彩りの町でこれからも
あけましておめでとうございます。
所謂お正月ネタです。急いで書いたのでそんなに文量ないです。ごめんなさい。
大晦日の夜。年の瀬迫るその時、あるマンションの一室での事。
男は数日前に大きな仕事を終わらせ一応の休日を謳歌していた。
柄でもなくテレビをつけ、柄でもなく酒の缶を開ける。理由は単にそれっぽいからであり特に理由はない。ただ惰性で受信した電波を消費しているのにすぎない。
彼の休日は基本的にこんなだ。全部明日が来るまでの暇つぶし。刹那的で退廃的な毎日を送っている。
別に彼は生活に困っているわけでも無く、寧ろ大量のお釣りが来ている。けれども彼はこの生活を止める気はないらしく、少なくとも彼が物理的に続けられる内はそうするつもりだ。
ー・ー・ー・ー・ー
男が何も考えずに過ごしていると、遠くの方から鐘の音が聞こえてきた。暫くしない内にマンションの中が騒つく。
どうやら年が明けたらしい。
彼は衝動的に携帯電話を取り出した。電話をかける事にした。彼は電話帳アプリをスクロールし、ある名前をタップする。
それは彼と仕事を共にするハッカーの名前であり、彼の相棒の名前であり、彼を灰色の世界から引き摺り出した者の名前であった。
電話を鳴らしてワンコール。ガチャリと音がした。
彼が話し始める前に、向こう側で女性が話し始めた。
「珍しいじゃん、そっちから掛けて来るなんて。どうしたの?」
「ああいや、あけましておめでとうを言おうと思ってさ」
「へえ意外。そういうの無頓着だと思ってた。今までは適当に文字で済ましてたのに」
実際、彼は今まで大晦日だのなんだのに興味は無かった。周りが何か言ってるからとりあえず合わせている。そんな感覚だった。
「で、それだけなの?」
「ええと……」
「今年もよろしく」
そう"黒金"が言うと、
「こちらこそ」
"火曜"は返事をした。




