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婚約者が○○だった

私の婚約者は悪魔だった…?

作者: 天川ゆづき

 初投稿です。設定が甘いと思いますので、あまり深く考えずに読んでいただけたら嬉しいです。

誤字脱字や、読んでいておかしいと感じることがあれば、ご指摘いただけるとありがたいです。


 拙い作品ですが、お楽しみいただけたら幸いです。


 私には、物心ついた頃からすでに婚約者がいた。その婚約者は幼い頃から天使のようだともてはやされていたのだが、成長して立派な青年になった今では、悪魔なのではないかと言われてしまうほどの、凶悪な美貌を持つ有名人になってしまったのだ。


 そんな悪魔のように美しい婚約者を持つ私は、誰もがあの美しい青年の婚約者だと思うはずがないような地味顔なのである。


 …つらい。


 ***


 私、リーリア・ツェベルンと婚約者の出会いは、王宮で開かれたお茶会だった。当時5歳だった私は母に連れられて、きらびやかな王宮に訪れた。私はきらきらな王宮を見て回りたくて仕方なかった。しかし、母がおしゃべりに夢中になってしまい、暇になった私は母の手をふりほどき、お茶会が開かれているホールから出て王宮内の探検に繰り出したのだ。そして綺麗な庭園に誘われるように入っていった。

 そこで出会ったのが、私の婚約者であるレオナード・セリアンタである。私のふたつ年上で、セリアンタ伯爵家の長男。商売の才能で国の経済を支えてきたセリアンタ伯爵家の次期当主である。黒くてつややかな髪には天使の輪が浮かび、透き通るように明るいスカイブルーの瞳はまるで空を映したかのように綺麗だった。そして完璧に整った顔立ち。神様に愛されて生まれてきたんですね。と拝みたくなるような美しさなのだ。心臓に悪い。

 庭園で出会った私たちがどのような話をしたのかは覚えていないが、二人で手を繋いでホールに戻った所を互いの親に確保され、あれよという間に婚約の話が決まったようである。いや、ほんとにどうやって決まったのかな?


 幼い頃は見た目の美しさや醜さなどの概念がなかったが、成長してからはすっかり私は美しい婚約者に対して引け目を感じていた。私は自分の地味な見た目については諦めているが、やはり婚約者の前に立つと、こんなのがあなたの婚約者で申し訳ございませんと平謝りしたい気持ちになってしまう。なので、こんな地味顔婚約者でも人に自慢できるような人間になろうと思い、善行を積んできたのだ。自分で稼いだお金を寄付したり、孤児院から子どもを引き取って我が家の使用人にしたり、街のごみ拾いをしたり、などなど。思いつく限りの良いことをしてきたので、神様どうか美しい婚約者の隣に私がいても罰を与えないでください。婚約者に好きな人が出来た時は、すぐに婚約解消いたしますので!


 なーんて考えていたら、横から私の頬に手をのばす不届き者が。誰だ!と勢い良く顔を向けるとそこには驚いた表情のリカルドがいた。リカルドは私の婚約者であるレオナードの弟だ。レオナードのふたつ年下で私と同学年。人なつっこい性格で、レオナードと明らかに不釣り合いな私にも、未来の家族だと親切にしてくれる。リカルドもレオナード同様整った顔立ちなので、イケメン兄弟羨ましいといつも思ってしまう。我が家の姉妹は、美しさ成分をお姉様に持って行かれてしまったようです。まあ私はお姉様大好きなので、私の分の美しさがお姉様に持って行かれたのだとしたらそれは嬉しいですね!

 リカルドは私が急に顔を向けたものだから、驚いたのだろう。

「うわ、急にこっち向くなよ」

「いやいや、乙女に気安く触れないでくださる?」

「お前のどこが乙女なんだよ!」

 人の顔を見て笑い出すリカルド。君…、私につぶされたいのね?

