恋愛不感症の私と、恋愛大好きな妹と、婚約破棄をしたくない王太子殿下の三角関係。
「婚約を破棄してください! 私が婚約をしたいのですの殿下と!」
「いいですわよ」
ええいいですわと頷いた途端、妹がのけぞりました。
「え、お姉さま?」
「もともと家同士で決めたことですし、私は一生涯独身のほうが気楽でいいかなと」
「は?」
舞踏会で王太子殿下が気に入ったという恋愛大好きな妹、彼氏はどれだけの数がいたのか、そして何人と同時に付き合っているのか……。
私はそれさえも知りませんが。
「今の彼氏たちと手を切るならいいですわ。もともと、父上と陛下の口約束でしたし、お母様のロマンスとやらに付き合いきれませんし、あなたでもいいはずですわ」
もともと、陛下と父上は恋敵、母が選んだのは父上、そして娘が生まれたら娘と結婚させるんだという約束で私は王子の婚約者に。
いやなら妹でもいいはずです。
「手を切りますわ!」
「ですか、なら父上に相談してみます」
「……だめだ!」
父上に直談判したら怒らました、母上はなら私が言ってあげると嬉しそうに笑いながら言いました。
いやまああの約束のせいで私が困っているのを知ってましたし、助け舟ですね。
母が陛下に相談すると、姉がダメなら妹でというのは少しと言われてしまったそうです。
はあ、生まれたときに勝手に決めたのはそちらですわ。
殿下がいいというのならいいといわれたので、殿下に直談判すると。
「……いや僕は君が好きだし、妹とかえっこといわれても困る!」
殿下に愛をいまさら告白されてしまいました。でも私は殿下のこともなんとも思ってませんし。
弟みたいだなとは思いますけど、かわいいですしねえ。
「妹のほうが年が釣り合いますわよ」
「そういう問題じゃない!」
殿下は15,私は17です。妹は14歳です。
殿下が生まれたときに妹がいれば、たぶん妹が婚約者でしたわ。
「恋愛というものは一方的なのは駄目ですわ」
「その言葉をそのまま気に返す! 僕は君が好きなんだ。妹のエミリアは好きではない!」
妹に謝るとものすごく怒りましたわ。そしていまにみてみなさい! と言われましたが、捨て台詞は毎回同じですわ妹よ。
「婚約を破棄してほしい、ミーディア」
「……」
数か月後、殿下からこう言われて、うんと頷きかけ、何かおかしいと彼の目をじいっと見てみました。
「殿下?」
「……ミーディア……」
彼の手を握ってみると、殿下がいきなり泣き出しました。私はあまりにも反応がおかしいので魔法医のところに連れて行くと……。
「これは媚薬? 心が抵抗しているのに、いうことを聞かないので抵抗反応をしておかしいことになってますね……」
媚薬というとあのバカ妹……そういえば家にある書物で何やら見ていたようですがあれは禁書ですわよ。
私は魔法医にどうしたら呪いが解けるか? と聞くと。
「愛の接吻ですな」
「はあ?」
「すべての呪いの解呪はそれです」
殿下はずっと泣き続け、そして時折婚約破棄、婚約破棄とうわごとのように言うのを聞いて仕方ないと私は彼の唇に口づけをしました。
愛がないのに効力ありますの?
「……う、ってあれ?」
「解呪できたようですわね」
愛が少しでもないと効力がないと魔法医がいいますけど…まあ元に戻ってよかったですわ。
しかしねえ、媚薬とは、何かお菓子が私の名前で来たので食べたとか言ってますがそれですわ……。
媚薬のことを内緒にしてくれと彼に頼み込みました、さすがにこんなことを妹がしでかしたのがばれたら……陛下とてお許しになりませんわ。家に連座になると、お父様にまで迷惑が掛かります。
「あ、なら僕と婚約を解消するというのはなしにしてね!」
「……わかりましたわ」
なし崩しにうちの婚約はそのままです。そして姿を消したままの妹はそのまま。
さすがに好き勝手されるのはまずいので、私は妹を探し出して、悪さをできないようにしましたわ。
まあ数十年ほど封印をしたってだけですけど。
私の魔法研究の分野は結界、魔物封印ですけど、妹に使うことになるなんて。
あれはたぶんまた変なことをしでかしそうですし。
まああれにかなり薬の実験台にされて鬱憤もたまってましたし……。殿下の心を踏みにじったのは悪かったですし。
にこにこと笑う王子に向かって私はため息を返すしかありませんでした。
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