う
「それより、
今日、社長のお供で
ゴルフでなかったです?」
なにいいい。
本来の業務より
優先してくれたのか。
「ああ、いいんだ。
いいんだ。
少し雪もちらついて
4月なのに寒くて
ゴルフどころじゃないと
先方から断りがあったんだ。」
「それで、私が
あいていたところで
本社からの連絡。
太陽さん
名前のとおり
ラッキーですね。」
「このまま
こっちにいて
春を呼んでくださいよ。」
「東京じゃ桜
咲いているというのに
こっちは寒波ですよ」
まあなんとなく
あいそ笑いをする
たしかにこの寒さじゃ
花見どころか
外にもでるのがいやだ
「グッズは
手分けして
搬入されているようです」
さあ
先方に謝りにいきましょう
いつも
そうだが
謝ることの多い人生のような
気がする
なし




