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吸血鬼には白い百合の花を!  作者: 夕風清涼
2/20

祖父の血を受け継ぐ者

…………………

………………

…………


『はっ!?…ここは?…私………どうして?』


目を開けると白い天井に蛍光灯が光を注いでいた、まるで聖なる光のように…


『気が付きましたか?沙也架………』


ベッドの横で丸椅子に座り、ケンさんは私を見つめていた。


『あっ!…仕事しなきゃ……』


こんなベッドに寝てる訳にはいかない、今日は大事なお客様が来るのだ!私は慌てて飛び起きようとした。


『NO!沙也架!もう少し寝ていなさい!…まだ、あなたの精気は回復していない!…仕事なら、代理の方がしてくれていますから、心配ないです!』


少し落ち着きを取り戻した私は、また呆然と天井を見つめた。


『ケンさん?………あれって…夢でも、ドッキリでもないですよね………』


まだ私の耳の中にあの女性の悲鳴が木霊している。


『YES!…エリザベールは紛れもなくヴァンパイアです!…私とブラッドが40年前にルーマニアで神の裁きを下した吸血鬼です!…その時は樫の木で作ったボウガンの矢で心臓を撃ち抜いたはずなのですが…また蘇ってたという事はノスフェラトゥが復活した証拠です!』


正直、私はホラーやオカルトの類いはかなり苦手で、吸血鬼といってもテーマパークのショーで得た知識ぐらいしかなかった。


『吸血鬼ってドラキュラしか知らないんです…十字架やニンニク、太陽光が嫌い…美女の生き血を鋭い牙で吸い尽くすくらいの……』


ケンさんは先ほどとは違い慈愛に満ちた表情で私の言葉に耳を傾けてくれていた。


『沙也架…ある部分はgood!正解ですが、かなり小説と混同していますね、元々ドラキュラとは15世紀のトランシルバニアに実在した《ウラド・ツェペシュ》公をモデルにした名前なんですよ、実際に吸血鬼ではありませんし、トランシルバニアにはそんな伝説すらありません!』


私はいまいち理解に苦しんだ、じゃあどうしてヴァンパイアが実在してるの?……


『まぁ、今のドラキュラについては名前の経緯を説明しただけです、ただ…今、沙也架が経験したように吸血鬼は表には出ていませんが、実在しています!唯一バチカンで見つかった古い書籍に名前が記載されていました、ドラキュラとではなく、ノスフェラトゥと………』


『ノスフェラトゥ!…………それが吸血鬼のボス?』


『YES!…私とブラッドが長年追いかけている悪魔の申し子!世界中に疫病を撒き自らの力で僕を作り、この世にヴァンパイアの帝国を築こうとする魔物…沙也架の両親の仇です…』


ケンさんの目を見ていれば今までの事は冗談ではないのが解る、しかしヴァンパイアの話しをされても私にはどうする事も出来ないと思うのだが………


『で………ケンさんはヴァンパイアから私を守りに来てくれたの?……両親のように私がならない為に?…』


『それも理由の一つですが、沙也架…あなたはブラッドと同じ目を持っている!金銀妖瞳を…あなたは大天使ガブリエルに見込まれた人なのです…率直に言います!…沙也架!神とお祖父様の意思を継ぎ、暗黒の住人を地獄の底に送り返してもらえませんか?…』


!!!ちょっと待って下さいよ!おじさん!…私は普通に産まれて普通に幼稚園に行って小中高とノホホンと人生を送ってようやく花の女子大生になったのに、いきなり現れて吸血鬼と戦えって、そりゃ命綱無しでバンジージャンプするのと同じくらいに無謀ってもんですよ!!


『私がヴァンパイアハンターですか!?……会った事もないお祖父様の意思を継いで?…そんなの、普通の女子大生の私が~……無理無理無理無理無理無理無理無理無理!はぁ、はぁ…ぜ~~~~ったい!無理無理無理無理!』


私は心の底から拒否をした、ただでさえ心霊番組をしていたらすぐにチャンネル変える私ですよ!…そんな私がリアで吸血鬼と対峙するなんて考えただけでも、核シェルターに入って引きこもりのニートになりますよ!


