表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不協留学  作者: 玲於奈
137/146

バッドの芯

なし

おおきな太平洋。


ここらの海は

20mほどで

急に深くなる。


火山性の山が

ひかえていて

海への

斜面の勾配が

きつくなったのか


恐るべし北海道岸



ちょうど

テトラポットのあたりが

水浸ポイントか


しかしながら

たくやさんにとっては

そこらが

絶好のポイントらしく

たくやさんは

どんどん

沖に向かって

パドリングしながら

すすんでいく


反面

私はというと


ただひたすら

「こわい」の

連鎖



しかし、ここはまだ


ひざ上の浅い海が

広がる


こわい気持ちが

つよいが

ここで

練習をする。



「ボードに乗る」

その言葉とは

うらはらに


平らなはずなのに

すべるように

うまく乗れない


野球でバットの芯に

ボールが当たって

角度をつけて

飛んでいく


それと同じように


ボードも体にピタッと

フィットして

平らに乗れる感覚。


感覚問題。


たしかに理論上は

そうなのだが・・


スキー板に固形ワックスを

塗るように

身体に板がなじんで乗れる


海への出発前


たくやさんは

クルマを止めた脇で

私が乗るボードに

ワックスを塗ってくれた


バランスがとりやすく

なるとのこと



しかしながら

浅い海で

波もないところで


ボードを静かに

浮かべているのに


乗れない


ボードの上に寝そべって

中心にのれなくて

茶色の砂浜

そして

その海中に落ちる


自転車に乗れない人が

練習でしばらくすすんで


左右にころぶ


まさにそれと同じ現象


ぜんぜんに

安定感をもつどころか

まったくのれない


こんなことで

手こずっていて


果たして

ふかい深い海が

ひかえている沖に

でられるのだろうか


昨夜の焼肉でも


波にのれずに

海中に落ちる

いやたたきつけられると

聞いた


えりこさん

痛かったらしく

さらにコンタクトもなくしたらしく

裸眼でサーフィンの

練習をしているそう


あな恐ろしや


見えない分恐怖感が

なかったのだろうか



足がつかない

ふかい海


ボードの他に

浮くものはなく


「溺れる」という


つよい不安が

しずかにわきあがる



たくやさんは

何も言わずに沖へと

向かう


すぐにその背中が

小さくなる


まずは

ボードに乗れ


無言の圧力を

感じる



このままではと

意を決して

ボードに乗るも

勢いありすぎて

派手に海中に落ちる


浜を見れば


浜辺の小高い山に

えりこさん



長望遠こそないものの


文春砲のように

海中への落下ショットを

なんまいも何枚も

おさめている

えりこさん


私のいる場所まで

10mくらいの

距離がありながら

連続したシャッター音が

聞こえるよう


急に海水を冷たく

感じる


背筋が寒くなる



えりこさん

あなたの目的はなんですか


長望遠で狙いながら

えりこさんが

笑ったような気がした。





なし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