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第78話:「燃え残る想い」
陽は、信じられない思いで言葉を失った。
かつて、自分の目の前で無残に仲間を殺された――あの光景は、今も夜ごとに夢に現れるほど鮮烈で、そして苦しい記憶だった。
九鬼の笑い声。是津の冷たい手の動き。
仲間の悲鳴。返り血。絶望。
すべてが焼き付いて離れなかった。
そして今、その憎き2人が死んだと聞かされた。
「……死んだ……?」
それは、復讐を誓ってきた陽にとって“目的の喪失”であると同時に、救いにも近い安堵だった。
けれど、心のどこかがざわつく。
本来なら、自分の手で裁きを下したかった――自分の“炎”で焼き尽くすことで、けじめをつけたかったのだ。
それが叶わなかった。
その“悔しさ”と、“スッと胸が軽くなる感覚”が同時に押し寄せてくる。
陽は拳を強く握った。
「……仲間が帰ってくるわけじゃない……」
声が震えていた。悔しい。嬉しい。寂しい。何もかも、混ざっていた。
でも――
「でも、ありがとう、宮河」
たとえ自分の手じゃなかったとしても。
仲間の無念を晴らしてくれた。
地獄に突き落とした2人を、宮河が地獄の底に沈めてくれた。
それは間違いなく、陽の心にとって一つの終止符となった。




