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転生者が変える人類の近未来史  作者: 黄昏人
第1章 涼の歴史への登場
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1-8 涼の妹、彩香

この作品は間違って消去した作品の復活版です。

 彩香は、村山市立木真中学校の3年生である。周辺に田んぼや畑がかなり残る家から中学校には道なりに1.5㎞の距離であるので、彼女の足だと歩いて25分の距離である。家から都心に繋がる駅までは5分の距離なので、自宅は便利なところにあると言えよう。


 母は基本的に家にいる。その外出は会計の仕事を受けている元勤務していた会社にたまに行くのに都心まで行く以外は、一駅先の村山市の商店街と大型スーパーに車で買い物行く程度だ。涼の高校は2駅都心とは反対の方向に行った駅のそばにあるので、涼の通学時間は30分ほどだ。


 彩香の身長は160㎝、体重50㎏で丸顔のためにぼっちゃりに見えるが、実際には兄の毎朝の運動に付き合っているので、ちゃんと引き締まった体をしている。色は日に焼けやすくて色白ではなく、美人とは言えないが、10人中8人は明るく可愛いという容貌である。この点は母親に似ている。


 成績についは、定期考査は常に学年5番以内であり、たまに1番になることがある程度であるが、実力試験は常に1番である。これは実力テストと呼ぶ試験は、範囲が今まで習ったことの全体を網羅しており、範囲が限定される定期考査に比べ詰め込みがしにくいためである。

 この点では、兄と同様に、基本的には教科書をきちんと覚えて、授業中に集中して頭に入れることを実行しており、特段試験前の詰め込み勉強をしない。


 また、バスケット部に入って活動しており、エース級であるがチームは公立中学では強い方ではあが、強豪の私立中学校には歯が立たない。クラスの中では、常に授業に集中して教師の問への発表は多いうえ、クラス仲間に対しても明るい性格から積極的に発言している。


 このように、可愛くスタイルが良く、勉強ができて明るいということで、リーダー格になっていて何かとクラスメートから便りにされている。クラスでは、一部にいわゆる不良グループ的なものもあり、虐めが起きそうなときもあったが、彩香が言い負かせて粉砕している。


 このような彩香は、当然同性からも異性からも人気がある。ただ彼女は女生徒とは積極的に交流するが、男子生徒とは個人的な付き合いは極力避けている。というのは、この年代の男子生徒はとかく色気づいて、いわゆるフランクな付き合いができないので、『面倒』という気持ちが強いからである。


 その彼女の雰囲気から同じクラスの男子生徒から、いわゆる告白をされることはない。だが、他のクラスの人気もあり、『自分はモテる』と自任する生徒からの告白はいくつかあるが、一律にあっさり断っている。

 その言葉は「私、兄ちゃんがいいのよね」というものである。兄の涼を知っている者は、その言葉から彩香は『ブサ面好き』というレッテルを張っている。


 ちなみに、彼女の成績に関してであるが、父母ともにそれなりに優秀ではあったので遺伝であろう。ただ、比較的家で勉強をしていないのにこの成績は、10歳のころから継続して飲んでいるサプリメントの効果もあるだろう。自分では比較できないので、効果は実感できないが、母が大いに強調している。


 それというのも、母綾子がそれを大山製薬に紹介した結果、会社は臨床試験をして、はっきりした効果を確認している。さらに、試験中に大山製薬はサプリメントとしての特許を申請して独占権を確保している。母の所に、大山製薬に勤める友人である、佐賀真理恵がやってきて興奮して言う。


 それは、母がそれを紹介して2年後のことである。半年前から大山製薬は、臨床試験の結果を受けて、『アクティ』というサプリメントとして、テレビ、新聞、ネットと大々的にコマーシャルを打って売りだしている。12歳になっていた綾香も、母の友人の気安さでその時立ち会ったが、その時のことをはっきり覚えている。


「あや!凄いよ、アクティは! 先月の出荷は100万ケースを超えて、バックオーダーが3倍位ある。今工場を建て増していて、来月には10倍の能力にするけど、それでも足りないと言われている。今期の会社の売り上げは2倍以上になる予定で利益は10倍よ。なにしろ競争相手がいないからね。


 そのお陰で、私も昇進しちゃったよ。あや、本当にありがとうね。まあ、昇進とか給料が上がるとかも嬉しいけど、私が担当したサプリメントが人々に喜んで貰えているのが嬉しいよ。本当に、感謝のメールやら、手紙が会社に山ほど届いているの。


 それに、アクティは認知症に大きな効果があることが分かってきたの。ネットでそういう話題がでて、個人で介護している人や、沢山の施設で飲ませてみて、はっきり効果が確認できたという報告が沢山あっています。それで、恵沢大学で大規模な臨床試験をやっています。