 リカルドに仕返しをしようと手をあげた瞬間、私の両手は後ろからがしっとつかまれた。

「あれ?」

「何やってるの、リア?」

 後頭部のあたりから降ってくるこの穏やかな声は…。首を回して後ろを見ると、案の定、そこには私の両手をつかむレオナードがいた。

「レオ!いつの間に来ていたの?今日はレオの代わりにリカルドが来たのかと思っていたけど」

「用事が思ったより早く終わったから来たよ」

「そっか。それじゃちょっと待ってて。レオの分のお茶を用意してもらうから」

 私は控えていたメイドに目配せして、お茶の用意をさせた。

 このように私とレオは婚約者として定期的に互いの家を訪れては、お茶を飲みながらくだらないおしゃべりをして過ごしていた。たまにリカルドも加わって。私は楽しい時間を過ごした。この時間をレオも楽しいと思ってくれていたらいいんだけど。優しいレオはいつもにこにこと私の話を聞いてくれるけど、心から楽しいと思えているかはわからない。今度は、レオのしたいことに私が付き合おう。


 私たちはお互い恋愛感情のない婚約者である。幼い頃からともに過ごしてきたため、恋人というよりはきょうだいのような感覚。お互いに知らない人と婚約して結婚するよりは、幼い頃から知る幼なじみとの婚約のほうが良いと思った結果なのだろう。レオも私も他に好きな人がいるわけでもないし、お互いに都合の良い婚約なのだ。あと、レオは見た目で判断されることをとても嫌っている。だから自分の容姿につられ、表面しか見ないような人間のことをとにかく嫌っている。あまり態度に出さないので、知られてはいないが。私は幼い頃から一緒にいて、互いの性格もわかりきっているので、だからこそ、こんな地味女を婚約者としておいてくれているだけなんだなあ。

 とまあこのように恋愛感情はないものの、穏やかな婚約生活を送り早11年。そんなにたってるのか。

 あ、もしもレオに好きな人が出来たならば、潔く身を引く覚悟は出来ているのよ。


 ***


 ある日、私はパーティーに参加していた。王家主催で、王太子殿下の婚約者が決まったお祝いのパーティーである。私はもちろんレオと参加していた。しかし、現在私はひとりで飲み物片手に壁際にたって、壁の花となっていた。レオはセリアンタ伯爵について回って商売相手の人たちに挨拶をしてまわっているところだ。家のお仕事は大切だ。レオは次期当主なのだからなおさら。このような機会を使って顔を覚えてもらうのだ。…そんなことをしなくても、彼は有名人なのだが。えーと、それは置いておいて!

 私はレオにここで待っていてと言われたので、おとなしく待っている訳だが。

 ホールに目を向けると、きらびやかな男女が楽しそうに談笑している姿があちらこちらに見える。様々な色のドレスが花のように咲き誇り、ホールを埋める様は綺麗で私に引け目を感じさせる。今日、私は淡い水色のドレスに身を包み、レオからプレゼントされたアクセサリーで着飾った。地味な顔は我が家のメイドが精一杯綺麗にお化粧をしてくれた。これで少しでもましになっていたら良いのだけれど、私の自分の容姿に対する自信は全くといっていいほどない。メイドの腕を信じていないわけではない。ただ、元が悪すぎるだけなのだ。

 またもやネガティブ思考に陥っていた。いけないいけない。この癖やめたいんだけどな。

 私は気を取り直して、ホールを眺めていた。するとホールの真ん中に人混みをかき分けて歩く老夫人の姿を見つけた。その足取りは少し頼りない。よく見てみると夫人は両手に飲み物を持っており、それをこぼさないように注意しているが故に、あのような頼りない歩き方になってしまっているようだった。

 危ない…と思いながら見ていたが、私は自分の足がその老夫人の元に向かっていることに、夫人が転びそうになったのを受け止めた時にやっと気づいた。

 バシャ!

