デートしよう!(2)
天気は快晴。そよ風が吹く絶好のデート日より。
そう、今日は優季ちゃんとのデートの日なのだ!喜べ僕!!緊張なんかしている場合じゃないぞ。
さて、待ち合わせは駅前の国民的人気キャラの石像があるショッピング街の入り口辺りに10時なのだが、現在は9時30分。万が一にも遅れる訳にはいかないので余裕を持って到着するのは当然なのでてくてく歩いて目的地に向かうと、丁度向かいからどこかで見た事がある服装の女の子がゆっくりと歩いてきた。すると向こうもこっちに気づいたらしく、お互いにやや早足で歩み寄る。
「や、待ったかい?」
「ううん、今来たところ」
「まんまだな」
「そうですね。でも言いたかったんでしょう?」
「バレたか」
クスクスと笑いあう。
「それにしてもだ」
「はい?」
「やっぱり似合っているよ、その服」
優季ちゃんの格好は薄いブルーのノースリーブのワンピースにリボンの付いた麦わら帽子と、この間ショッピングモールで買った服装だった。そして小型のナップザックを背負っていた。
「ありがとうございます。真一先輩もなかなか似合ってますよ」
対して僕はブルーとホワイトのストライプのシャツにデニムという組み合わせだ。それから僕もナップザックを背負っている。
「ありがと」
少し照れがあって僕はそれだけを言った。
「それじゃちょっと早いですけど、行きましょうか真一先輩」
「ああ」
こうしてデートは始まった。
予定より少し早くなったので僕らはコーヒーショップで時間を潰す事にした。
チョイスしたのは僕がコーヒーフロートで優季ちゃんがストロベリーフラペチーノ。テンションが上がっていたのかノリでカップをぶつけ合い乾杯をしたりしていた。うん、なかなかバカップルぽいけどそこは気にしない事にする。
優季ちゃんはクリームをすくっては口に運ぶ度に顔を綻ばせていた。
「優季ちゃんって甘いものが好きなのかい?」
「好きですけど分かりますか?」
「そりゃそんな幸せそうな顔で食べてればね」
「あはは、恥ずかしいからあまり見ないで下さいね」
照れくさそうに笑う優季ちゃんは可愛らしかった。
「これでも中学の時はーー」
ふと優季ちゃんの言葉が途切れた。
「うん?」
「……中学の時はこういう物は一切食べなかったんですよね。余計なカロリーを摂りたくなくて」
「ストイックだったんだ」
「だから高校生になって鷹子ちゃんに初めてこういうお店に連れられて食べたスイーツはちょっとしたカルチャーショックでした」
「そこまで!?まじか……」
「お恥ずかしながらまじです」
と、今度は苦笑のような笑みを浮かべる優季ちゃんだった。
「真一先輩は甘味はどうなんですか?」
「僕は嫌いじゃないよ。わざわざ食べに行く様なことは流石にしないけどね。あれば食べるし無ければ食べない、って感じかな」
「なるほどなるほど」
そう言いながら優季ちゃんはスマホを取り出してポチポチ打ち込み始めた。
「何を書いているの?」
「『真一先輩完全攻略メモ』です。甘いものはOK、と」
「何じゃそりゃ」
思わずツッコミを入れてしまったが優季ちゃんは真面目な顔でしばらく入力していた。いったい他に何を書かれているのやら。
ともあれ、そこからは他愛もない話に花を咲かせて時間を潰した。




