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「そういえば、今どこへ向かってるんですか?」
「あなたの居たリ・ナック諸島を出て、首都のサーメットへ飛んでいます。」
「・・・サーメット。」
正直サーメットと聞いていい印象は持たなかった。
サーメット。実際に行ったことはないがレスタニアの一番大きな街で大多数の企業の本社があり、それを囲うように人や商人が集まっている。
技術の進歩により、医療と軍事は瞬く間に発展し、それにともない民間軍事会社の需要も増えた。
最先端技術を求めて数多くの企業がサーメットに集まり、それがまた技術の進歩を助長させている。
サーメットに存在する企業の半分以上は民間軍事会社で、住民の多くは傭兵かまたはその社員である。
それにつられて多くの商業施設もでき、今は大都市にまで成長をとげている。
最近では、他国からの移民や敗戦国からの難民受け入れで大きく荒れている。
移民に伴い、肥大化していく組織犯罪が問題になり、他国からの移民に対する差別も起きている。
「行ったことありますか?」
「・・・。ない・・・かな。」
「そうですか。」
「・・・。」
無言がしばらく続いた。
景色は変わらず海だった。
30分もたっただろうか、彼女は無言を破った。
「そろそろつきますよ」
そういわれてふと顔を上げると遠方のほうにビル郡が見えた。
彼女は高度を落とし、一般道へと合流した。
田舎では決してみることのないような街並みが並ぶ
道路は車両でごったがえし、彼女はその隙間をぬうように進んでいく。
歩道ではみたこともないような人種の人間が闊歩している。服装も多種多様で職業が一見わからないような服装の人もいた。
昼間から飲んだくれている人もいるようで、足元がおぼつかない様子だ。
その前を銃を装備した兵士が3人、酔っ払いに向かって歩いていく。
どうやら酔っ払いに対し注意を行っているようだ。PMC(民間軍事会社)が多数を占めるこの街では、自治もPMCが行っているようだ。
周りが高層ビルに囲まれていることに気づいた。
いつのまにかPMCの本社ビル地帯にきていた。
大抵のPMCの本社ビルには自社ないに広大な敷地を持つ。
自社製の訓練場があるようで、周りは高い塀で囲まれている。
だんだんと速度が落ちていく。
どうやらその中の1社の目の前に停まるようだ。
まさかとは思ったが本当にPMCの本社に来るとは
彼女は停止させると、ヘルメットを脱ぎ、バイクのようなものから降りた。
「ヘルメット、脱いでください」
そういって僕に右手を差し出す。
僕はすぐに脱いで渡すと
「私はこれからコレを停めてきますので、どうぞお先に」
そう言われ、黙って建物に入るようにした。
ビルは他よりも低いぐらいで、目立った様子はない。
他と比べると敷地も狭いようだ。
中に入るとスーツを着て、メガネを付けた巨乳のお姉さんが出迎えてくれた。
「ようこそ、P.A.M.Cへ」