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22/22

待ち伏せと夕食



「適正キャラなんだっけ?」



 ホームルームも終わり放課後。既に僕たち以外に誰もいない教室でスマホの画面を見ながら悠真が僕に質問をしてくる。



 今は2人でソシャゲのゲリラクエストをやろうとしているところだ。

 



「ギミック対応してるのはマルモレハスとかじゃない?」



「持ってないわ。ていうか、なんか外が騒がしくね?」



 言われてみると外が少し騒がしい。ゲームに夢中で悠真に指摘されるまで全く気が付かなかった。



「玲奈?」



 何事かなと思い興味本位で窓を覗くと見知った人物の姿が目につく。

 というか、我が校の校門の前に立っていた人物は僕の彼女でもある朝倉玲奈だった。



「あー、本当だ。あそこにいるのお前の彼女じゃん」



 校門の前では玲奈を遠巻きに見る野次馬が沸いている。

 彼女の美貌もそうだし、着ている制服も影響しているのかもしれない。玲奈が通っている高校はこの付近でも有名なお嬢様学校だ。



 そんな女子校のお嬢様が何故かうちの高校にいるのだがら野次馬が湧いても致し方ない気がする。



 近くを通りかかった男子生徒やランニング中の野球部なんかが玲奈をチラ見している。野球部はランニングに集中した方がいいんじゃないかな? 

 まあ、気持ちは分かるけど。可愛い女の子とかスタイルのいい女性を見るとつい視線がそっちに行っちゃうよね。

 これはもう生理的反応だからしょうがないと思うんだ…だから、僕が玲奈と歩いてるときについ目線が他の女性に行っても怖い顔をしないでほしいな。



「ゲームはいいから早く行ってこいよ」



「うん、行ってくる」



 悠真に促された僕はバックを持ち、急いで教室を出て彼女が待つ校門に向かう。



「玲奈」



 スマホを見ていた彼女の名前を呼べばすぐに反応が返ってきた。



「あ、やっときた」



「どうしたの? なんか用事でもあった?」



 なんでこんな場所にいたのか確認する。ロインにも玲奈からのメッセージは来てなかったし。



「学校も早く終わったから、たまにはこういうのもいいかなって」



「こういうのって?」



「彼氏が通ってる高校の前で待つのも乙なものかなって。直樹も学校で友達とゲームしてるみたいだからちょうどいいかと思って」



 確かに悠真とゲームをしてから帰るから帰りが少し遅れるというロインは授業終わりに送った。



「そっか。でも、だいぶ目立っちゃったね。連絡をくれたらすぐに迎えに言ったのに」



「サプライズがしたくて。嫌だった?」



「別に。むしろ可愛い彼女を自慢出来ていい気分なぐらいだよ」



「なら良かったわ。見られたくない理由でもあるのかと思って」



「理由?」



 玲奈をウチの高校の生徒に見られたくない理由なんか無いけどね。



「浮気とか…?」



 無表情になってそうなことを言う玲奈…顔が怖いって。

 安心してほしい…僕にそんな勇気や度胸はないのだから。



「ちなみに、万が一にも僕が浮気してたらどうするの?」



 一応、彼女に確認してみる。



「フフッ、もちろん相手を殺して私も死ねわ」



「そ、そっか…」



「冗談よ」



 顔は笑顔だけど目が笑ってないんだよな。普通に怖いし…冗談に聞こえないって。



「とりあえず帰ろっか」



 玲奈の手を取り帰ろうと促す。周囲を気にせずに手を繋いで帰るなんて、周りから見ればバカップルにしか見えないだろう。



 ランニングを終わらせた野球部の男子たちからは嫉妬に狂った目で見つめられているし。

 だが僕は知っている。野球部のキャプテンが裏で3年の胸の大きい可愛い先輩と付き合っていることを。



 たまたま休日に2人がデートしている所を目撃したのだ。お前たちの中に裏切り者がいるぞ。



「そうね、今日は何を食べたい?」



 僕が手を差し出したことにご満悦な玲奈から夕食についと聞かれる。



「うーん、あっさりとしたものが食べたいかも」



 今はこってりとした食べ物よりもあっさりとしたものを食べたい気分だ。



「そう、じゃあ豚骨ラーメンと唐揚げとカツカレーね」



「それはもうシンプルに量が多すぎるよ」



 食べたいもの以前に量が多い。僕の胃袋はそんなに頑張れないから許してほしい。



「そお? じゃあ豚骨ラーメンだけね」



 上目遣いで首を傾げる玲奈。全く…いつ僕がそんな量の食事を取ったというのか。



「出来ればもう少しあっさりした物をお願いしたいかな」



「冗談よ。冷やし中華とかは?」



「いいね、それでお願いしようかな」



 学校を出たあとは近所のスーパーで買い物をして、僕が住むマンションに帰った。

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