カレーと弁当
平日の朝。
玲奈の作ってくれた朝食を堪能する。今日の朝食はトーストと目玉焼きにベーコン、サラダ、オニオンスープだ。
朝から彼女の作ってくれた美味しいご飯を食べれるなんて幸せだなと改めて思う。
そんな幸せな時間が終わり、もうすぐ家を出なければいけない時間だ。学校に行きたくないなーと少し憂鬱な気分になる。
高校が昼スタートだったら良かったのになーとか非現実なことを考えてしまう。
「はぁ〜」
ついため息を吐いてしまった。
「どうしたの?」
「学校に行くの面倒くさい……家で玲奈とイチャイチャしていたい」
「もう…私もそうしたいけど今日は学校でしょ」
「うん…」
「朝ごはん食べたなら行く準備しないと」
「分かった」
重い腰を上げて椅子から立ち上がる。歯を磨き、寝巻きから制服に着替えれば準備完了だ。
「準備終わったよ」
「分かったわ。それじゃあ行きましょうか」
「うん」
リビングの電気を消し鍵を閉めて家を出て、途中まで2人で一緒に通学した。
昼休み。
お腹が空いた僕は4限の授業が終わって直ぐに玲奈が作ってくれたお弁当を鞄の中から取り出す。
今日は3限の終わりぐらいからお腹が空いてしょうがなかった。
途中で早弁しようかと考えたほどだ。授業中にお腹の鳴る音が周りに聞こえてないかとヒヤヒヤした。
「相変わらず美味そうなもの食ってるな。羨ましいぜ愛妻弁当、俺なんてコンビニ弁当だからな」
悠真はそう言って袋からコロッケやフィッシュフライが乗っているのり弁を取り出した。
「でしょ。でも、そういう揚げ物たっぷりの不健康そうなものも良いよね」
玲奈は料理上手で作ってくれる食事は全部美味しい。
だから文句なんて全く無いんだけど、たまにはジャンクフードみたいな不健康な食べ物を食べたくなる。
「毎日だと飽きてくるぞ。なるべく同じものは買わないようにしてるけど」
「そっか」
「なんなら弁当の中身交換するか?」
「それは嫌だ」
せっかく玲奈が僕の為に作ってくれたのだから自分で全部食べたい。
「にしても、カレーか。匂いに釣られてカレーが食べたくなってくるな」
「俺も帰りはココ8でカレー食べて帰ろうかな」
ここで、さっきまで机に突っ伏して寝ていた翔が会話に参加してきた。
いつの間にか起きていたようだ。翔は授業中に寝ている事も多いけど、僕たちの中で1番に成績がいい。
というか、学年でもトップ10に入るぐらいの学力を持っている。
だから、ほとんどの同級生よりも勉強が出来るということになる。
「うん? 翔も今日は弁当なのか?」
「ホントだ。珍しいね」
悠真に言われて気が付いた。確かに翔はいつも弁当ではなくて惣菜パンやおにぎりを食べているから珍しい。
「あー、センパイが作ってくれた」
「先輩って翔が好きな?」
「そう」
「なんだって! ついに翔まで愛妻弁当をー!!」
羨ましさから崩れ落ちる悠真。
どうやら翔はマネージャーの先輩と順調に中を深めているみたいで良かった。




