-第十話:ラウウルの視る光-
「ʻAʻole hiki i nā poʻe ʻē aʻe ke ʻike iā ” mālamalama”?」――他の人には「光」は見えないの?
「ʻae.」――うん。
ラウウルには他の人には見えない「光」が見えているようだ。それが幻覚の類いなのか、実際に存在しラウウルにだけ見えるものなのかは分からないが、嘘をついている訳では無いことは分かった。
「Pehea e hana ai kekahi?」――他の人はどうやってやるの?(魔法を使うの?)
「E aʻo mai nā mākua. ʻAʻole au i aʻo ʻia.」――大人から教わる。僕は教わっていない。
普通は親から子へ受け継がれていくという意味だろう。忌子のラウウルにはその機会がなかったのだ。それでもラウウルは「光」を見ることで魔法を独力で習得した。
「Hiki iaʻu ke hana pū?」――俺にも出来るかな?
「ʻAe. E ho'āʻo e hoʻohālike mai iaʻu.」――うん。僕の真似してみて。
俺はバケツの前に近づき両手でお椀型を作る。それから「光」を手からバケツの水に注ぐようにイメージする。
「E hoʻoikaika iki i ke kukui.」――もう少し「光」を強くして。
「強くする」がどういうことか分からないが、とりあえずより鮮明に「光」をイメージしてみる。
「ʻO kēlā leo. E noʻonoʻo e kahe ana ka wai.」――その調子。そのまま水が湧き出るのをイメージして。
俺は川底から水が湧き出る情景を思い浮かべる。その情景が鮮明に思い浮かんだ時、お椀型の手の底から透明な水が湧き出た。
「kupanaha!」――すごい!
俺は掌に溜まった水を口に運んだ。
「美味い!」