 反響を聞いて、海外からも沢山売ってくれとの引き合いがきているけど、国内が精一杯で到底海外には手が回らないと状態なのよ。だけど、いくつかの政府からの正式な要請が外務省に上がってきているので、ほおってはいけないわね」


  佐賀の最初は満面の笑みから、最後は難しい顔になるのを見ていると、『大人は大変だな』と思ってしまった。とは言え、真理恵の訪問の本題は、大山製薬から支払われるロイヤリティの状況である。これは、アクティを紹介したということで、売価の0.5%の権利料が日向会計事務所に払われるとの契約である。

 それが初年度で5億円を超えることが確実で、2年後には50億を超えるだろうということだ。だから、今から税務上できちんと考えておく必要があるということを伝えにきたわけだ。


「ええ!50億円」 綾子は驚いてはいたが、ある程度の想定はできていたので、それほど動揺はしなかった。これは、すでに株の投資で5億の資産が出来ており、近い将来、株の大相場がある予定であるため、さらにそれは大きく膨れ上がる予定になっている事も大きい。


 彩香は母がそれなりに教えてくれていたので、大体ことは知っていたが、自分も飲んでいるサプリメントによって、そのような大金が家に入るということには非常に驚いた。また、その50億円という金額がどの程度のものかは、まださっぱりわかっていなかった。


 一つには母から「税金でたくさん取られるからね」という言葉を聞いていたので、殆ど取られるのだろうと漠然と思っていた。人より多いと言っても、12歳の時で月1万円の小遣いで10万円弱の貯金をもっている彩香の経済感覚はそんなものであったわけだ。


 しかし、14歳の今、金銭感覚はばっちりだ。家の異常な経済状態も判っているが、 それの源が情報であることは理解していて、家族である自分にも要求する。13歳なったころ、彩香は涼に株式の推移の情報提供を要求した。それに対して、真剣な顔で頼む彩香の目を見て涼は尋ねた。


「うん、教えてもいいけど、彩香はそれで金を稼ぎたいのだろう?その理由を教えてほしいな」

「そうね。多分わが家は、私や涼兄さんも含めて、もう働かなくてもいい位の財産はあるわ。でも、お父さんは、結構しんどそうなサラリーマンを続けているし、おかあさんも、会計の仕事をしている。

 もっとも母さんの場合は、半分は株の管理のようで、会計は腕が鈍らない程度ということで前の会社から受けた仕事だけやっているようね。


 わが家は結構な金持ちだと思うけど、ちっともそれらしい暮らしはしていないわ。兄さんは本やら、色んな資材に派手に金を使っているけど、服や食べるものも普通だと思う。私の月のお小遣いは2万円で人より多いけど、やっぱり、服やアクセサリーなどで派手に使おうとは思っていないなあ。


 まあ、普通の家庭に生まれ育って、両親も兄もそういうふうだからそんな感覚なのね。私の中学には色んな人がいて、金持ちの家の子もいるわ。でも、むしろそういう家の方が、色々問題がありそうで楽しそうには見えないな。でも、明らかに貧しい家の子はもっとひどいけどね。


 それを見ていて、私はいわゆるセレブになれないし、なろうとも思わない。でも、自分の将来のことを考えるとやっぱり自分の財産が欲しい。それは、普通の家庭ではほとんどの場合、会社に就職をしてサラリーマンになって、恋愛して過程を持って多分共稼ぎをして平凡に暮らすことになります。


 その中にも幸せはあると思うけど、いかにもすでにそのようか決まった平凡なコースを歩きたくないという気持ちよ。幸い、私は兄さんという、多分歴史に名を残すような、たぐいまれな素質というか、まあ情報を持った親愛なる肉親がいる訳よ。


 だけど、その兄さんに頼って寄生する形で人生を送りたくないの。兄さんの情報のおこぼれを貰って、私なりにしっかりしたコースを切りひらいて行きたいと思っている。今は、はっきり決めていないけれど、決めて実行するにはやはりお金が要ると思うののよね。


 だから、情報のおこぼれをもらって、出来る限りの資産を積み上げたいと思って、お願いしているの。それに、投資のスタートを切るにも、それなりの資金がないと無理をすることになるし、なにより時間がかかってしまうので、その資金を借りるつもりです。この点は母上にお願いして、了解をもらっています」


「へーえ。母さんはもう説得したのか?」

「うん、快く了承してくれました。ただ、情報についてお兄ちゃんにお願いしなさいという条件よ」

「うん、解った。いいんじゃないかな。自分で決めて、立っていくというのはいいね、応援するよ」


 その話し合いによって、彩香は株式投資を始め、中学2年の段階で1億円超の資産を持っている。しかし、3千万円を母に借りているので、1年半の利益は7千万円ということになる。

