第55話:「砲撃の代償」
暴動はようやく鎮圧され、暁野は直後に現れたストレイロンドによって拘束された。支配された市民たちも次第に正気を取り戻し、街には一時の静寂が戻る。
その後、隼風は官野、廣海、末政と合流した。
しばらくぶりの再会に、廣海が驚いたように声を上げる。
「……そういえば、星也の退院ってまだのはずじゃ?」
星池は少し困ったように頭を掻いた。
「ま、こんな状況だし、やむを得なかったってことで。あれで完全に目が覚めたよ。俺としては、もう復帰しても問題ないと思ってる」
「俺は賛成だぜ」
官野があっさりと頷く。
だが廣海は厳しい表情で首を横に振る。
「簡単に判断しちゃダメ。医師の許可もまだなんでしょ?」
星池が口を開こうとしたところで、隼風が一歩前に出た。
「……星池さん、その……なんで怪我したんですか?」
一瞬、星池の表情に影が差す。
「それは……お前たちと出会う少し前、ある作戦に参加してたんだ。そんときに無茶してな」
「無茶……って、どんな?」と隼風が問い返す。
星池は息を吐き、両手を広げて見せた。
「俺の能力、“砲撃”は、扱える出力に限界がない。だからこそ、出力を間違えると……自分自身に跳ね返ってくる」
「反動があるってこと……ですか?」
「ああ。怪我したときは……体感で、出力70%だったと思う。ギリギリだった」
「70%であんな威力かよ……」
官野が思わず口を挟む。
「つまり、制御できなきゃ、自爆みたいなもんですか?」
と隼風。
星池は苦笑しながら頷いた。
「そう。だから、10%でもかなり慎重に撃ってる。それ以上は……今のところ封印中ってとこかな」
そのとき、末政が静かに一歩前に出た。
「……そのときの怪我、君の命を削るような無理があったって、あとから聞いた」
星池が顔を向けると、末政はまっすぐな眼差しで言葉を続けた。
「助けてくれたこと、今さらだけど……改めて、感謝する。あの場で、君が踏ん張ってくれなければ、私たちは誰一人戻れなかった。ありがとう」
その言葉に、星池は目を細めた。
「……あの時、生き残ってくれてたなら、それで十分ですよ」
空気が一瞬だけ柔らかくなった。その場にいた皆が、過去の傷を乗り越えて今に立っているのだと、改めて感じた瞬間だった。




