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吸血鬼には白い百合の花を!  作者: 夕風清涼
13/20

◇5

『ケンさんが言うって事は、国…いや!インターポール加盟国も認めてるって事ですな……ワシのような一介の公務員がとやかく言える立場やおまへんな……』


松本さんはトランクの中に右手を入れると何かを掴み、私達の目の前に差し出す。


『!!!本部長!!!沙也架ちゃんは一般市民ですよ!!!違法じゃないですか!!!』


松本さんは私の目の前に小型拳銃を置いた。


『特例だよ……日本国……いや……世界規模での処置だ……』


私の前には京子ちゃんが所持するマグナムとは違い、手のひらサイズのオートマチック銃が黒い光沢を輝かせ横たわっていた。


『これはワルサーPPK…アメリカ版とは違い、ヨーロッパ仕様タイプだ…お姉ちゃんの可愛い手にはピッタリ合うやろ…早川のパイソンと比べ口径も小さいから殺傷能力は低いが、身を守るには十分や!それに、銃弾は早川と同じやつやからヴァンパイアと戦うにも有効や!』


『ワ…………ワルサーPPK………』


ワルサーってあの大泥棒の愛用銃しか知らなかったけど、こんなタイプもあったんだ…


『わ…私…銃なんて持った事もない……』


『沙也架、さっきも言ったが銃の扱い方はロバートが教えてくれる!京子と2人でしっかりと銃をmasterしてくれ!』


ワルサーとパイソンマグナム‥二丁の拳銃を私達はぼんやりと見つめていた。


『で、後はこれや!これについてはお姉ちゃんは説明いらんやろ?ケンさんもこのバッチ持ってるはずやから!ちゃんとお姉ちゃんの名前も入っとるで~!‥ほら、早川!お前の分もや!』


大阪に向かう新幹線の中でケンさんが私に見せてくれたバッチだ!


『本部長?‥‥このバッチは?‥初めて見ますが‥‥』


『あぁ、早川は知らんかったな!すまん、すまん!‥まぁ簡単に言うたら、パスポート無しで国連加盟国なら堂々と拳銃を所持したまま飛行機乗れて、世界中の警察に水面下で協力要請出来るバッチや!』


『そ‥‥そんな凄いバッチなんですか!!!それを‥うちが持つんですか!‥‥えらい重圧やわ‥‥』


『わ‥‥‥‥私も‥凄く責任感を感じます‥‥‥‥』


《はぁ~~~~‥‥》


私と京子ちゃんはバッチを手にすると同時に、深いため息を漏らした。


『なんや、なんや!バッチを持っただけでびびってどないするんや!許されるんやったら、ワシが欲しいくらいやのに!もう後戻りは出来んねやさかい、シャキッとせんかい!』


《は…はい!》


まさか、まさか私も銃を持つなんて事になってしまうとは、たった数日でこんなにも私の人生が変わっちゃうなんてアリ?…拳銃を持つ女子大生!笑うしかありません……。


『今日は沙也架も京子も疲れただろ?本格的な訓練は明日からにして宿舎で休むといい!ホテルまでは折野君が送ってくれるそうだから、庁舎の玄関先で待っておくといいから!』


ケンさんは軽く私達に手を振ると静かに部屋から出て行った。


『あの……本部長?銃はもう携帯しなければなりませんか?明日から訓練が始まるなら、今日はそのまま保管しておいてもらえますか?』


『そやな……お姉ちゃんはまだ銃のいろはも解らんから預かっても構わんが…お前は警護が任務やさかいな………あぁっ!そや!…このワルサーを借りとき!オートマチック銃はお前も学校で学んで知っとるやろ?』


『それは…心得ていますが……』


『よし!ほんなら明日までお前がワルサーを携帯しとけ!お姉ちゃん?別にかまへんやろ?』


『そ……そりゃ、私が携帯するより遥かに安心出来ます!』


『と言う事やから、早川!明日まで彼氏やと思ってお前の可愛い胸でしっかりワルサーを抱き締めとけよ!…がはははっ!』


(オッサン!それってセクハラになるんじゃ?)


