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剣技の魔女はよく壊す。:魔神ちゃん止まって!!

「姐さんまたかい。商品が売れて助かるがよォ……頻繁に壊されてちゃチったぁ誇りが揺らいじまうって」


鍛冶屋のホトフォは頭を掻き複雑な顔をした。自分を凄い鍛冶師とまで思わずとも、全力で作った剣をものの一ヶ月も経たずボロボロの姿で持ってこられ、平気ではいられなかった。


「私としては、魂のこもったあなたの剣は素晴らしいと思っているが、壊してしまう申し訳無さも同時に感じているのだ。体質故壊してしまうことを避けられないのをどうか許してほしい……」


「んもぁあ!わぁったからそこまで頭下げんでいいって! 知ってるよォあんた剣技の魔女だろ?俺ァここ来てそんな日も経ってねぇけど話は聞いてる。なんでも、『使うのをためらって滅多に剣を抜かないんだ』ってよ。俺もあんたのなり見てりゃ、粗雑に剣折ってるわけじゃねぇのはわかるさ。」


「かたじけない……」

「ま、あんたの好きな剣持ってきゃいい。こっちも商売だからな、売れた方がいい。ま、簡単に折られるとプライドにヒビくれぇは入るがな」

「ん、ありがとう大将。……ではこれをいただきたい」

「あいよまいど!」


 新たな武器を購入して店を去ると、剣技の魔女アルタナ・リゾータは俯いて、己の手を見つめた。

 自分の力の性質を改めて見つめ、それが変えようのない、どうしようもないことであることをひっそりと内に閉じ込めた。


 奇異の一撃、『ストレンジネスバースト』。

 己の拳から発せられる異常な魔力。それは魂の力と密接に結びつき、その魔力の放出、それだけで魔法となり果てている。

 剣を振るえば即座に壊れ、その代わりに莫大な魔力放出によって辺り一面を強大な力によって消し飛ばす。

 彼女にこの力を調節することはかなわず、唯一制御する方法として、『人のいない場所に移動するまでは使わない』と自身の意志で決めることだけだった。


 手にかかる負担がそのまま魔力放出へと繋がる。

 

 本当は剣だけでなく様々な武器も試したのだ。だが、負担がかかりすぎれば攻撃とする前に壊れ、負担が弱すぎれば威力も殆どなくなる。

 試した結果が一番その力に適していたのが剣であったのだが、そこから何故か『剣技の魔女』の異名が付いてしまった。剣技とは名ばかりの、大爆発級のエネルギーを一つの方向に飛ばすだけで、本当の技術を持った魔女たちには申し訳なく思うばかりであった。


 彼女が魔女協会に求めた依頼はこの『奇特な症状の解決方法』だ。

 それを見つけるまでは、彼女はこの魔女協会に所属し、代わりに他の依頼を解決し続ける。

 

 基本はパンチで――。

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