『沙也架…あなたもすでに解ってるはずだ…普通の人間が単に十字を切ったところでエリザベールには蚊ほども感じない!しかし、沙也架が十字を切っただけであのように苦しんだ!やはりあなたには脈々と大天使ガブリエルの力とお祖父様の意思が身体に流れているのです!目覚めなさい!沙也架!』


そんな格好いい事言っても無理は無理!理由はただ1つ!《恐い!》それにつきます!


『い……嫌ですよ!……ヴァンパイアなんて化け物……私なんか、みすみす殺されちゃいますよ…そんな事の為に、私の命を失いたくない!』


私だってか弱い乙女です!恐いものは恐い!相手が人間ならまだしも、魔物だと聞いて燃え上がるのはゲームのキャラか冒険活劇の勇者だけだって!ここは何としてでもケンさんにノスフェラトゥと対決してもらわなくては!!かなり年配で年金生活の勇者みたいだけど……私よりはマシよ!


『やっぱり…私には無理です……ケンさんのほうがヴァンパイアには詳しいし………それに、お祖父様は男で私は女です……体力も持久力も全然違いますから、こんな私よりもケンさんのほうがたくましいですし……』


こんな事で女を出すのはズルいかも…なんて思うかも知れないけど、世の女性が私と同じ状況になれば絶対同じ事を言うはず!それにか弱い女の子にヴァンパイアと戦えって言うケンさんも酷いと思うのよ!


『しかし…沙也架…もう手遅れかも知れない………』


ケンさんが意味深なセリフを言った直後、医務室の外が騒がしくなっている。


♪コン♪コン♪


外のざわめきに混じれて医務室のドアが鳴った!


『ねぇ?大丈夫?…ブースで倒れたって聞いたから、慌てて見に来たの…』


優香がドアから不安そうな顔を出し、中を覗き込んだ。


『ごめんね、心配かけちゃって…もう大丈夫だから!』


私の笑顔を見て安堵する優香にケンさんは外の様子を聞いた。


『お嬢さん、外が騒がしいですが何かあったのですか?……』


『えっ!?…あれ?…………あの?……』


外国のおじ様に声をかけられた優香は一瞬どぎまぎした。


『優香、通訳者のケンさん!…私が倒れた時に介抱してくれたの…』


優香は軽くケンさんに頭を下げると外の様子を話しだした。


『それが、沙也架が倒れたブースで一枚の絵が消えたって大騒ぎなのよ!』


『!!……盗まれたの?』


『う~~~ん…絵はあるのよ…額縁も…でも、肖像画の人だけが消えて背景だけは残ってるの……変でしょ?……絵の人が抜け出したとしか思えないのよ…』


私とケンさんは顔を見合わせた、胸の奥で不吉なざわめきが始まった。


『ま、とりあえず元気そうで安心したわ!私は会場整理しなきゃいけないから、もう行くね!』


優香は軽く私に軽く手を振り医務室から出て行った。


『エリザベール…………』


ケンさんはまたスーツの右ポケットに手を入れて、険しい表情に変わった。


『あの……ケンさん…さっきの…手遅れって………その……大体想像はつくんですが……』


『YES!…沙也架の想像通り、ヤツは神の力を恐れ逃亡した……まだこの敷地内に居るはず!太陽の光の入らない場所で息を潜めている…犠牲者が出る前に何とかしなくては!』


ケンさんはたくましくグッと顔を強ばらせ戦いのテンションを上げているように見えた。


どうぞお気をつけていってらっしゃいませ!………


その言葉が出そうになる前にケンさんが私に言った!