という音が私の足下で聞こえた気がしたが、今はそれどころではない。

「大丈夫ですか?」

 私が訪ねると夫人は私の腕を支えに立ち上がり、私の顔に目を向けた。

「ええ、あなたのおかげで転ばずにすみましたわ…。ところでそのドレス…、大変なことをしてしまったわ」

 夫人が見つめる先に私も視線をやると、私の水色のドレスには赤ワインのシミが大きく広がっていた。

「助けていただいたのになんてことを…! 弁償するわ」

 夫人が気遣わしげな視線で私を見つめてきたけれど、私はとんでもないと夫人の言葉をやんわりと拒否した。

「あなたにお怪我がなくて幸いでした。私のドレスのことは気にしないでください。このドレスはそろそろしまおうかと思っていたところなのです」

「あら、でも…」

 さらに言葉を続けようとした夫人の言葉を、優しく遮り、私は夫人に別れを告げた。夫人に背を向けてその場を離れた。

 このドレス、本当はレオから贈ってもらったものだったけど、こんなに大きなシミじゃ、そう簡単にはおちそうにない…。まだあまり着ていなかったのだけど仕方ない。

 一度、レオが戻るのを待ってから控え室に行こうと思っていたのだが、私が悶々と考えていた所に、わざわざ近づいてきた集団があった。

「ごきげんよう、リーリア様。また、こりもせずレオナード様といらっしゃったのかしら?」

 不適な笑みを口元に貼り付け、私に話しかけてきたのは、……………えーと、どなただったかしら。とりあえず、レオナードのファンクラブ会員の令嬢達であるということはわかる。

「ごきげんよう、みなさま」

 私は引きつった笑みを浮かべながら、彼女達に挨拶を返した。彼女たちは私の挨拶を無視すると、口元に広げた扇子の影で嬉しそうに微笑みながら、私のドレスのシミに目をつけた。

「あら、リーリア様、そのドレスはどうなさったの?ドレスでワインを飲んでいらっしゃったのかしら?」

 くすくすと嫌な笑い声だ。こういうのはあまり相手をしないほうが良いのだ。私が反応すれば相手の思うつぼなのだから。

 私は感情を表に出さぬように、微笑みを顔にはりつける。

「地味で冴えないあなたにはそのようなドレスがお似合いね!…早くレオナード様の隣から消えていただけないかしら。あなたみたいなのが隣にいたらレオナード様がお可哀相だわ」

 ぎっと私を睨みつける令嬢軍団。私はにこにこと笑みをはりつけたまま。

 はやくどこかに行かないかな。

 私は当たり障りのない返事をしながら、彼女達の話が終わるのを待つ。すると、なんの反応も返さない私に飽きたのか、令嬢の集団はやっと私から離れていった。

 昔からこのようにレオのファンである令嬢達に、お話を聞かされてきたが、やっぱり心苦しい。彼のことをあんなに好きな彼女達に、婚約者の立場を譲れるならば私だって譲りたいが…。レオ曰く、ああいう令嬢達が嫌いらしい。なんてままならない世の中なんだろう。

 私は気分を変えるべく、バルコニーに出ることにした。


 バルコニーの手すりに両手を置き、外を眺めながらぼんやりしていると、突然背後から声をかけられた。

「まーた、なんか言われてたな」

 振り返るとリカルドが近づいてきた。

「リカルド、見てたの」

 私は再び視線を外に向けると、リカルドが隣に立った。

「あんなに言われて何で何も言い返さないんだ?」

「言い返したところで話が長引くだけだから」

「…俺だったら、……を……る…」

「? なんて言ったの」

 リカルドの声が聞き取れなかった私は、彼のほうへ顔を向けた。すると、リカルドの真剣な瞳と目が合う。

「リーリア、俺にしないか?」

「…えっと? それはどういう」

「俺はお前が、リーリアが好きなんだ」

 リカルドの目は、表情は、声は真剣そのもので、冗談を言っている空気ではない。

 私はいきなりの告白に驚きを隠せない。思考が追いつかなくて、頭が混乱する。

「幼い頃から、お前は兄さんの婚約者だった。兄さんと一緒にお前と会ううちに、リーリアのまっすぐで素直で頑張り屋なところとか笑うとかわいいところとかが良いなと思ってて……気づいたら好きだったんだ」

 私は声が発せない。なんと言ったら良いのかわからない。リカルドの視線に熱がこもる。まっすぐ目を向けることができず、私は視線を下にそらしてしまった。

「…リカルドの気持ちは嬉しいけど」

 視線を感じながら、意を決して顔を上げる。

「私はリカルドのこと友達だと思ってるから、気持ちには応えられないよ」

「でも好きなやつはいないんだろ?兄さんのことも好きではないって言ってたよな」

「そうだけど…」

「好きなやつがいないならチャンスはあるはずだろ…!俺のこと好きになったら、俺と婚約して欲しいんだ!」

 私は返事に困ってしまった。こんなに必死なリカルドは初めて見た。彼の気持ちに応えられたら良いのだが、私はリカルドのことを友人以上に想える気がしない。それに婚約者もいるし…。

