食堂3
「ってことは、あとに続く文章はあれですね?」
「ほう、わかるかい青年」
「大学生のときに読みました。あの一説が僕を小説家への道に導きました」
「待つ者の問題。ーーー一つの問題の解決が内に眠っているようなより高い人間がなお適当な時に行動に移るには、ーーー言うなれば、「爆発」するためには、様々な僥倖や色々な不可測の事柄が必要である。そのようなことは普通には起こらない。そして地上のあらゆる片隅に座して待っている者たちは、自分たちがどれほど待っているかを殆んど知らず、まして待っていることが無駄なのを知らない。時々は目覚ましが響き、行動に移る「許可」を与えるあの偶然がやって来るにしても、それは遅すぎる。ーーーそのときには、じっと座っていたために行動への最善の青春の力とはすでに使い果たされる。そして、いかに多くの人間が「ケイキした」ときにもう四肢が麻痺し、その精神がすでに鈍重になりすぎているのを見いだして愕然とすることか!「余りにも遅すぎた」ーーーと彼は自分に言い、自分を信じなくなり、もはや永久に役立たなくなってしまう。ーーー天才の領域においては、「手のないラファエル」というのが、この言葉を最も広い意味に解するかぎり、恐らく例外ではなく、むしろ通例のことではあるまいか。ーーー天才は恐らく決して稀有なものではない。しかし稀有なのは「カイロス」、すなわち「適切な時」をーーー自由に左右するために、偶然の額髪を捉えるために、必要とされる五百の手だ!」
「うむ、君はよくわかってるね」
エミールの上巻、棚の後ろに落ちてました。煙草の灰を被っていました。これから初詣行くんですが、雨がぽつりぽつりと来てますね。雨やんでくれ~。