表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/27

[プロローグ]

 重戦士が一人。軽戦士が一人。魔法使いが一人。遊撃手が一人。

 五体のオークと対面していた。オークの身体は倍ほどに大きく、たくましい筋肉に包まれたその姿からは、大きな脅威を感じた。


 一人の戦士が抜剣したのを合図に、他の三人も武器を構えた。四人に臆している様子はないようだ。


 音楽が流れ始めた。低音が身体の芯に響く。身体を動かしたくなってくるような曲調だった。


 オークが、その巨体で突進を始めた。

 魔法使いが杖を掲げた。杖から光がほとばしる。次の瞬間、光る盾が出現し、四人それぞれの身体を一周りして消えた。

 他にも、次々と演出が現れた。何か強化されているかのような印象だった。


 重戦士の視界を、自らの視界に切り替えた。オークとぶつかる直前で、振動を視界と音で感じる。

 先頭のオークの動きを、重戦士が大きな盾で受け止めた。それどころか、獅子の絵が盾から飛び出たかと思ったら、オークを弾き飛ばした。槍の一撃をくり出し、もう一体の動きも止めた。鉄壁だった。


 後方から何本も矢が飛んできた。横殴りの雨のようだ。二体のオークが、たまらず突進を止めた。

 遊撃手の視界に切り替えた。視界中央付近に、軽戦士と重戦士がいる。位置取り的に、横方向には魔法使いもいるのだろう。


 残りの一体のオークが、重戦士の横を駆け抜けようとした。しかし、軽戦士が立ち塞がる。

 長剣が振られた。一振りするだけで斬撃が二回も三回も、オークに浴びせられる。斬りまくっているので、剣撃の嵐のようになっていた。


 すぐ近くでは、重戦士が四体のオークを足止めしていた。火球の援護が飛んでも来る。

 遊撃手が、弓につがえた矢に光をまとわせていた。輝きが段々と増していく。狙いは軽戦士と対峙しているオークだった。無造作に矢が放たれた。

 一際太い光の矢がオークを射ぬいた。よろけるオークを前に、軽戦士が力を溜めた。長剣が光り輝く。勢いよく斬りつけた。オークが吹き飛び転がり倒れた。

 かっこいい。


 魔法使いの方向がかなり明るくなってきた。遊撃手の視界を解除し、見渡せる視界に戻した。魔法使いが大きな火球を生成している。一抱え程の大きさ。

 魔法使いが腕を前方へ振ると、燃え盛る大きな火球が、オーク目掛けて飛んでいった。

 一体のオークへ直撃した。火球が爆裂すると、オークが激しく燃え上がり倒れた。とんでもない火力だ。


 残り三体。


 軽戦士がオークの攻撃をかろうじて受け止めたが、大きく吹き飛ばされた。遊撃手が受け支えた。その遊撃手の矢筒は空になっている。全て射ちきったのか。

 次々と襲いかかるオークの斧撃を、重戦士が盾で防いだ。軽戦士と違い、重戦士はビクともしていない。


 オークの一体が、重戦士を遠回りしようとした。すかさず重戦士が槍を持つ拳を向ける。拳から光が伸び、オークを引き戻した。待っていたかのように、火球が飛んできて爆裂した。引き戻されたばかりのオークが燃え倒れる。

 魔法使いが膝を地についた。疲れたのか、身体を重そうにしていた。


 残り二体。


 重戦士の頭上を、遊撃手が飛び越えた。虚をつかれたオークの肩にひらりと降り立つと、首筋に短剣を突き立てた。もう一体のオークが襲いかかってくる。足で押し込むようにして、さらに深く短剣を突き刺しながら、オークの攻撃を跳び避けた。軽業的な動きだが、やすやすとこなしているように見えた。

 程なくして、首筋を刺されたオークが倒れた。


 残り一体。


 軽戦士と遊撃手が、残った一体を挟み撃ちにした。牽制し動きを封じている。

 重戦士はどこへ行ったのか。視界を合わせた。少し離れた位置で、オークを見据えている。

 重戦士が槍と盾を構えた。一歩。二歩。前進する。次第に加速していった。重戦士の加速を、青い風が後ろに流れて演出した。

 重戦士が無防備なオークの側面へ、勢いそのままに突進した。歪むオークの巨体。次には吹き飛んでいった。二転、三転と転がり、動かなくなった。凄まじい一撃だった。


 重戦士に合わせていた視界化が、強制で解除された。戦いを終えた四人が、カメラ目線でポーズをとる。丁度音楽が終わり、視界中央にロールクエストを宣伝する文字が現れた。

 この世界を助けてくれ。冒険者募集中!

 プロモーション映像はそこで終わった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