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2. とあるヒーロー世界を救う

ボチボチ頑張ります!


エッシャーの絵の世界!


分かるかなぁ?!


あと四話!

2. とあるヒーロー、地球を救う!



熊野井サトルは、両親や兄弟たちと、東京都心のタワーマンションの高層階に暮らしていた。


熊野井サトルは、子ども部屋から見る東京都心のタワーマンション高層階からの夜景が気に入っていた。熊野井サトルは、時間があると、タワーマンション高層階からの景色を眺めていた。熊野井サトルは、特に、夜空の星が宇宙の広大さを感じさせてくれる夜景がお気に入りであった。


とある冬の夜のことであった。熊野井サトルは、自分が毎日見ている夜景に異変が生じていることに気づいた。


「夜空を行き来する、UFOたちの様子が変だぞ! いつもは、悠然ゆうぜんとして、自分たちの予定に従って、夜空を行き来しているのに、何か事件でも起こっているかのように、UFOたちは、夜空のあちらこちらの場所にに集まっては、集まっては散り散りになり、また、違う場所に集まるという行動を繰り返している」


熊野井サトルは、UFOたちの不安が自分でも感じ取れるような気がした。


翌日、昼過ぎ、熊野井サトルは、ふと気づくと、新宿のとあるゲームセンターにいた。


「今日は、学校なのに、俺は、なぜ、俺はゲームセンターにいるのだ? 」


熊野井サトルは、自分のいるゲームセンターに違和感を感じた。


新宿の人でにぎわう通りのゲームセンターなのに、このゲームセンターには、客が一人もいなかった。客がいないだけではない。このゲームセンターには、スタッフもいなかった。熊野井サトルにとっては、ここは、家族や友達とよく来るなじみのゲームセンターであるのだがこの、これまで、客やスタッフが一人もいないと言うことは一度もなかった。


このゲームセンターには、たくさんのゲーム台やアトラクションが置かれているのに、ゲーム機が動いている様子はなかった。いつもの音楽もなければ、効果音もなく、催し物など様々な情報のアナウンスもなかった。


静まりかえったゲームセンターの中を、熊野井サトルは、歩き回った。


熊野井サトルは、何かの気配を感じると、熊野井サトルの前には、突然、一人の宇宙人が現れた。


熊野井サトルは、宇宙人にぶつかるところだったが、何とか踏ん張った。


宇宙人は、熊野井サトルが踏ん張って止まり、自分にはぶつかることはないことがあらかじめ分かっていたような、落ち着いた様子であった。


宇宙人は、何とか踏みとどまった熊野井サトルに何かを伝えようというのであろう。手のひらの指で指し示した。宇宙人の指の先の方には、見慣れぬブースの入り口があった。


「熊野井サトル! これが君のために用意したコクピットだ!」


そう、宇宙人は言った。


「熊野井サトルよ、ついに、我々が行ってきた膨大な時間の訓練の成果を示すときがやっていたのだ」



----


熊野井サトルと宇宙人がいるブースは、狭い。


「熊野井サトル、君はコクピットでヒーローとなり、世界を破滅から救うのだ」


宇宙人は言った。


「間もなく、太陽の活動に異常が生じる。その結果、膨大なエネルギーが地球に襲いかかる。そして、地球は瞬く間に、太陽系から消し去られてしまう」


「太陽フレア?」


熊野井サトルは、太陽フレアというのは、家の科学図鑑で読んだことがあった。


「そんな小規模のものであれば、私たちはこんなに慌てはしない」


熊野井サトルは、宇宙人のいう壮大なスケールの太陽フレアを頭に描いてみようとした。


「宇宙的な規模スケールの装置を操作すると言うにはこのブースは、あまりに簡素なコクピットである! だが、だがこのコクピットの小さな区画のどちらかと言えば古びたクレーンゲームに必要な宇宙人のいう宇宙的な規模の操作の機構は集約されているとでも言うのか?」


熊野井サトルは、じっくりと、ブースの中、目の前にあったクレーンゲームをじっくりと見てみた。


そして、やはりこの小さなブースにあったクレーンゲームは、熊野井サトルにとっては見慣れた、何の変哲もない「クレーンゲーム」いうもの、そのものであった。


この「クレーンゲーム」らしきものについてよく見てみよう。


「クレーンゲーム」のクレーンというのは、例えば用意された景品のぬいぐるみを吊り上げるためにあるのだが、熊野井サトルの前にあるクレーンゲームでは、景品を得るのは、非常に困難に思えた。


それにしても、このクレーン、非常に不安定で、華奢なクレーンであった。


このクレーンゲームを操作して、中の景品を持ち上げるのはとても難しそうに思えた。


しかも、この「クレーンゲーム」では、中に置かれた何十とあるぬいぐるみたちの中に、一つだけ「目的のぬいぐるみ」というものが設定されていて、その一つだけの「目的のぬいぐるみ」というものは、一つだけの「目的のぬいぐるみ」以外のぬいぐるみたちが邪魔になって取り出しづらい位置に置かれている。


