お互いソロ
そろそろどちらかのルートに分岐(?)させないといけません。
キーッ。
「?」
ある日。休日にショッピングモールへ向かうべく一人でぽてぽて歩いていると、ようやく敷地に面した歩道に差し掛かったところで一台のスクーターが僕のすぐ前の路肩に停まった。
「━━こんな所で奇遇ですね」
と、ヘルメットのバイザーを上げて声を掛けてきたのは意外過ぎる人物だった。
「……………………………………優季ちゃん!?」
「こんにちわ、先輩」
にっこりと、最近お馴染みとなりつつある後輩が笑顔を浮かべた。
「それにしても先輩、あたしと気付くまでにずいぶん間がありましたね?」
「いや~~どこの原付少年が声を掛けてきたのかと」
ショッピングモールを優季ちゃんと並んで歩く。半分は成り行きなんだけど、まあ目的地が一緒なので。
「相変わらず失礼ですね、と言いたいんですが……今日の格好なら仕方がないかな?」
そう言いつつ自分の姿を確認する。その優季ちゃんのコーディネートは、スニーカーとスリムジーンズにデニムのジャケットと、ボーイッシュと言うよりまんま少年の格好だ。……まあ、袖が余っていてちょこんと手を出しているのが可愛らしいと言えなくもないが。
「いやそれより、バイクの免許とスクーターを持っているのが意外で。この前に家にお邪魔した時には気付かなかったし」
「まあ普段はガレージに車と一緒に仕舞ってありますから。一応は通学の許可も取ってますけど、滅多に使いませんので」
うちの学園は基本バイク通学は禁止されているが、一部例外もある。自宅との距離が遠いなど━━あれ?でも優季ちゃんの家ってそんなに遠くなかったような?
「それで先輩」
「お?」
何か優季ちゃんが勢い込んで人差し指を僕の目の前に立てた。
「いい機会ですから今日こそはきちんと女の子扱いしてもらいます」
「いやいやこの間しっかり物的証拠を━━」
「それ以上言ったら鷹子ちゃんを呼びます」
「理不尽だ!」
そこで顔を赤らめるのは十分女の子してると思うんだけど。