『エリザベールが逃げ出した事で沙也架の存在はノスフェラトゥにも伝わったかもしれん………沙也架…こんな事に巻き込んだ私を許してほしい…しかし、多くの人々の為…ヴァンパイアと戦ってほしい…自分の命を守る為にも……』


……う~~~ん、なかなかリアルな夢だわ!消えた絵画にヴァンパイア…で、外国人のおじさまに誘われて、私はヴァンパイアを退治する神の力を持つハンター……なかなか愉快な夢だけど、そろそろ目覚まし時計が鳴ってもいいですよ~~!私を起こしてくださ~~い!


『さっ!エリザベールを探しに行きましょう!…沙也架!…犠牲者が出ないうちに!…』


ケンさんは私の腕をギュッと握り、医務室の外へ出ようとした。


(げっ!?…腕が痛い!夢なのになんで腕が痛いのよ………嘘…でしょ?………これって本当に…リアなの!?)


ちょっと!ちょっとちょっと!…さっきまで白眼むいて倒れてた私にヴァンパイアを探すなんて、おじさん!あんまりじゃなくって~!


『私には無理ですって!ケンさんのほうが強いに決まってますから!……手を離して下さい!…嫌っ!』


私はパニクりながらも注射を嫌がる子供のようにだだをこね必死に抵抗した。


『NO、沙也架…さっきも言ったように手遅れです…あなたはヴァンパイアハンターとして一両日中にその名前は世界中の吸血鬼に広がる……もはや、逃げも隠れも出来ない…私と共にヴァンパイアを地獄の底に落とすか、私達がヤツらの生け贄にされるか…選択肢は2つに1つです…』


あ~~~ん!お願い、お願い!腕の痛みは単なる寝違いって事で、早く目覚まし時計さん、私をこの悪夢から呼び覚まして下さいませ~!


『もう前に進むしかありません、沙也架…私の命に代えてもあなたをサポートします!勇気を出して下さい…』


『ひっく……ひっく……ふ…あぁ~~~ん…うぇ~~ん!!』


昨日まで普通の女子大生だった私が今日から世界中の吸血鬼に狙われるなんて、こんな事ってありますか!押し寄せる恐怖に私は幼児のように思い切り泣きじゃくった、ケンさんは私が落ち着くまでずっと背中をポンポンと叩き慰めてくれていた。


『恐れる事はない!沙也架‥君にはお祖父様から頂いたヴァンパイアハンターの血と勇気がある‥それに君は大天使ガブリエル様の力を得る瞳も持っている‥恐れるな‥神より選ばれし子‥十文字沙也架‥‥』


なんだろ?その言葉‥とても懐かしい‥小さい頃、同じようにお母さんから聞いた‥‥


私がこの瞳のせいでいじめられて泣いて帰るといつもお母さんが抱き締めてくれて言った言葉だ‥。


(!!!お母さん、もしかしてお祖父様の事を知ってたんだ!‥そして私の運命も予見していた‥‥)


母は自分の父親がヴァンパイアハンターだと知っていたに違いなかった、しかし私に危害が来ないようにする為に、敢えてお祖父様は行方不明としていた事にようやく気が付いた。


(お母さん…お父さん………)


なぜだろう……今、お父さんとお母さんの声が聞こえたように思えた…子供の頃いつも日曜日になると色々な所に連れ出してくれたお父さん………いつも何かあればすぐ話しをして助けてくれたお母さん……大好きだった2人はもうこの世のどこにも居ない…。


『沙也架…もう1つ言っておく事がある…どうして私が焦っているのかを説明しておく!ヴァンパイアに殺された者の魂は地獄にも天国にも行けず、この世でさ迷う…新たなヴァンパイアとなって…まるで伝染病のように…』


『そんな!まるでウイルスじゃないですか!!…だったら余計に私1人じゃどうする事も出来ませんよ!……』


例え私がワクチンだったとしても、一本じゃどうする事も出来ませんよ!従業員2人の商店がワールドマーケットに勝負を挑むなんて無謀じゃなくて暴挙です!


『1つだけ方法はあるんだ沙也架!女王蜂を見つけて排除する!そうすれば連鎖的にその女王蜂と関連するヴァンパイアは力を失い魂は救われる!』


なるほど!それはとっても名案!…て事は……ちょっと待って下さいな!……私はいつもステージボスキャラとリセットも出来ない闘いをするって事じゃない!


