8,修行⑦
そんな訳で私は毎日毎日家事をし続け、とうとう半年が経ちました。
それほどの長い時間が経っても、まだ師匠に稽古をつけてもらっていません。
そんな私はただいま洗濯物を干しています。
「ねえレイ。
私っていつこのオンボロ小屋から出られると思う?」
草むらに寝っ転がっているレイに尋ねます。
「さあな。
少なくとも、そうやって物干し竿に洗濯物干してる時点でダメなんじゃない?」
イラッ。
「でもさ、これって師匠がやらせたいだけじゃない?
なんで稽古をつけてくれないのかすら言ってくれないし。」
「……。」
無言。
いやなんか言ってくださいよ。
「はあー…。」
レイがため息をつきました。
「そんなに言うんだったら俺が話をつけてやるよ。」
「マジですか⁉︎」
「おう
だからだな…。」
赤面して、咳払いをひとつ。
…?
ピーン!
なるほど!
「今日のご飯はハンバーグですよ。」
ぱぁーっとレイの顔が明るくなりました。
こーゆーのは単純でかわいいんですけどね。
普段が生意気なんですよ。
「早く材料買ってこいよ。」
仏頂面になってしまいました。
そーゆうとこですよ!
「ほら早く行けよ、肉屋のおばちゃんが待ってるぞ?」
レイに急かされて、商店街に出てきました。
「よっ、レインちゃん!
今日はどうだい?
何を作る予定だい?」
「レインちゃん、このお魚はどう?」
「お、君はライラさんのとこの!
今日のおすすめはオレンジだよ!」
この村に来てから半年。
商店街の人たちとも大分馴染むことができました。
肉屋のおばさんと八百屋のおじさんに100リル(1リル=1円くらい)ずつおまけしてもらって、帰路につきました。
穏やかな時間が過ぎていきます。
視線を上げると、真っ赤な夕焼けがありました。