京子ちゃんは松本さんの言葉を完全無視しながら、ワルサーを手にすると、何かのレバーを上げてグリップのボタンを押すと下から細長いケースみたいなのが下から滑り出した。


『沙也架ちゃん、よく見といてや!拳銃が弾切れになったら、今の手順でマガジンを出して弾を補充するねん…‥とりあえずこの聖水が入った弾を装填するね!』


弾丸が詰め込まれた箱を京子ちゃんは手元で開けると、一発・一発と私が見ても解るように銃弾をマガジンに押し込んでいく。


『‥これで弾込めは完了!後はこのマガジンを元の場所にしっかり押し込んで‥‥‥』


♪ガチャッ!!


銃からマガジンがロックされた音が聞こえた。


『ここまでは解る?…』


『はい!大丈夫です!』


『OK!ほんなら、銃の右側にある穴あるやろ?これは撃った後に自動的に薬莢が飛び出す穴やねん!…ちょっと穴を覗いてみ!』


京子ちゃんは銃を私に近づけて穴から銃の中を見せてくれる。


『あっ!中に銃弾がみえます!』


『で、後はこの銃の上の部品やけどスライドって言うて、名前の通り……こうしてちょっと後ろに引いて手を離すと……』


♪ガシャッ!!


まるで引っ張られた輪ゴムが元に戻るようにスライドは最初の位置に帰り銃の形になった。


『これで弾込めは完了!後は左側の安全装置を入れて引き金を引くだけ!…ちょうど目の前にええ標的があるさかい、試し撃ちしてみよか?』


京子ちゃんはニヤリと笑い松本さんにワルサーを向けた。


『こらーーーっ!お前警官やろ!やっていい冗談と悪い冗談あるわ!』


『どうせ模擬弾やし、当たっても制服濡れるだけでしょ?…本部長!さっきまでの恨み晴らさせてもらいます!』


(わ~~い♪やっちゃえ!やっちゃえ!)


『こらっ!早川だけに早まるな!‥ワシお前の上司やぞ!なっ?‥銃をしまいなさい!‥なぁ!お姉ちゃんも笑ってやんと何とか言うたって!』


『はい!…あ~~~♪あ~~~!京子ちゃん!あなたは完全に包囲されている!大人しく………』


『こら~~!包囲されてない!ワシと早川オンリーで御対面中や!!』


松本さんは条件反射か両手を挙げて京子ちゃんをなだすかしている。


『本部長…うち…請求書の話し…本気で泣きそうになったんです……乙女を虐めた報いはちゃんと受けて下さい!』


『解った!解ったから銃をしまってくれ!…お姉ちゃんも笑ってやんと、幼気いたいけなオッチャンを助けて~!』


♪コンッ!…コンッ!……ガチャッ!


『失礼します!…本部長!例の書類が出来上がりましたので、確認をお願いします!』


颯爽と折野警部補が部屋に入ってきた。


『おっ!折野君!いいところに来てくれた!』


『…お取り込み中のようですね!…では、書類を机に置いておきますので、確認しといて下さい!では、失礼します!』


『こら~~~~~!ワシの姿見て解らんのか!!ワシピンチなんやぞ!』


『本部長、だから言ったじゃないですか…あの悪戯は止めなさいと!…今も昔も女性は恐ろしいんですよ!本部長も奥様で解っているのでは?…では、失礼します!』


京子ちゃんに銃を突き付けられてる松本さんを見ても、眉一つ動かさずに折野警部補は部屋から出て行こうとしている。


『お…折野!…上司を見捨てるんか!?…ちょっと!折野君!……折野ちゃん!…オッチャンを1人にしないで!…ひ……一言!一言でええから早川の目を覚ましてやってくれ!頼む!折野!……』


『しょうがないですね!…早川!…昨日天満橋の駅にお前が楽しみにしていた、ロールケーキの店がオープンしたぞ!…特にフルーツロール¥2,800は大人気だそうだ!……今なら予約無しで買えるし、オープン記念でシュークリーム2つサービスだそうだ!…では、玄関に車を回しておくから本部長と話しが済んだら来てくれ!』


終始クールにそして見事なまでに空気を読んだ折野警部補に私は脱帽した!


