第六話 森の奥
ということで、森の奥にやって来ました。
ワイルドドッグの頃は、怖かったけど、今はどうかなぁ?
むむぅ、おっ!あっちになんかいる。いくぞ、きょうだい!!
……
どれどれ?
『種族:オーク 闘級:E』
おぉ、俺と同じ闘級だ。まぁ、例によって、能力平均は俺のほうが高い。
ええっと、こいつ1匹か?
クンクン
うーん?似たような臭いもするが、まぁ、襲ってみるか!
『オマエらは辺りを警戒。あれは俺がやる』
『『『『わかった』』』ぜ』
よしよし、【隠密】状態で、【疾駆】で飛び出す。
背後から襲い掛かり、叫ばれる前に首元に噛みつく。沈黙。
よし!
〈【奇襲】を獲得しました〉
おっ?ええっと
『【奇襲】
【隠密】状態での攻撃成功時、ダメージを増加する。 』
ふむふむ。
さてさて、こいつのお味は?食む。
ん?……んん?豚肉?
『オマエらも食べろー』
『『『『わーい』』』』
1匹だとあっという間に、なくなったな。ん?なんか、見られてる?
どこだ?
あいつか!ワイルドボアが何で、こんなところに?んー?右の牙が折れてんな。あいつ、ワイルドドッグのときに逃した奴じゃないか!あっ、逃げた。むぅ、ま、いいか。
……
『種族:ビッグスライム 闘級:F』
こいつ、何で奥にいるんだ?無視だな、うん。
『種族:トレント 闘級:E』
じぃー、じぃー、じぃー。
ガサゴソ、ガサゴソ
あっ、動いた。まぁ、肉じゃねぇからな。無視だな、うん。
『種族:ハニービー 闘級:F』
【毒攻撃】持ってやがる。回避だ。解毒手段がねぇ。
『種族:ワイルドベア 闘級:E』
なんだ、この熊。蜂蜜濡れ……うん?さっきの蜂のお仲間でも襲ったのか?
『突撃ー!』
「「「「ガウゥ!!」」」」
熊倒したり。もぐもぐ、蜂蜜が結構、いい味してるぜ。
……
熊を食べた後、オークの群れを襲い、巣穴へと帰ったのでした。
そんな生活を続け、数日。
『名称: 性別:雄
種族:ワイルドウルフ・リーダー 闘級:E
レベル:11/20 状態:健常
パラメータ
筋力:260 体力:260 魔力:260 技巧:260 敏捷:260
スキル
特性:【異界の魂】【理の声】【自動翻訳】【能力閲覧権:lv.2】【共鳴】【獣の感覚:lv.5】
戦術:【爪牙術:lv.6】【指揮:lv.5】【咆哮:lv.7】【疾駆:lv.4】【隠密:lv.3】【奇襲:lv.3】
魔術:
耐性:【獣の毛皮:lv.4】
称号:【異界人】【転生者】【群れの長】 』
こんな感じになり、きょうだいたちはレベルをカンストさせ、能力平均110となりました。
……
ここは、転生者のワイルドウルフが住むイジュラの森の近く、人間たちの街、ラユジ。イジュラの森の恵みによって、成り立つ街である。
そんな街の郊外。野卑た声を響かせる一つの建物があった。そこを出入りするのは、武装した人間ばかり。
ここは冒険者ギルドの支部であった。
主に、森の獣や魔物を排除する役割を受け持つラユジのギルドは、お世辞にも品が良いとは言えない者たちばかり。しかし、そんな中にあって、一人、周囲に比べて清潔感を持った男がいた。
「ふむ、スピアディアーの角の納品依頼か、ランクはEと。これにするか」
ここ最近、ふらっとラユジの街を訪れ、メキメキと頭角を現している男は、鋼鉄の剣を腰に下げ、未だ新しい革鎧を身に纏っている。
「クウじゃねぇか!儲けたら、なんか奢ってくれや!」
「俺にもなー」
「俺にもくれー!」
「ははは、まぁ、そのうちな」
慣れた様子で、昼間から管を巻いている中堅冒険者の絡みをあしらう。男は、受付で依頼を受理し、意気揚々と冒険に出掛けて行った。