9/66
食堂4
「本当いいですよね、ニーチェ」
「うむ」
食事がワゴンに乗せられて運ばれてきた。男性は入り口側、女性は病室側にわかれていた。
ひとつのトレーに一人分の食事が用意してあり、おかわりはできない。トレーごとに患者のネームプレートが置いてあり、自分で歩けるものは各自食事を取りに行った。
「さあ、行こうマキちゃん」古沢がマキに声をかける。
「あ、はい」マキは古沢に続いていく。
栄養バランスの考えられた少量の食事。高齢者はゼリーを食べている。後に医者に聞いたところによると、薬を流し込むためだけにゼリーを飲んでいるとのことだそうだ。マキは気の毒に思った。私もあんな風になっちゃうのかな。いや、それまで生きていられるかどうか。病棟に入った今でも死にたい気持ちはある。古沢さんと付き合えたらいいな。