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矛盾の孤独

作者: よぞ

誰にも嫌な思いなんてさせたくないから、いつでも相手のことを想っている。なのにどうしてこんなにも伝わらず、どうしてこんなにも辛いのだろう。

 私の想いは贋物で、本当は自分のことばかり考えているから、誰にも何にも伝わらず、私は孤独を感じているのだろうか。

 ならばどうすればいい。こんなにも独りは辛いのに。私はどうすればいい。

 問いを問う人もないから、私はまだここにいなくちゃいけない。

 もう眠ろうか。せめて夢の中で、独りでなければいいと願いを込めて。


 正しいのは私ではなくあなたです。

 それは真実、そして事実。

 なぜならあなたがそう思い、それが事実と決めたから。世界なんていつでも一人だけのもので、真実も事実も一人だけのものなのだから。赤い血が流れているのもあなただけ。あなたが悲しみに涙するとき、それはあなたが悲しい時なんかじゃない。あなたが悲しみに涙したかった時なんだ。

 でも、勘違いしないで。

 あなたは自己中心的な人なんかじゃ決してない。それは違う。

 誰でも皆、自分だけの世界を持っているんだから。

「じゃあ、僕はいつまでたっても世界で一人ぼっちだ」

 その通り。あなたは世界で一人ぼっち。

 世界の定員はたった一人。それ以上人が増えると世界はボロボロと崩れ落ちていく。

「お父さんも?」

 ダメ。

「お母さんも?」

 もちろんダメ。

「大好きな恋人も?」

 ダメだよ。一人だけ。ルールだ。

 でも寂しくなんかない。大丈夫。だってあなたの周りにはきっと色んな人がいるし、色んな世界があるはず。

「じゃあ、やっぱり……」

 早まらないで。私は全てを告げなきゃいけない。これもルールだ。

 思い違えちゃいけないよ。あなたの隣の笑顔も、涙も、あなたがそう思うからそうなるんだ。大丈夫だよっていうような優しい笑顔だって、あなたがそう思うからそうなる。

「なんか、難しいなぁ」

 単純さ。

 つまり、あなたの願いは何でも叶う。お金だろうが、権力だろうが、世界の平和だろうが、真実の愛だろうが。あなたの思い通りさ。

 でもあなたは独りだ。

「真実の愛を手に入れても?」

 そうさ。最初にいったろう。真実も、あなたのものだ。

 作られた完璧な世界は、あなたにとって最高の世界のはずさ。

「うーん……」

 さあ、全て話したよ。

 君は、どうする?

「僕は……いきるよ」

 了解。


 ……神様、人間が多量の睡眠薬を飲んで死にました。

 また失敗か。なぜだろうなぁ、願いはすべて叶うのに。どうして皆死んでしまうのか。

 何か足りないものでもあるのでしょうか?

 そんなはずはないが……。お、新しい魂が来たぞ。

 あ、はい。では世界の説明に入ってまいります。

 あくまで自主性だからな、受け入れない魂は人にするな。

 わかっています。

 ……ふう。なぜだろうな、私は神として人を幸せにしてげたいだけなのだが。まあ、これだけ手こずるとやり甲斐もあるか……。


 お疲れ様でした。

 終わりまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。

 そして面白い小説を期待していた皆様、申し訳ありません(^^;

 初投稿ながら、今回の作品は物語ではなく世界観についての問いかけです。

 真実や事実は一つじゃない。矛盾したこの言葉こそが世界の全てだと私は思っています。矛盾こそが真実。

 もう一つ、「願いとは叶えるものでなく……である」お暇があるときにでも答えを聞かせてください。

 次はちゃんと物語を書きたいと思います。

 長々とお付き合いありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 素晴らしい哲学だ、と感動させられました。 文体も個性的ですね。随所にある“問いを問う”とか“真実で事実”とか、同じような意味の言葉を二重使用して、読む者を迷宮入りさせる手法が独特の世界観を作…
2007/03/29 06:39 早苗純(褒める会)
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