スイカとメロン
色々あったが一件落着して今は各々が頼んだ料理を楽しんでいる。
僕たちが頼んだものに加えて玲奈とひなのが頼んだ物も届き、テーブルを見渡せば様々な料理が並んでいる。
「お兄ちゃん〜」
「ん?」
「あーん」
「あーん。うん、美味しい」
ひなのから差し出されたティラミスを口の中に入れるとほろ苦いココアの味と濃厚なチーズを感じる。
ほろ苦さと甘みがバランスよくマッチしていて大人の味といった感じだ。それでいて、フワフワと軽い食感で食べやすくて美味しい。
「私のも美味しいわよ」
「もらっていい?」
「うん。はい、あーん」
「あーん」
今度は玲奈からプリンを口の中に入れられる。
普通のプリンと違って濃厚なチーズの味がする。これはこれで美味しく、硬めの食感で食べごたえがあってクセになる。
「今度はこれね〜」
そう言ったひなのにドリアを口に突っ込まれる。
「あーん」
「チキンも食べるでしょ」
「うん」
「あーん」
次は玲奈からチキンを食べさせてもらう。右には可愛い妹。左には愛しい彼女。まさに両手に花とはこのことだなと我ながら思う。
「なぁー、俺はさっきから何を見せられてるの…?」
2人に食事を食べさせてもらっていると目の前で黙々とピザとパスタを食べていた悠真にツッコまれる。
「何って、食事を食べさせてもらってるだけだけど?」
「だけじゃないわ! イチャイチャしやがって!」
悔しそうな表情で血涙を流し叫ぶ悠真。
「クッ! しかもずっと美少女2人に抱き付かれてるし!!」
2人には抱きつかれているので、僕の肘には二つの柔らかい双丘が押しつけられていて気持ちいい。
玲奈のメロンとひなのスイカを堪能しながら料理を食べさせてもらっている現状は中々に贅沢なシチュエーションだと自分でも思う。
しかも相手は美少女JKと美少女JCなわけだから本来なら大量のお金を請求されそうなところだ。
「俺もご飯を食べさせてくれる彼女が欲しい……」
「先輩は彼女が欲しいんですか?」
「そうだよ妹ちゃん……」
「ウチの中学校に彼氏を欲しがってる女の子いますよ、先輩に紹介しましょうか?」
「マジ!?」
「マジです」
「どんな子なの!?」
「美人で家庭的で勉強が出来て面倒見もいいですよ」
何だか凄く裏のありそうな話しだ。そもそも、本当にそんなハイスペックな女の子がひなのの知り合いにいるのかどうかも怪しい…
というか、ひなの紹介というのが我が妹ながら既に怪しい。
「そんないい子が俺のこと好きなの!?」
悠真は悠真で話しが飛躍してるし。紹介してくれるというだけで、誰も好きだなんて言っていない。
「瞳さんて言うんですけど、いつも「彼ピッピ欲しい」って言ってますしチャンスはあるんじゃないですか」
彼ピッピ…?
「写真とかある!?」
「ありますよー」
そう言ってスマホを取り出したひなのは一枚の写真を見せてくれる。
「どの子!?」
当然のように前傾姿勢になりスマホに食いつく悠真。
「私の隣にいる子です」
「え! 可愛い! 本当にこの子を紹介してくれるの!?」
確かにひなのの隣にいる子の容姿は整っていて可愛い。
「? いえ、その子じゃなくて」
「え?」
「彼ピッピが欲しいのは左隣にいる子です」
「その人って…」
「私の担任だった瞳ちゃんです」
「ちなみに歳はおいくつで?」
「え〜と、確か34歳ですね」
「流石に年が違いすぎるー!!」
ニコッといい笑顔で告げるひなの。妹が楽しそうでお兄ちゃんは嬉しいよ。




