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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第二章  作者: 冠 三湯切
第二章プロローグ The End of the peaceful days (異世界の生活 終幕)
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リメイク第二章 異世界の日常

リメイク版第二章。ベースは第2章のリメイクで、一部の展開の変更と設定の変更し、各話をより掘り下げた感じで書いていけたら良いなと思っています。

 異世界の英雄、彼がそう呼ばれていたのは今は昔の事。


 十八年前、この世界は一つの脅威に怯えていた。自らをゼロと名乗った男はありとあらゆる魔法と、バケモノと呼ばれる怪物を武器に、この異世界を襲っていた。そんな彼と激闘を繰り広げ、僕は勝利した。


 僕の名は三上 礼、出身は日本国、某地方の県。要するにただの一般人だった人だ。


 それがある日、僕はこのアダムスと呼ばれる異世界に飛ばされ、そしていつのまにか僕はこの世界の脅威を倒してしまった。


 そして今はこの異世界で平和に暮らしている。


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 第二章プロローグ 


 『ピピピピピッッ!!!』


 「ぬーzzz」


 ぴっ



 

 『ピピピピピッッ!!!』


 「ぬん  zzz」


 ぴっ




 『シューーーーッ!!!』


 ゴドゴトドン!!


 「んぬ      zzz」






 「くぅぉぉらぁぁぁっ!!グレイシアァァッッ!!」


 「んん〜・・・」


 僕はいつものように大声を張り上げた。


 「全く、本当君はねぼすけさんなんだからもー!ほらグレイシア、顔洗いなさい!」


 目覚ましを何度もかけて、尚且つ定刻起床装置を使ってもベッドから転げ落ちるだけで一向にぐで〜っと起きようとしないのはグレイシア、今年でもう二十三歳になる。いい大人なのに、だらしないな・・・そう言う僕ももう三十八歳、かなりのおっさんの筈だ。


 けど、どう言う訳かこの世界に来て以降老けない。寧ろ若返り小学生とたまに間違えられ、職質を受けることがある。


 グレイシアは今大学に通っている、なんでも将来の夢は教師になる事らしい。歌が上手いから音楽教師かと思ったら国語なんだって。


 そんな僕は何をしてるのかと言うと、家電修理事業はかなり上手く行き、そして開発、製造をやったらめちゃくちゃ儲かった。まぁ、二層式洗濯機しかなかったここに、マイコン制御の全自動洗濯機を試しに作ったらバカ売れしたって感じだ。


 この世界はまだ僕たちの世界に比べて文明は少し遅い。今はせいぜい八十年代って所だ、若者中心にポケベルが流行ってる。


 「くわぁ〜・・・んじゃ行って来るから・・・」


 グレイシアは眠そうな目を擦りながら大学へ向かった。


 「やれやれ、やっと最近になって多少は起きれるようになったかな・・・いや、目覚まし一発で起きろよ。何これで満足してるんだ僕」


 グレイシアは本当に朝が弱い、いつも僕が無理矢理起こしてる。どうにか対策をと思って向かいの家の時計屋に自動起床装置作ってもらったりした。やっとその効果が出始めた気がするけど・・・これで、教師かぁ。先が思いやられる・・・


 「ふぁ〜・・・朝からうるさいなぁ、ご近所迷惑だよぉ?」


 「ねぇフォックス?君は今何時だと思ってる?」


 「んお〜?朝の八時半だねぇ、後三十分は寝れるねぇ・・・んじゃお休」


 「とっとと、起きなさーーーーーいっ!!!」


 「あんぎゃわぅっ!!?」


 僕はフォックスを抱き抱えて洗面台に溜めた水に突っ込んだ。


 「ぶるるるるるるる!!なにすんだぃ!?礼兄ちゃんよぅ!!」


 フォックスは身体をブルブル震わせて水気を払うとやっと起きたのか、元気に反撃してきた。この子の名前はフォックス、出身は日本のしゃべる狐と言う変わった生き物だ。今は僕の家でのんびりと暮らして食い意地が凄い。そしてグレイシア位に良く寝るけど、この子の場合は食べ物で釣れば即起きるから多少問題はない。でもこの子にもちゃんと起きて欲しいよ・・・


