部活のマネージャーと付き合ってみたい人生だった
「惣菜パンばっか食ってたら「1人分も2人分も変わんないから」って作ってくれることになった」
「良かったじゃん翔」
そのマネージャーの先輩も嫌いな相手の為にわざわざ手作り弁当なんて作らないだろうし、翔もそこそこの好感度は稼げてるんじゃ無いだろうか。
「お、俺だって惣菜パンを昼メシにしてる時はあるのに!」
そんな悠真の戯言を聞きながら弁当箱を開けると、中からはカレーの美味しそうな匂いが漂い食欲を誘う。授業で疲れた体はカレーを食べるのには最高のスパイスだ。
昨日の夜も食べたけどやっぱり美味しい。玲奈に頼んで弁当分も残してもらって正解だった。
「でも、翔が先輩と付き合えたらこの中で彼女いないの悠真だけだね」
「た…確かに…!」
「もう手当たり次第にアタックしてみれば」
「いくらなんでもそこまで飢えてねぇよ!」
僕の冗談を食い気味に否定する悠真。相変わらずキレのあるツッコミだ。
「でも中学の時に」
「おま! それより早く弁当食おうぜ」
翔が何かを言おうとした所で慌てた様子で遮った悠真。翔と悠真は地元が同じで子供の頃からの仲だからお互いの事を色々と知っている。
「悠真がなんだって?」
もちろん、面白そうな雰囲気がするし悠真を逃す気はない。
「中学の時に美人姉妹の両方に告白してた」
「顔がタイプだったの?」
「まあ、そんなところ」
「しかも姉に振られた次の日に妹に告ってた」
「次の日は流石に早くない?」
しかも姉妹だからあっという間に情報共有されそう。
「そんで直ぐに噂になって女子から節操なしって言われて嫌われてた」
「へー」
「何だよ…そんな目で見るなって! だって
好みドンピシャだったんだよ!」
「悠真は姉妹丼好きだもんね」
「むしろ姉妹物でしか興奮出来ないって昔言ってた気がする」
「あー、そんな顔してる」
「言ってないわ! ていうか、姉妹物好きそうな顔ってどんな顔だよ!」
「そんな顔じゃね」
「それね」
僕の適当な返しに翔も同意してくれる。
「適当だな!」
「そんな事より翔は先輩との進展はあったの?」
弁当を作ってもらうぐらいだから良い方に進展があるはず。
「私も好きだけど部活引退するまで待ってって言われた」
「それ…もう両思いってことじゃん」
「マジかよ! 良かったじゃん!」
「おめでとう」
「でも、まだ正式に付き合ってるわけじゃないから微妙な感じ」
「いいだろ、俺なんか正式などころか生まれてこの方彼女なんていた事がないんだからな!」
何はともあれ翔がマネージャーの先輩と付き合えそうで良かった。
どうせなら友達の恋は上手くいってほしいしね。
でも、同じ部活の先輩マネージャーと付き合うとかいうシチュエーションは羨ましい。
僕もマネージャーとか先輩になった玲奈と付き合うとかやってみたかったな。
玲奈と同じ高校に入学していれば出来たんだろうか?
いや、どうせ運動部には入らないから僕には関係ない話しだ。




