女の子連れ込みました
ん?なんだこれなんだこれ。なんも痛くないぞ。あ、あれか一瞬で死んだら痛くないみたいなあれか。なんかでも目を開けるのが怖いな。
でも手には女の子の体の柔らかい感覚が残っている。
あっ分かった!真冬君わかっちゃった!きっとあれだ異世界転生だ!
この可愛い女の子と異世界を冒険するんだ!きっと目を開ければ転生する前の中継地点的な女神の部屋とかがあるんだよ。
さぁ!さよなら現世!やり残したことと言えば童貞捨てることくらい!向こうでならやれるさ!
目を開けましょうこんにちわぁああああ…?
「あれ?」
広がっていたのは異世界っぽい光景ではなかった。ていうかなんだ青空?ん?あれぇ?
これどういうこ
「ぐぅえッ!!」
はぁぅっ!みぞおちに入った…!なんか入った!
横を見ると目を瞑ったまま女の子が顔をしかめている。多分女の子の肘が俺のみぞおちに入ったのか…!
「うう…うぇ?」
「あっ…っくう…!気が…ついたんだ…」
「え…っと…。お兄さんは誰ですか…?」
「…通りすがりの…ヒーローですぅ」
こんなのたうち回って脂汗たらしてるヒーローあんまいねェか。
なんとか状況を整理しようと周囲を見渡すと、眼前には横転した電車がけむりをモクモクとあげていることに気が付く。あちこちから聞こえる悲鳴。無音と思わせる虚構の意識が時間と共に現実へと引き戻される。
「大丈夫ですかー!?お怪我はありませんか!?」
「離れてください危険です!}
うおっ駅員さんが顔面蒼白で走ってきた。こっちに来るぞ。やっべぇ怒られるかな。
「に…逃げなきゃ」
「え?」
女の子はフラフラと立ち上がる。そして、今にも倒れそうになりながら線路を逆に進んでいく。
あっこけた。
「何で逃げるんだ?なんかわからんけどどっか怪我してるかもしんねぇし助けてもらおうぜ」
「…あれは、私がやったんです。そして捕まったら…お家に帰らないと!」
家出少女だったのね。
ま、なんかあの電車を倒したこと?を私のせいとか言ってるがそれは知らん。口では何とでも言えるからな。けど行動は別だ。
この必死な行動を見れば、必死に逃げようとする姿を見ればつかまりたくないということは理解できる。
「よしきた逃げるか」
「え?」
誤解はしないでいただきたい。ただそのまま受け取ってくれ。
俺は女の子の股の下に頭を突っ込んだ。
「きゃっ!?」
「いよいっしょおお!あっ良い匂い!」
ほんとになんか良い匂いする。えっ嬉し。首に柔らかいお尻の感触も当たるし最高だな!!
こうして人生初の肩車を敢行した。
「じゃあな千草くたばれぇ!」
「はぁああ!?何やってんだよ真冬!!」
なんかずっとあたふたしてたチビを置いて俺は走り出す。
「あばよとっつぁああん!」
「こけんなよー!!」
「ここは…お兄さんのお家ですか?」
「そそ。楽にしてていいよ。飲み物取ってくるわ」
一旦の避難所として我が家を選びついでに諸々の事情を聞こうと思う。キッチンにある冷蔵庫からファミリーサイズのコーラを取り、コップと一緒にリビングへもっていく。
そう言えば女の子を呼ぶなんて初めての経験か。部活の奴は考えないものとする。彼氏持ちだからねあの人は。
突然のことだったので男二人暮らしの家は当然汚いし、部屋も賃貸でせまいし、女の子を呼ぶべきではないことは重々承知しているんだけど…。なんか嬉しい。
「なっなんですかこれっ黒!」
「え?コーラだよコーラ」
「怒られました?私」
「?」
「?」
なんかすれ違ってる?え、コーラ知らないの?
多少困惑しながらも二人分コップにコーラを注ぎ、女の子に渡す。
「沸騰してます!」
「してません!」
なんなんだこいつ!どういう設定演じてんだこの女!!キレイに正座しているし凛としているかと思えばなんかガキっぽいし。
女の子は恐る恐るコップに口をつけコーラをちびちびと舐めるように飲む。女の子はその大きな瞳をパッと見開いた。
「攻撃されてます!」
「されてません!」
コーラの炭酸もそろそろ抜けてきそうなくらいの時間が経ち、話を切り出す。
「君の名前は?」
「西ノ宮 冷夏です。冷たい夏で冷夏って言います」
「冷夏ちゃん。歳はいくつ?」
「15です」
15!?なんか背徳感あるなぁ!!
「冷夏ちゃん、なんかいろいろ聞きたいことはあるんだけど…。単刀直入に聞く。どうして俺たちは電車にひかれて生きてたんだ?」
「それは…。えっと、見てもらう方が早いですね」
冷夏ちゃんは柔らかい表情からスッと切り替わり真剣な表情になる。立ち上がると大きく息を吸いこみ閉じた瞳から青い光が流れ出る。
んだこりゃあ!?
青い光が出て数瞬、今度は半透明の青い膜みたいなものが冷夏ちゃんを中心としてドーム状に広がっていく。
「これが私の能力です。何物にも壊せないしすり抜けられないバリアが展開されます」
「うわぁちょっと止めて止めて!」
広がってくるバリアに押しつぶされると思い、慌てて後方へ退避するが…。
「「あっ」」
机の脚に自分の足を引っかけて思いっきり転んだ。やばっ!
「ちょいちょいちょいストップぁああああああ!!!…ぁあ?」
バリアに触れる感触はなかった。どころか、なぜかバリアは俺の体をすり抜けた。バリアの中で困惑した二人の間に静寂が流れる。
「こんちは」
「あっどうも」
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