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不協留学  作者: 玲於奈
124/146

苗字

なし

「菅山さん、

 16時仕事終わりなんだけど」


えりこさんの

新しい旦那さんは

菅山さん


菅山たくやさん


だからえりこさんは

宮沢えりこから

菅山えりこに

変わった


女性は離婚すると

苗字が変わるから

まったく違う人みたいだ。


確かに


だいぶ前に


航空券が送られてきて


しかも、

うちに泊まれって

えりこさんは

言うので


えりこさんの

旦那さんにも

一言ご挨拶をしなければと思い

だいぶ前に

電話した時も


「おお、おお

 サーフィンも

 一緒にやろうぜ」


って言ってくれた。


「せっかく

 太陽が来たというのに

 また、波が俺を

 呼んでいる。

 なんて勘違いして

 海に向かったかあ」


えりこさん

たくやさんに

電話しかけて


「昔のこと話すんだと

 思って

 気をつかってるのかもしれない。」


「まあ、メールだけは

 しとくわ」


その言葉を聞いて


そうだそうだと

私は

思い至る


えりこさんと

同期のワンゲル女部長

みほ先輩にも見せた


夏山の工程表。


留学するからと

あわてて

寮の荷物を実家に送り


何年も

実家にそのままに

なっていた段ボール


去年

用事あって

岩手に行った時

盛岡に住む

みほ先輩に会って

それをみせたんだったけ


みほ先輩

携帯なくしたらしくて

ずっと

えりこさんと連絡とりたかったんだもんね


そんなことを

考えながら

夏山の工程表を

えりこさんに見せれば


「いやああ、

 太陽、あんた、まめだよね」


「この山のしおり

 色あせてなくて

 あのころのままでないかい」


確かに夏山行って

秋入学だから

すぐに準備はじめて

実家にももどらず

そのまま成田に行ったよなあ


だから

本当にあの時のままなんだ


と今さらながら実感


「へえええ。

 宮沢先輩や、私が

 ミーティングで

 話したこと

 全部メモしているじゃない」


書いてたかあ。

自分でも見て驚く。


本当に書いてある。


だんだん記憶が

よみがえってきてみれば


そうだそうだ


あんたたちが

一言ももらさずに

メモしとけ


そう言って

私たちに教育したんでは

ないですか


教育とは

恐ろしきものなり





なし

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