1,前世
頭に映像が流れこんできます。
日本・学生・光希・友人・家族・異世界…
全てが誰か視点です。
ということは誰かの記憶…?
私の記憶でしょうか…?
でもこんな景色見覚えがありません…
そんな時、私の頭に一つの映像が流れこんできました。
他の映像と景色などはさほど変わっていないのに、なぜか目を引き寄せられます。
とりあえず私はそれを見てみることにしました。
誰かと男子が話しています。
男子が本を持って、誰かに目をきらきらさせながら話しかけます。
「この中ではな、冒頭で主人公が死ぬんだ」
誰かは答えます。
「主人公死んじゃいましたけど」
「いや、それからなんだよ」
「死んだ主人公は異世界に転生するんだ」
「転生?」
「ああ
簡単に言うと生まれ変わりだ
主人公は前世の記憶を持ったまま異世界で生まれるんだ」
「ふーん
じゃあ、もしも自分が転生したら何をしたいですか?」
「そりゃもちろん魔王討伐だろ」
「やっぱりハーレムがいいんですか?」
「うん…ってなんでお前は俺が読んでるラノベがハーレム物語って知ってるんだよ!
転生すら知らないくせに!」
誰かはクスクスと笑います。
声からして、女の子でしょうか…?
男の子は顔を赤くして誤魔化すように女の子に聞きます。
「じゃあ、光希は?
ここと違う世界行ったら何がしたい?」
「もちろん写真を撮りたいですね
違う世界だったら旅をしてそこの色んな景色を撮りたいです」
「おお〜!
さすが写真部部長!写真家希望!」
その時私は気付きました。
これは私の記憶だと。
そして、私は……
「転生者!!!」
私の声が部屋に響きました。
視線を動かすと母様が驚いた顔で、飛び起きた私を見ています。
まあ、倒れた娘が起きていきなり意味不明な言葉を叫んだらそうなるでしょう。
「大丈夫?」
母様が私の顔を覗きこんで言いました。
「あなた、スキル判定の結果がショックで倒れちゃったのよ」
確かに、あの状況では、はたから見たらそう見えるでしょう。
「で、これからどうするの?
スキル無しで安定した生活は難しいわよ?」
ショックで倒れた(仮)の娘に遠慮がないですね…
でも、私の答えは決まっています。
そう…!
「私、レイン・ポンサールは、この世界を旅する写真家になります!」
母様に変な目で見られたのはいうまでもありません…