(あのクールな折野警部補もやっぱり大阪人ね!新喜劇みたいで面白い♪)


甘いコロンの香りを残して、松本さんの事は徹底してほったらかしにし、折野警部補は書類を机に置いて部屋から出て行った。


『ほんまいいネタありがとうございます!折野警部補!』


右手の銃はいまだ松本さんに向けたまま左手で敬礼をして京子ちゃんは折野警部補を見送った。


『おい!折野!………………おり《俺》のお願い聞いて!……………………』


(うっわ~~~……またオヤジギャグ!……)


『面白ないですよ!本部長~……さぁ~て!どっしよっかな~♪』


京子ちゃんはしっかりとワルサーの照準を本部長に向ける。


『解った!………解ったから、さっきのケーキで手打ちにしよっ!後でワシ自らホテルに届けるよってに!なっ?…なっ?』


『それは経費ですか?…』


『いやいや!アホ言うな!これは1日500円しか小遣い貰えないワシの自腹や……本部長と言われてとっても家では嫁さんが警視総監やからな……ワシ泣きたい……』


『それは本部長の家庭の問題で私達には関係ありません!てな事でケーキで手を打ちますわ~♪今度からは女の子職員を虐めないで下さいね~♪』


『はい………すみませんでした……』


ようやく京子ちゃんはニヤリと笑うとワルサーをバッグにしまった。


『では、確かに物品を受け取りました!マグナムは明日改めて受け取ります!………………後!…………ケーキ待ってま~す♪』


『もう早よ出ていけ!………1日500円のワシからケーキを恐喝するなんて!昼飯はちまちまと素うどんと小ご飯でお釣りを貯めてたのに…ワシ泣きたい…』


『それはそれは悲しいですわね~♪…では私達はこれで♪』


与えられたバッチをバッグに納め京子ちゃんはソファーから立ち上がると、私もつられて立ちあがる。


『では、失礼します!本部長!』


京子ちゃんは敬礼をし私はペコリと頭を下げて部屋から出て行く。


(松本さん…ちょっと可哀想だな…)


部屋の扉を閉める時にうなだれていた松本さんが気になり、廊下を歩きながら私は京子ちゃんに声をかける。


『ねぇ?京子ちゃん?…ちょっと松本さん可哀想だね…ケーキは無しにしてあげたらどうかな?…』


横に並んで歩く京子ちゃんの歩みが止まり、私に身体を向けて指を差しながら口を開く。


『甘い!…沙也架ちゃん!甘いな~!大阪の男はあのぐらい言わんと調子こきよるんや~!たまにはええ薬やて!あはははっ♪』


『でも…上司だよ………後々目を付けられたら大変になるかも……』


『その点は心配いらんよ!本部長、ああ見えてサッパリしとるさかいに~!男気はある人やから~!…さっ、折野警部補が待ってるから玄関に急ご!…ほらほら!』


不安な表情を見せる私の背中を京子ちゃんは笑いながら押していく、私はまだまだ大阪の風土に馴染めなく戸惑っていた。


『ちょっと京子ちゃん!本当いいの?知らないよ~!』


京子ちゃんに笑顔で背中を押されながら、私は久し振りに心が暖かくなった気がした、このチームならきっと上手くやっていける!…私はそう願いつつエレベーターホールに足を早めた。