 婚約の解消にはそれなりの理由が必要になる。例え、婚約者を兄から弟に変えるとしても、そう簡単にはできないはずだ。そして貴族の結婚には、恋愛感情がないことなんてよくある話だ。

 例え私がリカルドを好きだったとしても、そう簡単には解決できる話でもない。

 うーむ、とうなっていると、颯爽とバルコニーにあらわれ私をぐいと引き寄せる人物が。

 あっという間もなく私を引き寄せた人物は、背後から私の腰に腕をまわし、ぎゅっと力を込める。

「兄さん。……今まで言ってなかったけど、俺はリーリアが好きなんだ。俺にリーリアの婚約者の立場を譲って欲しい」

 やっぱり、レオだよね、これ。

 リカルドが兄さんと呼んだので、この人物がレオであると認識する。当のレオは何も言わない。何も言わないレオに、たたみかけるようにリカルドが言葉を続けた。

「兄さんはリーリアのことをどう思っているんだ?好きではないのなら、俺がリーリアの婚約者になってもいいだろう…?」

「リアのことは大切に思っている」

「…それってどういうことだよ?」

「一生をともに過ごすのは、リア以外にいない」

 私は、レオの言葉をゆっくりとかみ砕いていく。

 好きではないにしろ、そのように思ってもらえていたなんて。レオはただ、都合が良いから私を婚約者にしているのだと思ったが、そんなことはなかったらしい。だって私以外にいないなんて。なんだか少しどきどきしてしまう言い方だ。だけど、レオのことだから深い意味はないのだろうが。

「兄さんはリーリアのこと、好きじゃないんだろ…」

 リカルドが私のほうへ手を伸ばす。その手から私を守るように、背後にいたレオが私の前に回り込んできた。

 レオの真意はわからないながらも、リカルドはレオのいつもと違う様子に、これ以上の話は無駄だと察したのか、一言「邪魔して悪かった」とつぶやき、バルコニーからホールへ戻っていった。

 リカルドがいなくなったのを確認すると、レオがくるりと私に向き直った。その顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。なんだかご機嫌…?どういう感情なの?真意がわからず身震いする。

 そして私は気を取り直して、レオにさっきの発言の真意を尋ねた。

「レオ、さっきのリカルドへの言葉の意味は何? 大切に思っているとか、一生ともに過ごすのは私以外いないだとか…。まるで私のことが好きみたいな言い方で、びっくりしたんだけど」

「うん。そういうことだよ」

「…はあ?どういうこと?」

「わからないの?俺はリアが好きってこと」

「……」

 ちょっとレオから発せられた言葉の意味が理解出来ない。待って。

 レオが私を好き……???

 いやいや…

「そんなわけないでしょう!」

 私が大きな声を出したから、レオがスカイブルーの瞳をまんまるにしている。

「リア?」

「だって昔、レオは私のこと好きじゃないって言ってたじゃない!」

 そうなのだ。私が、お互い好きではない婚約者と認識しているのは、過去にレオから直接、私のことは恋愛的な好きではないと聞いていたから。

「だから、そんな嘘を言う必要は……」

 私の言葉はここで途切れた。口をふさがれたら言葉も途切れますよねって、え?

 唇に柔らかな熱を感じたと思ったら、それはすぐに離れた。しかし、それは私の思考を混乱させるには十分すぎるものだった。

 目の前には。満足げに微笑むレオ。

 なんですか、その顔は?悪魔の微笑みですか?私の心臓をとめたいのですか?

 心臓がばくばくして、顔に熱が集まる。

「あ、あくま…」

「ん?」

 にっこり悪魔スマイルで近づいてくるレオの顔。

「これでわかった?」

「へ」

「俺がリアを好きってこと」

 悪魔スマイルで間近から私の顔を覗き込まれ、頭がぐるぐるしていたけど、とにかく考える。レオが嘘を言っていないだろうことは、わかった。けど…

「……いやいやいや、いつから?」

「ん~、さっき気づいた」

 さっき気づいた???

