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第28話:「執念」

ユスティティア・ルカヌス本部——湯島本部長の執務室。


隼風は、湯島の前に立ち、深く頭を下げた。


「お願いします。本部長——俺たちに、行かせてください」


湯島は静かに目を閉じ、一つ息をつく。


「……気持ちは分かる」


その言葉に、隼風は期待を込めて顔を上げる。だが——


「だが、それとこれとは別だ」


一蹴された。


「お前たちはまだ経験が浅い。ましてや辰月一派相手となると、死ぬ可能性の方が高い」


「……分かってます。でも、それでも——」


「何度言われても同じだ。許可はできない」


「……っ」


隼風は歯を食いしばる。

諦める気など毛頭なかった。

白瀬の仇を討つ、それが叶わないなら——ここにいる意味すらない。


粘る隼風


それから、隼風は何時間も湯島の部屋に居座り続けた。

時折、本部の職員が「もう諦めろ」と声をかけに来るが、隼風は微動だにしない。


「……そんなに行きたいのか」


机に肘をついたまま、湯島が呆れたように尋ねる。


「当たり前です……!」


隼風の声には、未だ衰えない決意がこもっていた。


そこに、不意に執務室の扉が開いた。


「おやおや、ずいぶんと粘ってるみたいね」


第5班・末政の介入


入ってきたのは、一人の女性だった。

長い黒髪を後ろに結い上げ、洗練された制服風の戦闘服を身にまとっている。

そして何より、彼女の目は鋭く、隼風をじっと見つめていた。


「……第5班班長、末政柚奈だ」


「末政……さん?なぜここに?」


湯島が眉をひそめる。


「ちょうど作戦の詳細を確認しに来たところよ」


末政はそう言いながら、粘り続ける隼風に視線を向ける。


「……隼風君、そんなに行きたいの?」


「……はい」


隼風の返事は、迷いなく即答だった。


末政は微かに笑みを浮かべると、湯島へ向き直る。


「なら、私たち第5班が責任を取るということで、この子たちを連れて行ってもいいかしら?」


その言葉に、湯島は一瞬絶句した。


「ダメだ」


すぐに、拒絶の返答が返ってくる。


「冗談じゃない、第20班はまだ未熟すぎる。ましてや辰月一派が相手となれば——」


「責任は、私たちが取るわ」


末政は真っ直ぐに湯島を見据え、はっきりと言い切った。


「戦場に出す以上、どんなことがあっても守るわ。だから、許可を」


湯島はしばらく黙り込んだ。


隼風は、必死に言葉を待つ。


そして——


「……分かった」


しばらくして、低い声が響いた。


「ただし、お前たち第5班が最後まで責任を持つこと。いいな?」


「ええ、もちろん」


末政は笑って頷いた。


隼風は拳を握りしめた。


やっと……戦える。白瀬の仇を討つために。


本部の廊下にて


湯島本部長の執務室を出ると、隼風は深く頭を下げた。


「末政さん、本当にありがとうございます!」


「……別に、感謝されるようなことはしてないわよ」


末政はあっさりとした口調で答え、腕を組む。


「私はただ、戦場に行きたがるバカを見過ごせなかっただけ」


そう言いながらも、彼女の表情はどこか楽しげだった。


「それに、私の班はたったの2人しかいないの。私とセシリアだけじゃ、さすがに手が足りないからね」


「……え、そうだったんですか?」


隼風は驚いた。


ユスティティア・ルカヌスの班は、基本的に5〜6人で構成される。

第5班のような実力者揃いの班なら、もっと多くてもおかしくないはず。


「だから、今回の作戦では第14班にも協力してもらうことになったわ」


「第14班……」


聞いたことはあるが、詳しくは知らない。

どうやら、そちらとも一緒に動くことになりそうだ。


「じゃあ、俺も挨拶に行ってきます!」


隼風が意気込むが——


「それは後日でいいわ」


末政が軽く手を上げて制した。


「今は準備を進める方が先決。第14班とは、後で正式に顔を合わせることになる」


「……分かりました」


隼風は頷きつつ、改めて末政に感謝の意を伝えた。


「本当に、ありがとうございます。第5班の皆さんと一緒に戦えること、光栄です!」


「フフ……そんなに持ち上げなくていいわよ」


末政は微かに笑いながら、手をひらひらと振った。


「じゃあ、私は自分の準備をしてくるわ。あんたも、しっかりと備えておきなさい」


「はい!」


そうして、隼風と末政はその場で別れた。


向こうから来る影


末政と別れた隼風は、第20班の本部に報告に向かおうと歩き出した。


すると——


向こう側から、若い男女がこちらに向かって歩いてくる。




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