互いの真実━━鷹子
続きます。イヤ、ホントに続きます!長らくスイマセンデシタ…(--;)。
もう何度目になるかも分からない、やけに縁のある保健室。僕らはそこに覚悟を決めて中へと入った。
「……真一。その格好何?」
「ぅおぃ」
僕らの覚悟を返せ。━━てか空気読めポンコツ愛美。
「いやだって……ねえ?鷹子ちゃん?」
「ええと、ボクに振られても……」
「…………(赤)」
見ろ、優季ちゃんが申し訳なさそうに俯いてしまったではないか。上半身ジャージのどこが悪い。
実は、僕のシャツは思い切り泣いた優季ちゃんの涙と……によってひどい状態になってしまったのだ。
「とにかく!細かい事は気にする……な?」
「?━━どうしました、センパイ?」
「……鷹子だよな?」
「??……はい、ボクですけど……」
ベッドで半身を起こし、いつものポニーテールも解いて少し不安げに身を縮こませるこの美人が……鷹子?
「━━ふんっ」
「げふっ!」
突然横から肘鉄を喰らった。
「あ、すいません先輩。なんだかボーッとしていたのでつい」
「今『ふんっ』とか気合い入れてなかった!?」
しかもしっかり両手を組んでいたように見えましたが!
「ほらほら、じゃれてないで二人ともこっちにおいで。みんなでお話しするんでしょ?」
ひらひらと手を振る愛美がちと憎たらしいが、とにかく優季ちゃんと並んでベッド脇の椅子に座った。
「さて……この愛美さんが色々と鷹子ちゃんにお話を伺いまして」
むう……愛美のくせに腰に手を当てて偉そうな。
「まあ、ざっくり言うと鷹子ちゃんって男の人が苦手なんだって」
「ざっくり過ぎだろ!」
「でもそこが大事なところでしょ?」
「む……」
「そしてたぶんここにいる皆がそれを知ってて知らんぷりしてた」
「…………」
よもや愛美に返す言葉も無いような日が来ようとは。
「━━愛美先輩」
「なに?鷹子ちゃん」
「後はボクから話します」
そう言って、鷹子はぽつぽつと自分の事を語った。本当は昔から男子が怖かった事。それでも子供の頃から背が高く、生まれつき腕力が強かったせいもあり、自然と他の女子から頼りにされてしまった事。
「そして……自分の事を『ボク』と呼ぶようになった頃には、もうこんな態度しか取れなくなってしまって。だから━━」
「そのノリで出会い頭に僕をぶっ飛ばしたのだな」
「……すいません」
「あ、いや。ちと懐かしく思い出しただけだから」
鷹子に自業自得、みたいな言葉を言わせたくなかったのだが……。今の鷹子にはそれすら通じない。━━いや。こっちが本来の鷹子なのか。
「そうですね、一度ボクがある男子を『うっかり』本当に絞め落としてしまってからは、あまり表立って向かってくる男子も減りましたのでつい……」
「なるほど…………え?」
『うっかり』で普通絞め落とすものですか?
「あ、センパイにはこれでも手加減していました」
「まぢ??」
「すいません……」
今度はさっきと違う、少し恥ずかしそうな『すいません』だった。




