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不協留学  作者: 玲於奈
106/146

セーブ ザ アース 2

なし

「そうだ、車は

 今日中にもどすこと」


セーブ ザ アースの

緑Tシャツの言葉


突然

思い出したように

降ってくる。


そして


目の前には

ど派手な

ピンク。


デイズルークス


そして

小さい。


ご老体は

これに乗るという

正気の沙汰じゃない


ご老体を先に

お乗せするが


自身が乗るとき


Gパンがさらに

裂ける


なんてこったい


食べ過ぎか


ご老体

またもや

大笑い


「おぬし。

 デモで機動隊と

 やりやったのかな」


かっかっかっ。


せまい車内に

ご老体の快活な

笑い声がこだまする。


高い笑い声を聞きながら

思い出す



海風 吹きさぶ

荒涼とした

デモ会場


海上の建造物に

向かって叫ぶ。


「はんたーーーーあい」


「はんたあああい」


反対という日本語を

大声で言うコンテストのよう


本質がなく

叫んでいる自分


まったく朝から

都心は今日も35度越えと

聞いて


今日は海だし


半袖短パンかと

思いつつ


やはり

運動を

なめてると

思われるのがいやになり

いつもの一張羅

Gパン


日雇い労働のように

マイクロバスから

追い立てられるように降りてみれば


全く何もない空き地は


風が強すぎて

寒い寒い


そして

いちょうらの

Gパンは

ビンテージのように

派手に空いており


デモ通りすがりの

おっちゃんが


「おうおう

 機動隊と張り合ったか」


と言って笑う


抗議集会の脇で

お爺さんが

一人所在なさげ


引き込まれるように

側に行く


「じいさん、

 大丈夫か。

 ここは危ないぞ。

 家、帰れるか」


おうだか

ああだかいって


視線は定まらない


「海を見に来たんじゃ」


「わしらの海をな」



「それにしても

 じいさん、ここは危ないぜ。

 ほれ、向こうに国道がある。

 じき、警察も多くなるから。

 帰った方がいい」



「海が見たかったんじゃ」


ゆっくり立ち上がる


歩き出そうとする


「じいさん、

 どうせ、えいえいおーと

 言ってるくらいだから

 俺っち行ってやるか?」


つえをつきながら

片手をあげ


一歩ずつ

あるく老人


一人で行くという

意思表示か



「ワトソン君。

 私の正体がわかったかね」


またもや降ってくる声


せまい車内


いつの間にか

走り出した車


一路車は

レインボーブリッジを

わたって湾岸線へ

 


なし

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