「リカルドに告白されてるリアを見たら、渡したくないって思った。今までずっと妹みたいに思ってたはずだけど、それは思い込みで、俺ずっとリアのこと好きだったみたい」

「な、…な」

「だからさっきリカルドに言ったことは本心。リアが好きだよ。気づくのが遅かったけど」

 うぐ、何を言ったら良いのやら…。何もわかりません!

「リアが俺以外の人と結婚するなんて考えられない」

「あ、あの、……やっぱりそれ、勘違いでは?だって私はこんな地味顔だし、素直とか言われるけどただばかなだけだし…それに」

「リアは地味じゃないよ?ほっとするかわいさだよ。それに見た目だけで人を決めつけないし、昔から人のためになることを率先してやっていたじゃないか」

 ほっとするって…、なんかちょっといい感じに言っただけだよね?見た目で人を判断しないのは、そもそも自分の容姿が地味で、見た目で決めつけられるつらさがわかるからというか。あと、善行を積んでいたのはまあ、そういうことで。

 もやもやしている私の様子にしびれをきらしたのか、レオが私を抱きしめた。

「もう何悩んでるの?リアが俺を好きじゃなくても俺たちは婚約者。もうすぐ結婚して一緒になるんだから、リアが悩んでもどうにもならないよ。今のうちに俺のこと好きになっておけばいいよ」

「うう、たしかにその通りなのかも…。私、レオは高嶺の花すぎて、本気で好きになっても仕方ないからって昔から思ってきたから、今さら好きとか言われても、私はレオのことそんなふうに見てこなかったから、どうしたらいいかわからないんだけど」

 むぎゅむぎゅされながら今の思いを吐き出すと、レオが体を離して私の肩に手を置いて、目線の高さを合わせるようにかかんだ。

「リアは俺のこと嫌いじゃないんでしょ?」

「うん」

「じゃあ、それでいいよ。これから一緒にいて、だんだん好きになってくれたらいいから」

 そう微笑んだレオの笑顔は、今まで見たことがないくらいに温かくて、私は自分の顔に熱がのぼってくるのを感じた。


 それから、私がレオの猛烈なアタックを受けてギブアップするのは、そう遠くない未来のお話。


























 ▽▽▽




 レオナードから告白され、猛アタックされ、すっかりほだされたリーリア。

「レオ~」

「なに、リア?」

 振り向いたレオナードの頬めがけて、小鳥がついばむようなキスを落としたリーリアは、顔を真っ赤にしながらもレオナードに想いを伝える。

「あの、レオが好きです」

 両手で顔を覆おうとしたリーリアの手をつかみ、真っ赤な顔を覗き込んだレオナードの顔はまさに悪魔のようだったと、後にリーリアは語る。

 そして愛おしさが爆発したレオナードにぎゅうぎゅう抱きしめられ、苦しさにギブアップしたリーリアだった。


 そのときのことを振り返るレオナードは、

「あまりのかわいさにリアの息を止めてしまう所だった。はやく結婚してリアともっといちゃいちゃしたい。恥ずかしさに真っ赤になるリアを一人占めして、もっといろんな表情を見たい」

などと述べていたことなど、リーリアは知らないのであった。



 バルコニーを去ったリカルドには、リーリア(とお供のレオナード)があとできっぱりとお断りをしにいったのでしょう。

 ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


※レオナード視点『俺の婚約者が天使だった…!』を投稿しました。

※ブックマーク、評価、誤字報告、感想ありがとうございます!

 感想は貴重な意見として受け止めております。本当にありがたいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 王道のハッピーエンドを読む安心感よ ごちそうさまでした。 [一言] 批判したいわけではないんだけど ないんだけどつっこみたい! こんな地味な私で、とか 高嶺の花、とかって 見た目で判断し…
[一言] レオさんは目障りな令嬢たちの心をちゃんと折っておきな(σ´・ω・)σYO!!
[一言] 自分を認めてもらう前に 婚約者に群がる害虫を駆除しなさい
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