デートしよう!(1)
復帰したばかりで文章たぶんメチャクチャです。
「デートをしよう」
「あらら~」「んぐっ!」「ぶほっ」
突然の僕の発言に皆は三者三葉の反応を示した。
今は昼休み中の校舎の屋上のベンチに並んで、僕と愛美、それから優季ちゃんと鷹子とでお昼ごはんを食べている最中である。
「……ていうか信一、まだデートしてなかったの?」
愛美ははえーという感じの表情で小首を傾げる。
その反対側では弁当のおかずを喉に詰まらせたのかケホケホしている優季ちゃんの背中を擦りながら鷹子がパックの牛乳を差し出していた。
「けほっ、いきなりですね信一先輩」
最近名前付きの先輩呼びになった優季ちゃんが少し恨めしそうな上目遣いで僕を見た。
「いや、実際の所してないじゃない?デート」
「言われてみれば確かにした事が無いですね」
「だろ?」
鷹揚に頷く僕にうーんと考え込む優季ちゃん。
「信一先輩とデート…………」
「何か問題が有るのかい?」
「問題が有るというか、何だか普通に想像が出来なくて」
「え――……」
「何か変な所へ連れて行かれそうで」
「ひどっ!変な所って何処だよ!」
「先輩の事だから異次元とか異世界とか」
「予想の斜め上過ぎる!!」
思わずツッコミを入れてしまった。
「まあそれは冗談ですけど」
「だよね、冗談だよね!?」
「てへっ」
ペロッと舌を出す優季ちゃん。いやそれはそれで可愛いけどね?
「コホン……とにかくだ、ここいらでもう少し恋人らしいイベントの一つくらいあっても良いんじゃないかと思って」
「それはそうですね。誘ってくれるのはあたしも嬉しいですし」
「だろ?」
へへへと少し照れくさそうに笑う優季ちゃん。
「センパイと優季がデート……」
そして自分の事の様に顔を赤らめている鷹子。因みに男子に虚勢を張るのを止めてすっかり本来の大人しい素の性格に落ち着いた鷹子は髪型もポニーテイルではなくハーフアップに変えて、見た目からして何処かのお嬢さまの様に変貌していた。
「そう、僕と優季ちゃんの初デートーー」
「あたし(デートするの)初めてじゃないですよ?」
優季ちゃんの一言でその場が一瞬にして凍りついた。
「え?……え??何だって??」
「だから、あたしは真一先輩とのデート(予定)が初めてじゃないって言ってます」
「まぢか……」
心臓の鼓動がうるさく鳴っているのを無視して助けを求めるように鷹子を見たが、彼女は何も知らないというようにぶんぶんと首を激しく振っていた。
「ゆ……優季ちゃん。また冗談だよね?」
「いいえ、もう何回か行った事がありますよ?」
「Oh…………」
いや落ち着け僕。優季ちゃんほど可愛かったらデートの相手くらい居た事があったっておかしくはーー。あれでも昔の優季ちゃんは陸上一筋でそんな相手なんて居そうも無いようなあうあう。
「ぷっ……」
急に優季ちゃんが堪えきれないといった感じで吹き出した。
「??」
「なんて顔をしているんですか真一先輩。確かにデートには行ってましたよ、鷹子ちゃんと!!」
と言いつつ鷹子にしがみついた。
「わ、わ、優季、お弁当が落ちちゃう」
「……そんな事だろうと思ったよ」
内心の動揺を悟られない様に僕は落ち着いた声で言った。
「そう言いつつも本心はだいぶ動揺していたよね真一~~」
「愛美、わざわざ口に出して言うものではない」
「あははすいません。でも鷹子ちゃんとお出かけするのは楽しかったしあれはやっぱりデートでしたよ。ね、鷹子ちゃん」
「あ、うん。ボク――私も優季みたいな可愛らしい子と出かけるのは楽しかったかな」
そこからは二人はあれが良かった、それが美味しかった等お弁当をつつきながら盛り上がってしまい、危うく本来の目的であるデートの約束を取り付け損なう所だったのである。
書くのが苦しい状態は続いていますが、このお話は何とか完結させたいです。




