再びの保健室
「落ち着いた?鷹子ちゃん」
「はい……。ありがとうございます、愛美センパイ」
再び四人が揃った保健室。違うのは、今ベッドに寝かされているのが鷹子だというだけ。
愛美に手を握られ、少し腫れぼったくなった眼をした鷹子は、いつものポニーテールもほどかれてまるで別人のように弱々しく見えた。
ここの保険医は、ケガや病気ではない事を告げられると気を利かせて「何かあったら職員室までこい」と言って席を外してくれた。
結局何があったんだろう?
愛美たちよりやや遅れて保健室に着いた僕と優季ちゃんがなぜか少しの間入口で待たされたのが気になるが……それよりも、だ。
鷹子には申し訳ないが、もっと気になるのは優季ちゃんの様子だ。教室から彼女を文字通り持ち出してからはおとなしく手を引かれるままに保健室まで着いてきてくれた。━━のはいいが、これではおとなしいと言うよりは完全に沈黙してしまったと言うべきだろう。
なにより、さっきとは打って変わってまるで生気の無い沈んだ眼をしているのが心配だった。
「真一」
「なんだ?」
「鷹子ちゃんには私が付き添っているから、優季ちゃんから話を聞いてきてくれる?何がどうなったのか気になるでしょ?」
「そりゃ、ね。でも……」
「鷹子ちゃんの前では話しにくい部分もあるから。ね?」
「……分かった。優季ちゃん、いつもの中庭に行かないか?」
「あ……えっと……」
不安な表情を浮かべて僕と鷹子との間で視線をさ迷わせる。鷹子のそばを離れてよいものかと考えているのだろう。
「大丈夫。真一ならちゃんと話を聞いてくれるから」
「…………はい。それじゃ鷹子ちゃん、すぐに戻るからね」
「うん……」
小さく手を降る鷹子に笑顔を向けて優季ちゃんが立ち上がった。それは出会った頃からもほど遠い、無理に作られた笑顔に見えた。




