「も」。
小夏たちを見送って寝室に上がるなり、
ドレスを着たままサチがベッドで駄々をこね始める。
「ああー帰っちゃったよー。寂しいよぉー」
「俺がいるじゃないか」
「うわぁーん! 小さくないよー。柔らかくないよー。いい匂いしないよー」
「頑張る」
「どうやって!?」
サチは、はあと息を吐いてベッドから身体を起こすと、
「お風呂入ろ」と立ち上がった。
「え?」
「ん?」
「お風呂入るの?」
「うん」
「それ脱いじゃうの?」
「そりゃ、お風呂入るからね」
「いや、できれば脱がない方向で」
「でも、もう寝る方向で」
「脱がない方向で、しかしベッドには入る方向で」
「言ってる意味がよくわからない方向で」
「昨日も寸止めくらって、すでにフンフンハァハァな方向で」
「ではDVDでも見てフンフンハァハァしてもらう方向で」
「さっちゃんのおっぱいが見たい方向で」
「……一気にフィルターとっぱらったな、おい」
そう言うとサチはあきれた様子で、ベッドの脇にすとんと腰を下ろした。
「妊娠しても変化のない、粗末な胸ですけどいいのですか?」
「まだ気にしてんの? 俺、貧乳属性もあるから大丈夫だよ」
「貧乳言うな。『も』って何だ」
「いい子だから静かにしてね」
頭をなで、前から抱きしめると、うなじの辺りに唇でかぶりつく。
んっ、とこらえたようなサチのかわいらしい声に理性が溶ける。
「その……強くしちゃダメだからね」
「わかってる」
今日は先に目一杯甘い声をあげさせてやろうと考えながら、
ゆっくりとサチをベッドの上に押し倒した。