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これから8

 「はい、じゃあ、みんなお疲れ様。病棟に戻りましょう!」

 一同は各々食堂から病棟へ戻っていく。そのとき、古沢とやっさんが相対している姿がマキの視界に入った。

 やっさん、、、小柄で痩せっぽちで、本人にとっては大変気の毒な事だが、生まれつき右腕が肩のところから喪失している50男だった。感情には波があり、度々、病棟内で騒ぎを起こしているトラブルメーカーだった。

 まったく迫力のない弱弱しい声でやっさんは古沢に向かって叫ぶ、「ぶっ殺してやる!ぶっ殺してやる!」

 古沢はそのやっさんの光景をあざ笑うかのように静観していた。患者の誰しもが思った。どうやってぶっ殺すんだ?と。

 「やっさん、落ち着いてね?」串山は、そう優しく男に語りかけた。しかし、やっさんは感情の爆発が止まる気配がない。

 「ぶっ殺してやる!ぶっ殺してやる!あ~、俺の人生はもう終わってるんだよ!」やっさんは号泣し、床に寝転がって三歳児のように両足と左腕をバタバタさせる。

 そのとき、マキは心臓が締め付けられたように物理的に胸が痛くなった。なんて気の毒な男なんだろう。

 「俺は終わりだぁ~、、、うわあ~ん」やっさんの暴走は止まることがなかった。まるで、川に飛び込んで激しくバタバタともがくが、これ以上は沈みゆくしかないという状況のようだった。

 「これなった以上、何しても無駄ね」串山は諦めて、ナースステーションに仕事に戻った。

 やっさんの叫び声はそれから15分続いた。

やっほー!みんな元気!?餅もちしてるー?私は枕を昔から使ってる安物に戻したら元気になりました!昨日は統失の友達を部屋に招待したんですが、彼は幻聴に悩まされているんです。部屋に来て二時間くらいおしゃべりした後、不意に友達が言いました?「今、子供の声ってきこえてないよね?」。もちろん私には何も聞こえてません。しかし、友達は一日中幻聴が聴こえるんです。本当に気の毒に思います。もちろん、私も陽性症状のときは、最大三人の幻聴が聞こえました。一日でも早く医学が進歩して、友達の幻聴が聞こえなくなる薬を開発してほしいと切に願います。

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