『あの……ケンさん!…私…絵とにらめっこしただけで、ひっくり返ったんですが……そんな私が本当に闘えるって思ってるの?……』


正々堂々と私はここで宣言します!《私!150%闘えません!》


『その点については私に任せてほしい!沙也架!時間がない!もう悠長な事をしている暇はない!エリザベールを早く探しに行かなくては!』


ケンさんは私の腕を引っ張りベッドから降ろすとポケットの中からゴールドの十字架を手渡してくれた。


『……これは?…十字架?……』


手のひらにずっしりと重みのある黄金の十字架を私は見つめた、かなりの年期が入った十字架だが、それを持った瞬間に手のひらから不思議な力が体内に染み込むような気がした。


『御守りです、これを常に首から下げていて下さい!これは唯一、沙也架のお祖父様の形見です!必ずこの十字架はあなたを守ってくれるはず!…さぁ、首にかけなさい!』


十字架自体も結構重いが金のチェーンもそれなりに重さがあり、慣れるまでに少々時間がかかりそうだった。


『もう…どうする事も出来ないんですよね?……ヴァンパイアと闘うか……そのままヴァンパイアに襲われるか…それしか私には選択肢が無いんですよね?…』


首に下げている十字架から温かい熱気が胸元から伝わると不思議と私の中で勇気が湧いてくる。


戦って負けても殺される、そのままでも殺される!……解ったわよ!…だったら徹底的にあがいてやるわ!女子大生舐めんじゃないわよ!


『ケンさん…さっきの話しだけど…お父さんもお母さんもヴァンパイアにやられたなら、魂はまだここに残ってるのね?…』


『YES!…ご両親の魂を浄化出来るのは、世界でただ一人のヴァンパイアハンター沙也架だけ!!ご両親の為にも世界中でさまよう汚れた魂をどうか救って下さい!大天使ガブリエル様の子…沙也架!』


何だか大変すぎる事態になった気がする…昨日まではポテトチップを食べながらヘラヘラとテレビを観て笑っていた頃が、とっても懐かしく思えてくる……


『行きましょう!沙也架!……神のご加護を!』


ケンさんに手を引かれ医務室を出る、やはり廊下は関係者で騒然としていた、そりゃぁそうでしょうね…絵はあるけど人物は消えてる!盗まれた訳でもなく一応絵画として展示はされてある!…警察を呼ぶべきか?美術鑑定士を呼ぶべきか?…そんな事で皆さんは頭を抱えているみたいです…。


『あの?…ケンさん?その…エリザ何とかを探すって…全ブースを探すの?……』


各ブースを繋ぐ通路を歩きながら周りの様子を私は見渡していた、来賓にはとりあえず肖像画ブースは観覧中止にするようで、他のブースを観覧してもらうみたいだった。


『ケンさん…大変な事になりましたね!…あの絵を出展した国の人、どんな顔するでしょうね…』


『それは、この主催者側と話し合ってもらいましょう!私達はエリザベールを探す事に専念しましょう!』


それもそうなんだけど…一体、ケンさんはどこに向かってるのか、さっぱり解りません。


彫刻ブースを抜け、更に通路を真っ直ぐ行くと私の受け持ち場、肖像画ブースの入口に辿り着く、当然あの騒ぎなんだから入口にはロープの柵が置かれ、誰も入れないようにされていた。


(あ~あ…もったいないな~!)