 「平日でも七時には起きなさいって毎日言ってるでしょ?」


 「えー・・・」


 「えーじゃない!ほんともー、毎日掃除とか大変なんだからさ。ほらほら、そろそろ毛の生え変わり時期だから一杯出て来るの。ほら、こんなにもっさりと!」


 「あや〜、そろそろ夏かねぇ」


 「感想言ってる前に手伝って!」


 僕はフォックスに掃除を手伝わせた。


 



 今日の仕事は少し休みだ。僕は少し時間を置いてグレイシアの大学方面へと向かう、一応僕も中央にある大学の一員という扱いになってる。そこで僕の異世界転移についてやバケモノの研究等の手伝いをしたりすることがある。


 ついでに大学の研究施設で僕の新しい家電の実験なんかもやってる。


 僕はフォックスをお留守番させ、大学に向かう。


 街を歩くと街頭テレビでは新しくデビューしたアイドルグループの映像が流れてる。そのうちの一人は僕のちょっとした知り合いで、僕の家の向かいに住んでる時計屋さんの子だ、僕は少し嬉しくなった。


 「あーミカミちゃん、ちょっといいかしら?」


 突然声をかけられた、近所に住んでるおばさんだ。


 「どうしました?」


 「どうもね、うちの洗濯機壊れちゃったみたいで見て欲しいのよ。今日大丈夫だったかしら?」


 「あー・・・見るだけなら大丈夫ですよ?どんな感じです?」


 まだ少し時間はある。原因くらいは突き止められるだろ・・・


 


 「あ、これもう二十年近く前の奴ですね、それでモーターがダメになっちゃってます。買い替えた方が良いと思います」


 「あら、長いこと使ってたから思い入れがあったのに・・・」


 「なんだかんだ、家電も消耗品ですよ」


 「でもねぇ、今あんまりお金がないのよ」


 この人は貧乏性と言うかケチと言うかなんだよね。買おうと思えば買える、そもそも中央暮らしの人だもの。


 「あー、僕のとこは常に最新式を求めて作ってばっかりですねらね・・・あ!ならアメジストセージ製作所さんのならどうです?あそこの製品は僕もおススメです」


 アメジストセージ製作所は、僕の礼電気機器工業の後に家電業界に参入したライバルってとこだ。


 「確かにねぇ。にしてもミカミちゃん、自分のとこを推さないのね」


 「お客さまを第一に考えるなら会社の利益より一人一人のニーズです」


 あそこのは本当に質がいいんだよね、それでいて安い。あの人の手先の器用さが出てるのかなぁ。


 「ミカミちゃん今日はありがとねー」


 「どうも」


 さて、そろそろ行かないと遅れるか。僕は少し早足で大学に向かう。


 


 大学に到達し、僕は研究棟へと向かう。グレイシアは一眼目をやってる頃か。


 「あれ?」


 「やっ!!ミカミ君!!今朝の街頭テレビ見たかい!?いゃぁ見事なデビューだったよね!今日は打ち上げパーティだー!」


 研究棟内にはどう言うことか、この国の国王陛下がいらっしゃってた。


 アレックス アダムス、飾らない性格で国民の支持も厚い。それとこの人、かなりのエンターテイナーだ。例のアイドルグループも発端はこの人が原因だ。それ以外にも結構テーマパークの運営とかを国王関係なしにやってる。そのせいか国民からの扱いは国王よりも社長の方が似合ってると言われてる。


 「確かに良かったですけど、それよりここで何してるんです?」


 「あぁ、少しこれを。バケモノに関するデータなんだけど」


 ふむふむ・・・僕はアレックスさんとバケモノについてのデータを見ていた。


 



 「さてと!では私は娘の授業の様子を見て帰るとしようかな!?」


 「嫌がられません?」


 「だいじょーぶ、バレなきゃ問題にならないからさ!」


 後この人、子煩悩と言うか娘にデレデレだ。娘のエルメス アダムスはグレイシアと同い年で、幼稚園の頃から一緒だ。


 エルメスはグレイシアと違って結構しっかりしてる子でその性格からか、超自由人でど天然なグレイシアによくお節介を焼いてる。その凸凹コンビなやりとりはこの大学内で地味に人気になってる。


