既読
部屋がゆっくりと暗くなる
どこからか光が放たれ壁に映像が映る
昔の話で聞いたことがある。旧式のプロジェクターというやつだ。
叔父は最新型のものも好きだが、旧式の機械も同様に好きだった。実に叔父らしい趣味だ。
その映像にはあのメッセージ同様に叔父の姿が映し出されていた。
「ユウ、驚いただろ?これが俺の”持っているもの”だ!」
自信満々でまるで子供が自慢するようにみえる
「ハハハ!みたかったぜ!ユウの驚いた顔を!あー残念だ」
「一応な、最初のメッセージで伝えてなかったのには驚かせる以外にも理由があるんだ」
「あの形式のメッセージだと簡単に盗聴されるからな、勝手に他人に聞かれるのはひじょーに!望ましくない」
「そういうことだから二つに分けたって訳だ。それでだな」
「どうやら俺は命を狙われているらしいくてな、なおかつ次の仕事も死ぬ可能性すらある。」
「そこで俺の命も惜しいんで、社長の座を君に譲ろうと思っている。」
ちょっと待てよ。”命も惜しい”?いや、叔父さんあんた死んでるんじゃないのか?
「最初のメッセージでは、死んでるって言ったけどそれはフェイクだ。他のやつを騙すためにな」
「それにお前に無理やりにでも来て欲しかったってのもある。」
死んでないと聞いて安心したのだが、だんだんと騙されていたことに対する怒りが沸いてきた。
なにせ店をほっぽりだして、この大都会までつれてこられたからだ。
「ベティに社長を任せるってのも考えたんだがな。後々のことを考えると、ユウ、お前にやって欲しかったんだ。」
「この会社でやっていることは、他のPMCとさほど変わらない。だがな」
「お前の親父でもある、シンジ兄さんが関係することでもあるんだ」
父さんが?ただのエンジニアだったはず・・・。軍事会社に関係あるとしたら・・・。
「まぁ、詳しくはあとから説明する。ベティにはこの後のことは全部任せてあるからベティにしばらくは従ってくれ。」
「なお、俺の居場所はトップシークレット☆だから内緒だぜ!」
「じゃあな!」
そう元気よくいって、映像は終わった。