ブースの入口横には来賓の皆様を歓迎するように花のオブジェを飾っていたのだが、今回の事件で無用になりそうだった。


(せっかくだから一本貰っておこうかな?一本なら怒られないだろうし~)


もしかしたら、これが私の人生にとって最後のお花になるかも…うぅっ!…どうせなら大きい花びらのやつを頂戴いたします~。


私は白い百合の花をオブジェから抜き取り、胸ポケットに差し込んだ。


『沙也架……それはリリーの花ですね?…』


『はい!白くて大きいから格好いいでしょ?』


『大きいですが……その花は西洋ではよくお葬式に使われますよ!…』


えっ!?ケンさん!やな事言わないでよ!…せっかく大きくて格好いいと思って重い雰囲気の中、少し気分を落ち着かせようとしてたのに、よりによってお葬式の言葉なんか出しますか?まぁ、最悪は私の為の献花にさせていただきます……。


『ここからは立ち入り禁止となると…沙也架、この建物の裏口に周りましょう!そこから地下の区画に向かいます!……』


『えっ!?…地下ですか?…この建物に?』


目をぐるりと時計回りに回し、建物の屋根からブースの入口までを見渡す、確かに大きな建物だが地下があるとは思ってもいなかった。


『このような大きなイベント会場には、配電室やボイラー室が完備されていて、大概は地下にあるのです!…そう、地下なら太陽の光を浴びなくてすみます…後は夜になるのを待っていればいい…』


それはつまり…絵の中の人…エリザ何とかは…地下に隠れてるって事なんでしょうね…暗くてせま~い場所に身を潜めてるのね……殺虫剤でシューーッて倒せないかな?


『では、裏の通用口から行きます!沙也架、しっかりついて来て下さい!』


ケンさんは会場の外壁に沿って建物の様子を伺いながら通用口へと歩き出す。


アァ~~ン!やっぱり行くんだ…これで私のライフワークも終わるかも…………今から楽しかった人生振り返っておこう………………………………………怖くて何も思い出せない……………あっ!一昨日食べた、たこ焼き美味しかったな!………………げっ!?こんな事になるなら、もっと色々食べときゃ良かった~!…チーズケーキにパスタにピザに苺パフェにフライドチキンにカレーライス…………もしかして…私の人生最後の美味しい~♪って食べたのが……たこ焼き?………たこ焼きで人生に幕を閉じるの?………もし!私が天国に行って神様に『最後の晩餐は何を食べましたか?』と聞かれたら、『はい!たこ焼きです!』って言わなきゃいけないんだ!………………楽しいどころか悲しくなってきた……


ますます気分を凹ましながら私はケンさんの後をトボトボとついていくうちに、ケンさんは通用口の前で立ち止まった。


『沙也架、ここですね!……ふぅ~~~っ……では、準備を始めます!』


ケンさんはアルミ素材の軽くてじょうぶそうな扉の前で深呼吸をし、スーツの上着のボタンを外すと内側のポケットから小型拳銃を取り出した。


(ピ!………ピストル!!!この状況じゃ、モデルガンじゃないわよね!!……本物!?……何でこんな物持ってるのに、日本へ入国出来るのよ!!)


まるで刑事ドラマさらながらにケンさんは怖い表情になりピストルを構え、扉の前で何やら祈りを捧げている。


静かに緊張感が張り詰め、私はジッとケンさんを見つめていた。


『沙也架、このGUNには銀の弾丸が装填されている、銀はヴァンパイアに致命傷を与える事が出来る!ただし、上級クラスのヴァンパイアには効果が無い時もあるが、エリザベールのような中級ヴァンパイアには効くかも知れない…』


へぇ~~…ヴァンパイアの世界も人間と同じ縦社会なんですね~…ちょっと親近感が出るわ……


『沙也架には、さっき渡した十字架とこれを!……』


ケンさんはもう片方の内ポケットから小さな小瓶を私に手渡した。


『??香水の瓶??』


『NO!その中身は聖水だ…いざという時はそれをヴァンパイアにかけるんだ!』


……どこかでカメラが回ってる?…私、いつしかホラー映画の主人公にされてる気がしますけども……どなたか脚本あるなら下さいな!!


『Are・you・ready?…沙也架?』


『イ…YES!…私、レディーです!』


心臓が破裂するほど私は緊張していた、また意識がふわふわと消えそうになるのを我慢しながら、ケンさんの後ろに立ちすくんだ。


『Let's go!…扉を開けます!』


ケンさんはゆっくりと扉のノブを回した。

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