表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/97

第76話:「無限の檻」

是津の死を確認し、宮河はくるりと背を向けた。べちゃりと音を立ててぬかるみを踏み、湿地の出口へと歩き出す。


「さて……帰ろうかな。あーあ、服汚れたし……最悪」


ぼやきながら、ぬかるみの縁を越えようとしたその時だった。


――カチッ。


乾いた音がした瞬間、足元に奇妙な柱が複数、突き出すように地面から出現した。


「……何、これ?」


柱の先端には、淡く緑色に輝く無数の結晶体が埋め込まれている。次の瞬間――


ビリビリイッ!


緑色の閃光が走る。空間が震え、奇妙な振動が周囲に広がった。


「っ……!」


宮河は反射的に能力を発動し、黒い“食らう”物体を広げ、目の前の装置を貪ろうとする。だが――


バチィッ!


黒い物体は緑の結界のような光に弾かれ、砕けるように霧散した。


「なっ……」


宮河の目が見開かれる。その瞬間、ぬるりとした声が背後から響いた。


「ふふふ……驚いた?」


白いローブを揺らしながら、ぬかるみの奥から現れたのは――八谷 泠香だった。


「久しぶり、リィズ・テヘダ。……いえ、宮河って呼んだ方がいい?」


宮河は一歩後ろに引き、睨みつけながら問う。


「……この装置、無限石の力ね? まさか、あんたたち……魔族にまで手を伸ばす気?」


八谷は楽しげに頷いた。


「うん。魔族でも無限石の前じゃ、無敵じゃないってこと、今ので少しは分かったでしょ? 普通に」


宮河は静かに息を吐いた。内心、初めて“恐れ”に似た感情が胸をよぎる。


「……それで? 私をどうするつもり」


八谷はローブの裾を払って、口元に冷たい笑みを浮かべる。


「閉じ込めておくの。辰月様が“完全融合”するまで、ね。余計な邪魔をされないように。終わったら……始末する。ちゃんと、殺してあげる。」


宮河は肩をすくめるように笑った。


「へぇ……あんたが殺すの? こんな……おもちゃ使って?」


八谷の笑みが深まる。


「……ほんとは、自分の手でぶっ殺したかったんだけどね。悔しいけど...あなた強いから、普通に。だから、仕方ない。今はこうするしかないの」


結界は徐々に狭まっていく。逃げ場をなくし、捕獲するための“檻”が形を成し始めていた。


そして宮河は、初めて“本気で殺されるかもしれない”という危機に、静かに身構える――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