『ねぇ?沙也架ちゃん?…今夜からうちらが泊まるホテルってどこのビジネスホテルなん?……』


『えっ!?………そう言えばケンさんからは何も聞いてないけど…………たぶん折野警部補なら知っているのでは?……』


『そやね!…うちらを送ってくれるみたいやし、後で聞いたらええね?……』


(……ビジネスホテル?…………まぁ、連泊と聞けば大概の人はそう思うわよね………)


京子ちゃんは鼻歌混じりにエレベーターから降りると正面玄関で車を停めて待っていてくれた折野警部補を見つけた。


『あっ!…沙也架ちゃん!…あそこやわ!…ほら、急いで!急いで!……』


なぜか京子ちゃんはウキウキしながら私の手を引き正面玄関に向かって走り出す。


『ちょっと京子ちゃん!…そんなに慌てなくても折野さん待ってくれてるよ~~~…』


『何を言うてんのよ!…今ここで他の上司から仕事頼まれたら、早退けできひんやん!!!…その前にとっととずらかるんや!…』


『……………………………はぁ?………ずらかる?………それって泥棒さん言葉では?………京子ちゃんって警察官だよね?………』


『そやよ!…泥棒さんと一番近い間柄やね!……せやから同じ言葉使えるねん♪』


『言ってることムチャクチャだよ!……』


私達は足早に正面玄関から出ると、折野さんが用意してくれていた車に乗り込んだ。


『ふぅ~~~~…これで安心やわ!…もう誰もうちらを追いかけてくる者もないやろし♪』


『相変わらずだな、早川は!……本当にこんなのでヴァンパイアと対峙出来るのかね?……』


『何言いはりますねん!…こんなに可愛いルックスでも早川京子はやるときはやりますよ!折野警部補も御存知のはずでしょ?……うちはそんじょそこらの姉ちゃんみたいにオドオドしたりしませんから♪…それにバッグにはチャカも入ってるし♪うちをビビらすんやったら、ビビらしてみ!ちゅうねん♪』


(京子ちゃん、拳銃持ってるから強気になってるのかな?それとも発砲許可証があるから?…ま、さっきのブティックの事は折野さんには内緒にしておこっと♪)


『それは、それは、頼もしい限りだな!…しっかりと沙也架君を守ってくれよ!…沙也架君は人類の希望の光なんだからな!』


(ちょっと!!折野さん!…言い方がめっちゃオーバーなんですけども!!…人類の希望とか言ってるけど、私の希望はどうなるの?…誰も保証してくんないよね?……)


折野さんは車のエンジンをスタートさせると府警本部を後にする、私は口をひくつかせ京子ちゃんの顔を伺った。


(……助けて京子ちゃん……(あお)り上手な折野さんになんか言ってちょうだい!!)


『………折野警部補の言う通りや!!!!…沙也架ちゃんは人類の…いえ!……今と未来の人類の希望やわ!…そして、うちらはその救世主から選ばれし勇者なんよ!!!…なんか解らんけど、うち!めちゃ燃えてきたわ~~!』


(……はは…その中2発想に、うち‥凹んできましたがな………)


府警本部を左に曲がり正面に線路が見えてくると、私達を乗せた車は線路と並行になるようにまた左折をして走っていく。


『あんな、沙也架ちゃん!…この道を真っ直ぐ行ったら右側に中之島が見えてくるねん!…あの辺は川沿いの公園もあるし、夜はライトアップされて綺麗なんよ♪それにな、土佐堀から淀屋橋、四ツ橋にかけてはうちらなんて泊まることが出来ない超高級ホテルがようさんあるねん!…せっかく沙也架ちゃんも大阪に来たんやから、建物だけでも拝んどいたらええわ!クリスマスシーズンに超イケメンの彼氏とあんなホテルでディナー出来たら最高やよ~~~~♪』


(はは!……超高級ホテル?………あはは…………やな予感………)


