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穴埋め

「じゃあ、そろそろ帰りましょう」彼女はファミレスから出るや否やそう言った。

「うん、それじゃあ」僕も家の方へ歩き出した。



僕たちはあの後、5日後の大穴の出現場所で再び会うことを約束した。彼女には何かしらの作戦があるらしい。

大穴はどうして発生したのだろうか。非科学的なものは神か呪いかと相場が決まっているものだが、大穴のルーツについては全くわからないらしい。

僕は大穴は一旦忘れ、明日からの中間テストに意識を向けた。



五日間はあっという間に経った。僕とインドかフィリピン顔の彼女は近くの駅で落ち合うことになっている。

「やあ」僕はベージュのコートに身を包む彼女を見つけ、声をかけた。

何だか恋人みたいだと思った。僕は彼女ができたことがないが、想像でものを言った。

彼女は軽く手を上げ、「着いて来て」とだけ言うと、さっさと歩き出してしまう。

僕はため息をつき、小走りで追った。


大穴の出現場所は人気のない空き地だった。硬い土の質のせいか、雑草はまばらに生えていた。

「文献によればこの辺りで大穴は現れるはずよ」

古い資料なだけあって、ぴったり正確な位置は特定できない。僕たちは大穴が現れる時間を待った。

やがて、ゴゴゴゴと唸るような地鳴りが起きて、僕たちはその方向へ向かった。

「ねえ、こんな話を知ってる?」

フィリピンかインド顔の彼女は唐突に語り出す。

「古来日本では建造物を立てるとき、災害や敵襲が起きないようにするある慣習があったの」

「なんの話?」

「そして大穴もある意味災害と言える。さらに決定的なことに、12世紀の最後の大穴出現は日本だった。これはその習慣が大穴を止めたと推測するに十分な根拠」

僕たちはとうとう大穴の前に辿り着いた。彼女が僕の方に歩み寄ってくる。僕は思わず後ずさりした。

「その慣習というのは、人柱よ」

そう言うと同時、彼女はまるで野生の虎のように僕に飛びかかって来た。

「貴方には犠牲になってもらう!」

彼女の手が僕の首元に届こうとするーーー


「読んでたぜ!」

瞬間、僕は半身になり勢いをそのまま利用して地面に彼女を叩きつけた。

「なっ!!」

僕はすかさずうつ伏せの彼女に馬乗りになり拘束した。

「……気づいていたのね!一体いつから……」

「ふっ……。最初におかしいと思ったのはあんたが、一人で大穴という大問題を調べていたことだ。普通は国、それどころか世界が協力して調査をするはずだろ?それに、発生場所がわかっていながら周囲を封鎖したりしない時点で、大穴の被害を食い止めようという気概が感じられない」

僕は早口でそう言った。気分はさながら名探偵だ。

「……降参ね。さあ、警察なりなんなり勝手に連れて行けば?」

彼女はすっかり抵抗をやめ、諦めきったような顔で脱力していた。

「1つだけ聞かせてくれ。なぜあんたはわざわざこんな回りくどいことをしてまで俺を落とそうとしたんだ?」

「ふん、人柱のついでに、男という存在を抹消したかったのよ。知ってるかしら?インドは性犯罪の温床。道を歩けばレイプされる。そんなこと、許せるはずないでしょう!?」

彼女は怒りのあまり泣き出してしまった。そうか、彼女はインド系だったのか。僕もインドでの酷い事件はよく耳にする。しかし、彼女に僕は伝えなければならない。

「あんたの想い、理解できるよ。でも、その方法は全く無意味だと思う」

「……どういうこと?」

「過去に人柱で大穴が消えたのなら、そしてその人柱の性別が消えるのなら、かつて人間は性別が3つあったことになる。そんなことは他の生物の性別が2つという時点でありえないんだ」

「そんな……それじゃ、それじゃあどうすれば!!」

僕はとびきりのキメ顔でこういった。

「大穴のことも、性犯罪のことも、これから解決策を探せばいいさ。君も僕もまだ若い。きっと見つけられる。そうだろ?」

「うわーーーーん」

僕は名前も知らないインド顔の彼女に胸を貸した。

どうやらこれから、忙しくなりそうだ。

なんかもう収拾付かなくなってた感ある

次回作にご期待ください

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