 「それはそうとミカミ君、君もそろそろ結婚はしないのかい?もうすぐ一応は四十になるでしょ?」


 「確かに考えた方が良いのかもしれませんけど、なんだかんだグレイシアたちの面倒で考える余裕も出会いもなくて」


 「なら、うちの娘はどうだい?」


 「それは本人が決めることでしょ?僕じゃない。と言うか、それこそグレイシアもそろそろ彼氏の一人くらいいても良いのに」


 「だよね、エルメスもなんだかんだいつもこう言った縁談を断ってしまってね・・・」


 僕とアレックスさんは一緒にため息をついた。


 ぞくっ


 「うひっ!?」


 「ど、どうしたんだい?変な声出して・・・」


 背筋が今ぞくっとした、なんか視線が・・・あぁ、またか。


 これと言った被害は無いけど実は今、ストーカーに遭ってる。多分あの子はグレイシアの後輩の子なんだけど、昔あったちょっとした出来事以降、一定の距離を置いて僕を付けて来る。あ、いなくなった・・・







 「さてと、今日はそろそろ帰ります。洗濯入れなきゃいけないので、あとご飯の用意も」


 「ミカミ君、君一応大企業の社長だよね?家政婦雇ったら?」


 「アレックスさん、僕の望みはごく普通の一般的な生活。たまにやるプチ贅沢で十分です」


 「そんなだから周りからミカミ君はお母さんって・・・」


 「何か言いました?」


 「いや何も?」


 なら良い、これ以上何か言ったら国王であってもゲンコツ行くからね。


 「それはそうとアレックスさん?なんでまだ残ってるんです?帰るんじゃ」


 「気が変わってね、一緒に帰ろうかと」


 なんだそれ、この人国王の仕事もちゃんとやってるのだろうか?


 まぁ、そんな感じなのが今の僕の日常だ。異世界だろうと関係ない、僕はここで普通に暮らす。普通にしてはちょっと刺激は強い気もするけど、これくらいならご愛嬌。寧ろ恵まれてるのか、これだけ毎日刺激が貰えると言うのは。


 今僕は平和に暮らしてる、これからもそうやって生きていくつもりだ。悩みの種と言えばこの老けない身体くらいだ。


 


 僕は家に帰った。


 「うおーう!!礼兄ちゃぁぁん!!さっきこっち雨降ってきて頑張って入れたんだけどよぅ!!タオルが毛に絡まっちゃったー!!おたすけー!!」


 「あー・・・」


 家に帰るとフォックスが気を利かせて洗濯物を取り入れてくれたんだけど・・・ありがたいけどしっちゃかめっちゃかになっちゃった。雨降ってたんだ、天気予報め・・・今日は洗濯日和って言ってたじゃん・・・


 



 「ふひぃー。助かったぁ・・・」


 なんとか全部元に戻したけど、タオルにフォックスの毛が・・・後で洗ってからコインランドリー持って行こうかな・・・ガス乾燥機付きのを近所に作ったんだ。


 「さてと、じゃフォックス。グレイシア今日はバイト無いからそろそろ夜ご飯の準備しよっか、今日はおひたし、味噌汁、茄子のピリ辛炒めだよ」


 「あ!おいらあのナスのやつ好きだよー!野菜なのに美味しいよねぇ、あ、ミンチ入れてくれる?」


 「結局お肉かい、まぁ豚ミンチ残ってるから入れるけど」


 「やたー!」


 僕はフォックスと一緒に夜ご飯を作っていた。


 「ん?んお?あれ?」


 「どうしたのフォックス?って、グレイシア!?いつのまに帰って来たの!?」


 気がついたらグレイシアがいつのまにか台所の入り口に突っ立ってた。


 「  帰ったから・・・」


 「う、うん・・・おかえり?てかどしたの?いつもお腹空いたから〜って帰って来るのに・・・」


 今は夕方、なんだろグレイシアちょっと顔が赤い?いつも結構白い肌してるけどなんだか赤く見える、熱か?


 「レイ・・・あの」


 なんかグレイシア、いつもの雰囲気違う。


 「は、はい」


 僕はなんだか気圧されて固く返事してしまった。


 






 「結婚したい」


 

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