表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/65

第50話:「境界を越えて」

隼風は、息もつかずに走り続けていた。廊下を、階段を、あらゆる扉を開けながら、辰月志楼の姿を探し求める。


だが、いくら探しても見つからない。


苛立ちと焦りが募る中、耳元の通信機から声が飛び込んできた。


「隼風さん、聞こえますか? 天宮です!」


「天宮……辰月がどこにいるか分かるのか!?」


「いいえ、でも――こういう大型施設には、無限石の反応を検知できる“レーダー”のような装置があるはずなんです。隼風さん、研究室か制御室を探してください!」


「レーダーか……分かった、探してみる!」


隼風はすぐに方向を変え、それらしい場所を探し始めた。


そして数分後――機材が整然と並ぶ研究室の一角で、彼はそれらしい装置を見つけた。


「これか……!」


慎重に装置を操作すると、モニターが点灯し、施設内のエネルギー反応が表示される。


その中で、ひときわ強く脈動する反応があった。周囲の反応とは明らかに違う。


「無限石の反応、間違いない……!」


隼風はすぐにその方向へと走り出した。今度こそ、辰月志楼を――見つけ出すために。


-------


無限石の反応を辿り、隼風は息を殺して重厚な扉の前に立った。鉄製の扉は鈍い音を立ててゆっくりと開く。


中は広く、だがどこか圧迫感のある空間だった。壁際には様々な機器が並び、中央にはただ一人の男が立っていた。


辰月志楼――ついに、目の前に現れた。


「辰月……ッ!」


怒りが瞬時に爆発する。隼風はそのまま距離を詰め、拳を振りかざして殴りかかる。


だが、辰月は微動だにせず、それをあっさりと躱した。


「ふむ……短気なのは若さゆえか。だが、せっかく会えたのだ。少し話でもしようじゃないか」


その余裕に、隼風は歯を食いしばる。


「話すことなんて……ない!」


だが辰月の目は冷静そのものだった。


「そう決めつけるには、まだ早いはずだ。君も、真実を知る覚悟があるのならば――」


隼風の怒りと、辰月の静かな態度が、部屋の空気を張りつめさせる。静と動が交差する中、二人の駆け引きが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