 投資は母の指導ももとに、自分の判断で行っているが注文は母がしているので、家族以外には証券会社の者も彩香名義の投資は母が本当の主だと思っている。


 彩香は学校では、意識してある層の金使いの派手な生徒とは一線を画しているので、ある程度余裕のある家庭の子供と思われていて、個人でこんな額の資産をもっているとは誰も思っていない。しかし、学校で少額の金の貸し借りは割に多く、彩香は女生徒からはよく頼まれて気前よく貸している。


 通学に当たって、彼女に防衛省が手配した護衛がついているのは、隠しようがないために、同級生には知られている。20代の如何にも強そうな女性の護衛は、学校の正門まで同行するが、そこで引き返し、彼女が外出または帰る時は彼女の携帯による連絡によって、またやってくる。

 好奇心に満ちた同級生からの質問には「ごめん、言えないの」の一点張りで過ごしている。


 彩香は、護衛は最初大いに抵抗があったが、防衛省からやって来た職員に必要性をこんこんと説かれ、涼からも絶対言うことを聞くようにと説得されている。だから、隠れて外にでることはない。しかし、強そうな山田みどりという女性職員を拘束していることに申し訳ない気持ちは強い。


 そして、涼から防衛省で核無効化装置が成功したと聞いたときから、涼が警告したように警戒はより厳しくなった。護衛が付き添うのは変わらないが、車で送り迎えするようになったのだ。この時期の家族が揃った週末、父から引っ越しの話が切り出された。


「先日、彩香も知っている中央研究所の嵯峨野さんから話があったのだけど、核無効化装置が成功した段階で、状況が全く変わったという」

 彩香は、余りいい話でないことそれで察した。


「すでに、アメリカはそれが実用になることを知っている。また、今後量産体制に入ることから。より沢山の人が知るようになることから、警戒すべき、ロシアや中国、北朝鮮がその情報を得るのは時間の問題だそうだ。

 そうすれば、涼の係わりも知れるだろうということで、ここで住んでいる我々、涼とその家族は最も手を伸ばし易い対象になると言っている」


 父の言葉に、彩香は半分諦めながら聞く。

「うーん。兄さんの情報という美味しいものに対しての代償はあるわけね。必要性はよーく解りますよ。だけど、引っ越し先はどこになるのかな?それと、中学3年の春の私の学校はどうするのか。兄さんだって、高校3年じゃない?」


「うん、市ヶ谷の中央研究所の構内に官舎があって、概ね家族が住める程度の面積はある。彩香の中学は私立の嘉陽学園の中等部、涼は高等部だな。ちなみに、僕は防衛省に転職することになる。母さんは、場所が違うだけで、実質今と変わらないな」


「ええ、嘉陽学園って、すごいおぼっちゃま、お嬢ちゃま学園じゃないの。授業料だってすごいでしょう?」

 彩香の反応に父が応える。


「ああ、高いようだね。だけど、ハイソサエティの子女が通うだけあって、セキュリティ的には非常にしっかりしているし、学費はお前たちの成績もあって特待生扱いらしい。まあ、付き合いに金はかかるだろうけど、そのくらいは、彩香でも負担できるだろう?」


「いえいえ、家庭都合のことですから。是非家でご負担をお願いします。それにしても、お父さん、新卒で入って長く勤めた会社をそんなに簡単に変われるの?」


「ハハハ、まあ金についてはいいよ。あと会社については、俺が話をする前に防衛省から話が回っていてな。是非行ってくれという態度だ。防衛省から、受注に便宜を図るということで今の現場も後任がすでに決まっているようだしね。

 また、今後涼の情報からみで、防衛省内の工事が大幅に増えるので、受け入れ側も施工管理が解る職員は大歓迎だそうだ。官としての監督職員だから、今までのように現場に泊まり込んで、ということもないだろう。まあ、経済的にあくせく働くこともないからな、いい機会かも知れんと思っている」


 父と妹の話に涼はいささか申し訳ない気持ちになり頭をぺこりと下げて言う。

「父さんも彩香もごめん。僕のために転職や引っ越しそれに転校までしてもらって。それと母さんも、近所の親戚や友達と離れてごめんね」


「いや、いや。俺も現場がいささかマンネリだし、しんどくなってきたところで、丁度良かったと思う」

 そう言う父に対して、彩香は余り面白くはない。

「私の場合は、いささか厳しいわ。まあ学校はいいけど、仲良くなった友達と離れるのがねえ。とはいえ、人生は別れの連続で、新たな環境に適応するのもまた楽しみよ。兄さんも申し訳ないと思ったら、もっと可愛い妹を甘やかせるがよいぞ」


「うん、そうだな。差し当たって甘みどころにいくかな。ハハハ」

「ちょっと、それはけち臭いかな」

 最後に母が言う。

「私は何と言うことはないわ。この家は残すから、状況が落ち着けば、また帰ってくるし。問題ないよ」

 家族の温かさにほっこりする涼であった。


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