第4話:「異変」
廃鉱山
柄本は険しい表情で前方を見据えた。
「ここか…。見た目通り怪しい場所だな。」
明石が耳を澄ませ、辺りを伺う。
「ねえ、あの音、聞こえますか?…採掘してる音みたいですけど。」
白瀬が静かにうなずいた。
「廃鉱山のはずなのに、誰かが掘ってるなんて妙ね。行ってみましょう。」
鉱山の奥に進むと、複数の作業員が黙々と岩を砕いていた。その異様な光景に、三人は背筋が凍るのを感じる。
柄本が小声で問いかけた。
「一体、何を掘ってるんだ?」
その時、大きな影が現れた。一人の男が彼らの前に立ちはだかる。厚い鎧を纏い、巨大な斧を肩に担ぐその姿は、威圧感に満ちていた。
「俺の名は厳谷迅。辰月様の右腕として、ここを守っている。」
冷たい視線を向けながら、厳谷は続ける。
「貴様らのような侵入者が立ち入る場所ではない。」
柄本が前に出た。
「辰月…?お前たち、何を企んでる?」
厳谷は微かに笑った。
「貴様らに知る必要はない。ただ、ここで命を散らすことになるだろう。」
明石が呆れたように肩をすくめた。
「話し合う気ゼロってわけね…!」
「黙れ。」
厳谷の声が響き渡る。
「斧の裁きが必要なら、受けさせてやる。」
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戦闘開始
厳谷が斧をゆっくりと振り上げたかと思うと、その動きが一瞬で加速した。柄本たちはその速度に圧倒され、ただ避けるだけで精一杯だった。
柄本が息を切らしながら叫ぶ。
「くそっ、速すぎる…!どうなってんだ?」
厳谷は冷淡に答える。
「これが無限石の力だ。貴様らが動く前に、こちらは終わらせる。」
斧は柄本たちの行動を読み切ったかのように、次々と的確な一撃を繰り出す。隙を作る間もない攻撃に、三人は追い詰められていく。
白瀬がドミヌスを呼び出した。
「ペンギン、行って!」
明石も応じる。
「虎、頼む!」
氷を纏ったペンギンと、明石の虎が厳谷に向かって突進する。しかし、その動きさえも厳谷には見切られていた。
「その程度か。」
厳谷は一言呟くと、斧を振り下ろし、ペンギンと虎を一撃で地面に叩き落とした。
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ドミヌスの特性
ペンギンが倒れると同時に、白瀬が苦しそうに胸を押さえた。
柄本が驚いて駆け寄る。
「白瀬!?どうした!?」
「…ドミヌスの特性よ。」
白瀬は絞り出すように答えた。
「ペンギンが傷を負うと、私も同じ痛みと傷を共有するの…!」
白瀬の膝が崩れ、胸に血の滲む跡が現れる。
明石は荒い息をつきながら叫ぶ。
「はぁ…っ、まずいよ、柄本さん!…白瀬先輩が戦えなくなったら…!それに、私も力を使いすぎて…もう、持たないです…!」
厳谷が冷酷に斧を振り上げる。
「これで終わりだな。弱き者が、無限石の力に抗えるはずがない。」
止めを刺すように斧が振り下ろされる直前、柄本が叫んだ。
「諦めるな、まだ終わっちゃいない!」