「このクレーンゲームで、一つだけの『目的のぬいぐるみ』を手に入れるためにはとんでもない数の失敗を繰り返す必要がありそうだ」


熊野井サトルは、非常に短時間に、適切に装置の外から、装置のボタンを限られた回数適切に押して、「目的のぬいぐるみ」を釣り上げというか、吊り上げ、「目的のぬいぐるみ」を落とさぬように装置の内部と装置の外部とをつなぐ穴の真上に移動させ、この穴の真上から、「目的のぬいぐるみ」を落下させることが求められた。


「とても出来そうにない!」


悲観的な気持ちが、熊野井サトルの心を占領した。


しかし、宇宙人が言うには、熊野井サトルは、何億人からひとり、生まれる以前から選ばれた人間である。


そのため宇宙人により熊野井サトルは、この「クレーンゲーム」の操作訓練を母親のお腹にいた頃から、10年間受けてきたという。


熊野井サトルは、まだ、10歳なのに、10年間の訓練なんておかしな話だ。


「難し過ぎるクレーンゲーム、それでも、これは、クレーンゲームと呼んで良いものだろうか? それとも、この装置には、別の立派な名前がついているのでしょうか」


熊野井サトルは、宇宙人に答えをうながした。


熊野井サトルの先生と主張する、親切で、上品で、しなやかな身振りの宇宙人は、熊野井サトルをさとしてくれた。


「考えてみれば、それは確かに、クレーンゲームと言うなら、クレーンゲーム、そのものだよ! 難しく考える必要はない」


「頼りになりそうな気はしない、この装置。クレーンゲームで地球を救うなんて」


熊野井サトルが不安な気持ちになるのも仕方ないことだった。


熊野井サトルの不安な気持ちを宇宙人は、み取った。宇宙人は、熊野井サトルを励まそうとしたが、言葉を選び損ねた。


「前回、数百年前の話だが、起動した時にはなんの問題もなかった。今回も、万端な準備と手筈てはずととのえてあるはずだ」



「前回というのは、何百万年前の話?! しかし、この装置、どれだけ昔に作られたのか?」


「クレーンゲームというのは、今に始まったものではない地球の始まりの歴史を超える太古の時代から存在していたものなのだ」


「嘘くさいな」


熊野井サトルは、宇宙人の話を納得できず、そう呟いたのだが、それは、熊野井サトルの正直な気持ちだった。


「作ったのは、私ではないから。昔のことは、よく分からない。しかし、クレーンゲームという古代人の英知に頼り、君たち、地球上の生物は何度もこの難局を乗り越えて生き延び、進化し、そして、今あるような理想郷を、作り上げることに成功したのだ」


----


いよいよ、熊野井サトルが、クレーンゲームの操作を始めた。宇宙人が、熊野井サトルがクレーンゲームの操作訓練を10年間受けてきたと証言するだけあって、熊野井サトルのボタンさばきは手慣れているように見えた


滑らかに動いていたぬいぐるみが、かすかに減速したタイミングで、「目的のぬいぐるみ」が、他のぬいぐるみたちの群から、顔を出したタイミングで、この「目的のぬいぐるみ」をすくい上げた。


クレーンは、「目的のぬいぐるみ」を細心の注意を払い、この「目的のぬいぐるみ」を取り出すために用意された穴までまで運ぶと、この穴の真上で、「目的のぬいぐるみ」を落とした。すると、この「目的のぬいぐるみ」は、穴を通って落ちていった。しかし、この「目的のぬいぐるみ」は、クレーンゲームの回収口には姿を現さなかった。


熊野井サトルは、不審に思って、「目的のぬいぐるみ」が、落ちていった穴の中をのぞき込んでみた。熊野井サトルは、穴の中に深い深い、言いようのない闇が広がっているのを見つけた。


この刹那せつな、世界が、闇と光によって閉ざされた。


熊野井サトルは、自分がクレーンゲームを操作することによって、自分の世界というか、地球という世界を丸ごと異世界に飛ばしてしまったことに気がついた。


「これで、俺は、地球を救ったということになるのか。地球も何もかも、異世界に行って、ただの闇になってしまった。これでは、太陽フレアに焼き尽くされたのと大して変わらないだろう」


熊野井サトルは、宇宙人が呼びかける声が聞こえた。


「ぬいぐるみのある方に向かって進みなさい。ぬいぐるみは、あの穴から落ちたことで、前の世界に止まることが出来ているのです。ぬいぐるみのほうに進めば、この異世界から元の世界に戻ることが出来ます」


このようにして、誰にも知られず、誰にも認められずに熊野井サトルは、地球を危機から救ったのでありました。







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