私はチラッと運転中の折野さんを見ると、少し笑っていたように見えた、その瞬間から私の予想は現実へと変化していく事になる。


♪カッチ!…カッチ!…カッチ!…カッチ!…カッチ!…


私の予感はたぶん現実になるはず‥表情を固まらせて外の風景を見つめていると、車がウインカーを出した。


『!!!!…ちょっと折野警部補!!!いくら沙也架ちゃんに高級ホテルを見せたるからいうても、敷地の中まで入ったらダメですやん!!!…それにここって大阪で一番高いホテルやん!……はよ戻りましょ!…』


京子ちゃんは後部座席から前のめりで運転中の折野さんに詰め寄ったが、折野さんは平然としたハンドルさばきでホテルの玄関口に車を着けた。


(は…………はは!……お約束ってやつね………)


『着いたぞ!早川!…どうした、警護のお前が先に車から降りないでどうする!…』


『えっ!!!…あ………その!……ビジネスホテルは?………えっ!……あ?………』


『早く降りて周りを確認しないか!!!』


『は…………………はい!!!…』


京子ちゃんはバッグの口を開けて右手を中に入れたまま車から飛び出し周りをキョロキョロと確かめている、周囲の人々はいきなり車から飛び出してきた京子ちゃんを不思議そうに見ていた。


『…………まったく!あれじゃ、早川が不審者じゃないか!……これは明日から徹底的に訓練をしないとダメだな!……』


『ふふっ♪…でも、京子ちゃんって面白いですね♪……まだ太陽が出ているからヴァンパイアは現れないのに、京子ちゃん今にも拳銃を撃ちそうな顔してるし♪…』


『……沙也架君、早川は本当に優秀な警察官なんだ、しかしヴァンパイアと遭遇したらどうなるか解らない!……その時は沙也架君!…早川をよろしく頼むよ!…』


折野さんは更にクールな表情で私を見つめて頷いた、折野さんの言いたい事は私も承知している、私は力強く頷いた。


『さぁ、今日からこのホテルがハーバーランドさんが用意してくれた宿泊先だ!…沙也架君は慣れていると思うが、早川はどう見ても不釣り合いみたいだからしっかりとサポートしてあげてくれ!』


『解りました!…折野さん、ありがとうございます!…それと、これからよろしくお願いします!』


♪…ガチャッ!!!!!…


『辺り、異常ありません!……どうぞ!!』


カチコチになりながら京子ちゃんは車のドアを開けてくれた。


『……あのね、京子ちゃん!…まだ日が昇ってるから安全だよ……それに、そんなに緊張しなくても………』


『な………………な!…………何言うてるねん!…う………うち、そんな……緊張してへんわ!……』


完全に京子ちゃんの目が泳ぎまくっている。


『それじゃな!…今日はゆっくりとホテルでくつろげよ!…明日からは本部が用意してくれる車で通勤になるからな!…じゃっ、お疲れ!』


折野さんはすぐに車をスタートさせて私達から去っていった。


『…………さて!京子ちゃん、チェックインを済まそっか?……』


『…………えっ!!!!!…ほ………ほんまにこのホテルなん?………えっ!?……あ………いや………その…………うち…‥‥‥庶民の子やし…………上品なご挨拶出来ないし………はは………』


(ダメだ!…完璧に高級ホテルって事で京子ちゃんビビってる………さっきの頼もしいセリフも遠い銀河系の果てに飛んでるみたいだわ!…)


『…ほら、ほら、行くよ!京子ちゃん!…』


『……はい!!!………』


京子ちゃんは長堀でのブティックと同じように私の後ろからロボット歩きでくっついてくる、もしこれが夜の捜査中だったらと考えると背筋に冷たいものが走る。


『いらっしゃいませ!!!…御利用ありがとうございます…』


入口前でまるで英国紳士のようなタキシード姿のボーイさんが出迎えてくれる。


『チェックインをしたいのですが、よろしいですか?…』


『はい、ありがとうございます!…ではご案内致しますので、どうぞ……』


私達はボーイさんに続いてロビーに足を踏み込ませる。


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