下書き
最上階ということは、社長室かなにかだろうと思っていたが、想像よりも派手ではなく
シンプルだが洗礼されたデザインで落ち着いたような雰囲気だった。
両脇には軽装備の警備員らしき女性が2人立っていた。
全身をオーグメント化しているのか、露出した腕からは合金製の肌が見えた。
こちらには全く警戒して無い様子ではあったが、下手な行動をとればいつでも無力化する
といわんばかりだった。
ベティさんは社長室のドアを開けると中に入るように促した
僕は恐る恐る入ってみたが中には想像と違い、誰もいなかった。
「あれ?社長さんは?」
「ん?メッセージは見たでしょう?」
「見ました・・・けど」
「あれ?じゃあ伝えてなかったのかしら」
ベティさんは不思議そうに両腕を抱える
「どういうことですか・・・?」
「あなたの叔父のキシマ・ゴウジがこの会社、P.A.M.Cの社長なのよ」
まさかだとは思っていたがそのまさかだった。
サーメットだと聞いてPMCに関連するものだとは予想してはいたが、まさか
自分の叔父がサーメットのPMC社長を勤めているとは思いもしなかった。
「あの、叔父が・・・?」
「あら?やっぱり伝えてなかったのね、あの人」
「ということは・・・・。まさかですけど、この会社を・・・。」
冷や汗がいっきに溢れでてきた。
「察しがいいわね。そうよ、彼はあなたにこの会社を譲ると言っていたわ」
「・・・マジですか。」
「おおマジよ。まぁどうするかはあなた次第だけど」
田舎のさえない修理工が今や大都会のPMCの社長だなんて。
とんだシンデレラだと自分の心の中で皮肉った。
「まぁ、いきなり言われて驚くのも無理はないわよね」
「でも、どうするか決める前に先ずはこれを見て頂戴。」
そういって彼女は端末を操作した。