食堂1
「じゃ、そろそろお昼行こうか」古沢がそう声をかける。
食堂にはすでに結構な人がいて、マキは古沢の隣、右側後方の席に座った。
すでに坂下と本田は左後方の席についていてなにやら話し声が聞こえた。
本田が坂下に問いかける。
「概念の普遍性と音楽の普遍性はある点では対立したところがある。スコラ哲学者の用語を使えば、概念は事物以後の普遍であるけども、音楽は事物以前の普遍をあらわしているといえる」本田が言う。
「杉原さんに聞かせたら面白そうな話ですね。杉原さんは病棟にいる間も暇を見つけては作詞活動をしている」坂下が返す。
「坂下くんはなにか芸術活動をしないのかい?」
「一応10年間小説を書いています。賞にも応募したことがあるんですが、箸にも棒にも掛かりません」
へえ、とマキは思った。坂下さん小説書くんだ。どんな小説書いてるか見てみたいな。
しかし、坂下を理解せんがためには、成功は彼の目的ではなく、彼の目的はその信念であるということをまた、マキは理解しなければならなかっただろう。彼は芸術を信じ、おのれの芸術を信じ、おのれ自身を信じ、しかも、あらゆる利害関係のみならずおのれの生命よりもさらにすぐれた現実に対するように、それを信じていたのだから。
本田が問う。「自分がただの土塊であることに、恐怖を感じたりすることはあるのかい?」
「私はただの土塊ですが、なかなか悪くない土塊です」坂下はそう言って笑った。「生意気なようですが、けっこう優秀な土塊と言ってもいいかもしれません。少なくともある種の能力には恵まれています。もちろん限定された能力ではありますが、能力であることに違いはありません。ですから生きているあいだは精一杯生きます。私にとって、恐怖や空虚さを感じないようにする最良の方法は、何よりも退屈をしないことなのです」
小6、中2、中3と同じクラスだったまぐろ兄弟が1196組のうちの13組に選ばれておもしろ荘に出演しました。同級生の活躍を見てるとこっちも気合が入りますね。さあ、元旦ゴルフいくぞ~。