3,修行②
一週間後。
私は自室の姿見の前に立っています。
映っているのはとんでもない美少女…と言いたいところですが、転生したとはいえ現実はそう上手くいきません。
姿見の中にいるのはワインレッドの髪に翡翠色の目をした白い肌の女の子。
前世のようにくせっ毛にならなかっただけマシですが…
あまり私は自分の見た目が好きではないんですよね…
ワガママを言うならば、もう少しふにゃんとしたタレ目が良かったな…と。
おっといけない、ネガティブな考えは私らしくないですよ!
「いつまで支度してるの、出発するわよ!」
下の階から母様の声が。
「今行きます!」
さあ、出発です!
ガタガタガタガタ…
ただいま私、レイン・ポンサールは、馬車に乗って新緑の国に向かっています…
ガタガタガタガタ…
でも、15時間もかかるなんて、聞いてないです!
しかも、この世界にはゲームとかの暇つぶしがないので、なんもやることがないですし…
なんでカメラはあるのに、ゲームがないんでしょうか…?(泣)
ガタガタガタガタ…
いや、まだ暇なのはいいです。
ガタガタガタガタ…
でも…
「うぷっ」
「大丈夫か姉ちゃん⁉︎
ずいぶん青い顔してるじゃないか⁉︎」
御者のおじさんがビニール袋を渡してくれました。
そう、私は馬車酔いをしてしまったのです…
いや、こんなに馬車が揺れるなんて、聞いてないですし…ね?
うぷっ。
あ、そういえばこの世界にもビニール袋があるんですね…