主人公は見た!
やっぱり愛美の扱いがちとアレです。彼女メインの話を書く前に(そもそも最初の原案はこの娘の話として考えたハズなのに)お笑いキャラとして定着しないか心配です(; ̄ー ̄A。
コンコン。
「優季?センパイが来てるのだけど」
「━━どうぞ」
「お邪魔しまーす」
扉を抜けると、そこは。
「フツーの部屋だった」
まず、それが第一印象。意外にシンプルだった。ま、色々片付けたのかもしれないが。
「いったい何を期待してたんですか?変輩」
「うむ、まずまず元気そうでなにより。で、実際の具合はどうかな」
「普通はそれを真っ先に聞くんですが……まだちょっと熱があるくらいです。あ、立ち話も何ですから適当にくつろいで下さい」
ベッドの上で半身を起こす優季ちゃんは少し気だるげで妙に艶かしく見える。淡いピンクの可愛らしいパジャマのせいかな?
「そうか。まあ、長居はする気は無いから。そもそも僕は鷹子に拉致されただけだしね。━━コラコラそこのポニテ娘。目を逸らさないの」
「あー…………もしかしなくても対お父さん用の盾代わりに呼ばれたんですね?まあ、気持ちは分からなくもないけど」
「……面目次第もございません。ボクも悪気は全く無いとは理屈では分かっているんだけど、どうにも慣れなくて」
あらま、鷹子がなんか凹んでしまった。
「ところでこの部屋がもちろん優季ちゃんの部屋なんだよな?フリフリだらけとは思ってはいなかったけど、わりとこざっぱりしてるね」
「ご期待に添えなくて残念ですけど、元からあんまり女の子らしくない部屋ですから。それと、だからといってあんまりキョロキョロ見ないでくださいね?」
「まあ、どこに何を隠したかは聞くまい」
「うぐっ……お心遣いありがとうございます」
「あ、心遣いと言えば」
鷹子が手をポンと打った。
「何?鷹子ちゃん?」
「ボクだけ二階に上がって片付けを手伝うように言ってくれたのって、センパイなんだ」
「そうなの?」
「うん。病人が動き回るものじゃないとか言って」
「ふうん?」
「なんだよその意味あり気な視線は」
少し照れるだろうが。
「先輩って━━」
「先輩って?」
「気遣いのできる人だったんですね」
「よし、鷹子。ガサ入れ開始だ」
「わ~~~~っ!冗談です!冗談ですから先輩!」
何て事を言いますか、このちっこい後輩は。
「うーん……」
何やら鷹子が首を傾げている。
「鷹子ちゃん?どうしたの?」
「優季とセンパイって、いつの間にか仲良くなってない?」
なんですと??
「え?うーん、まあ……面白い先輩ではあるけど」
ちゃっちゃちゃーん♪♪
「藤間真一はただの先輩から愉快な先輩へとレベルアップした!」
「……先輩のこーゆー照れ隠しはちょっとカワイイかな」
「ぐっ」
やるなちっこい後輩略して「ちっ輩」。思わず視線を逸らしてしまったでは━━あれ?ベッドの下に……。
「何か落ちてるぞ?」
言ってから気付いたが、これフラグじゃね?
そして紐みたいな物を引っ張ると。
「ありゃ」
『『!?』』
2つの丸いカップ状の布が繋がっていて、端にフックが付いていてストライプ柄の。━━うん、まあこれは所謂アレだよね?
僕は右を見て、左を見て━━あった。
立ち上がって、洗濯かごと思われる入れ物へと向かい、掛けてあったタオルをちょいとめくって━━その際に何か白い『ただの布切れ』が見えた気がするが無かった事にする━━アレを中に入れ、タオルを掛け直して。
後は元の位置に戻り、どっかと胡座をかいて座る。
「これで良━━」
『いいわけあるか!!』
枕が顔面に飛んできた。