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第60話:許昌炎上! 覇王曹操との宿命の対決、そして「龍」の最終覚醒と天下の夜明け

第60話:襄陽炎上! 覇王曹操との宿命の対決、そして「龍」の最終覚醒

【本文】

荊州・襄陽を舞台とした、白龍軍と曹操軍による天下統一最後の戦いは、歴史の全てを焼き尽くすかのような、想像を絶する激戦となった。


降りしきる矢の雨を物ともせず、白龍軍の巨大な破城槌が、獣の咆哮のような音を立てて襄陽の城門に打ち据えられる。城壁の上からは、煮え滾る油や巨大な岩石が投下され、兵たちの絶叫が断末魔となって響き渡った。


「者ども、続け!臆するな!天下泰平は目前ぞ!」

張飛の雷鳴のような声が、全軍の士気を奮い立たせる。彼は、巨大な盾を掲げた兵士たちと共に城壁の真下まで到達すると、その怪力で城壁に縄梯子を打ち込み、獣のような速さで壁を駆け上がった。

「うおおおおっ!曹操の首は俺が貰ったあ!」

丈八蛇矛が嵐のように振り回され、城壁上の曹操兵は、まるで藁人形のように薙ぎ倒されていく。


その張飛の暴威を援護するかのように、後方から一筋の閃光が迸った。太史慈が放つ神業の矢が、城壁の上の指揮官の眉間を次々と正確に射抜いていく。指揮系統を失った部隊は、張飛の猛攻の前に、なすすべもなく崩壊していった。


やがて、轟音と共に城門が内側から破壊された。甘寧率いる決死隊が、水路から城内に忍び込み、閂を破壊したのだ。

「野郎ども、一番乗りだ!派手に暴れるぜ!」

腰の鈴をけたたましく鳴らしながら、甘寧の部隊が城内へと雪崩れ込む。


「全軍、突撃!」

的斗の号令一下、白龍軍の巨大な波が、ついに襄陽城内へと流れ込んだ。そこからは、入り組んだ市街地での、血で血を洗う壮絶な白兵戦となった。


「趙子龍の首は、この夏侯元譲が取る!」

独眼の将・夏侯惇が、鬼の形相で的斗の本隊に迫る。その行く手を阻んだのは、関羽雲長だった。

「貴殿の相手は、この関某が引き受けた。兄者の無念、ここで晴らさせてもらう!」

青龍偃月刀と夏侯惇の剛剣が激突し、凄まじい衝撃波が周囲の兵士たちを吹き飛ばす。二人の英雄の戦いは、それだけで一つの戦場を形成していた。


「ぐおおおおっ!」

巨漢の許褚が、巨大な槌を振り回し、白龍軍の陣形を中央から打ち破ろうとする。その前に立ちはだかったのは、同じく巨漢の周倉だった。

「てめえみてえな化け物の相手は、この周倉様に任せな!」

力と力の、原始的なぶつかり合い。槌と大薙刀がぶつかる鈍い音は、聞く者の骨の髄まで震わせた。


堅牢な守りで知られる曹仁は、市街の地理を活かした巧みな用兵で白龍軍の進撃を食い止めようとする。だが、その完璧な陣形の僅かな隙を、徐盛の冷静な指揮と、張郃の変幻自在な突撃が見逃さなかった。

「敵将・曹仁、討ち取ったり!」

徐盛と張郃の完璧な連携の前に、曹操軍の守りの要は、ついに崩れ落ちた。


戦火は、ついに襄陽城の中心部にまで及んだ。燃え盛る炎が夜空を焦がし、城は崩れ落ちようとしている。

そして、その炎上する城の中心で、二人の男が宿命の対決を迎えようとしていた。的斗こと趙雲子龍と、曹操孟徳。


「ついにここまで来たか、趙子龍」曹操の声は、意外なほど落ち着いていた。

「曹操殿…あなたの野望も、ここまでです」的斗もまた、静かに槍を構える。

「野望、か。わしはただ、この乱世を終わらせ、天下に新たな秩序を築こうとしただけだ。そのためには、力が必要だった。貴様もまた、同じではないのか?」

「俺は、力で民を支配しようとは思わない。俺が目指すのは、民が自ら立ち、支え合い、笑って暮らせる国だ!」

「青臭い理想論よな。だが…その青臭さが、今の貴様をここまで押し上げたのかもしれん…」

言葉はもはや不要だった。二人の英雄が、互いの全てを賭けて激突した。


曹操の剣技は、老いてなお鋭く、その一太刀一太刀には、長年の戦歴で培われた老獪さと、最後まで衰えぬ覇気が込められていた。的斗は、槍でそれを受け止め、あるいはかわすが、曹操の巧みな剣筋に徐々に追い詰められていく。

(強い…!これが、曹操孟徳…!)

的斗の頬を、曹操の剣先が掠める。燃え盛る炎の熱風が、的斗の肌を焦がす。


曹操もまた、的斗の底知れない強さに戦慄していた。

(この若者…!わしの剣をことごとく凌ぐだと?ただの武勇ではない。その瞳…その槍筋には、わしが捨て、あるいは持ち得なかった、一点の曇りもない『正義』がある。だが、そんな綺麗事だけで、この乱世が治まるものか!民を救うためには、時に民を切り捨てる覚悟がいる!悪名を恐れず、天下の全ての憎悪をこの一身に背負ってでも、秩序を築く!それこそが、覇王の道ではないのか!)

曹操の剣が、さらに鋭さを増す。それは、彼の生き様そのものだった。


しかし、的斗は絶体絶命の危機の中で、さらにその先へと至ろうとしていた。彼の脳裏に、これまでの戦いの記憶、仲間たちの顔、貂蝉の優しい微笑み、そして、平和を願う名もなき民衆の姿が、走馬灯のように駆け巡った。


(俺は…負けられない…!みんなの想いを…この世界の未来を…俺が守るんだ!)

守るべき全てへの強い、強い想いが、的斗の奥底に眠る最後の力を呼び覚ました。


「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

的斗の身体から、天を衝くかのような金色の龍のオーラが迸った。その瞳は真の龍の眼光を宿し、周囲の炎さえも霞むほどの圧倒的な威圧感を放つ。天候がにわかに荒れ狂い、雷鳴が轟き、突風が燃え盛る城の屋根瓦を吹き飛ばした。


「な…なんだ、この力は…!?」

曹操は、人知を超えた現象を前に、初めて自らの理解を超えた存在と対峙していることを悟った。

(天命…だと…?わしが、この曹孟徳が、生涯を賭して求め続けたものが、こんな若者の元にあったというのか…!違う…これは、覇道ではない。これは、民の想いそのもの…民の願いが、この男を龍たらしめているのか…!なるほど…わしは、民ではなく、天を目指してしまったが故に、天に見放された…というわけか…)


的斗の槍術は、もはや人間の技を超えていた。槍の一振りは風を巻き起こし、大地を踏みしめる足は衝撃波を生む。それは、まるで自然現象そのものを操っているかのようだった。

「龍の血脈」の完全覚醒。それは、的斗が真にこの世界の守護者たる「龍」となった瞬間だった。


覚醒した的斗の力の前に、さすがの曹操もなすすべがなかった。その老獪な剣技も、揺るぎない覇気も、全てが圧倒的な力の前に打ち砕かれていく。

そしてついに、的斗の槍が、曹操の胸を深々と貫いた。


「ぐ…ふ……」

曹操は、膝から崩れ落ち、自らの胸から溢れ出す血を見つめた。その表情には、敗北の無念と共に、どこか解放されたような、不思議な安堵の色も浮かんでいた。彼は、自分の信じた覇道が、目の前の若者が示す王道に敗れたことを、静かに受け入れていた。


「見事だ…趙子龍…。貴様の『義』、確かに見届けたぞ。わしのやり方では…届かぬ場所だったようだ…。行け…この乱世を…お前のやり方で…終わらせるがいい…」


それが、覇王・曹操の最期の言葉だった。彼は、的斗の中に、自らが目指した覇道の先にある「真の王」の姿を見届けながら、燃え盛る炎の中で静かに息絶えた。


曹操の死と共に、長く続いた戦いは、ついに終結した。

燃え盛る襄陽の空に、ゆっくりと夜明けの光が差し込み始めていた。それは、旧時代の終焉と、新たな時代の始まりを告げる、希望の光だった。

的斗は、槍を杖代わりにし、炎上する城を見つめていた。勝利の余韻に浸る間もなく、彼の心には、これから始まる真の「国づくり」への、重い責任と、そして確かな希望が満ち溢れていた。

天下泰平への道は、今、確かに開かれたのだ。

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