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未知との遭遇……?

「とうっ!!」


「グギャギャッ!!」


「ふっ、またつまらぬものを斬ってしまった」



 俺は現れたゴブリンを切り捨て一人恰好をつける。

 ここに至るまでに、結構な数のゴブリンが出てきた。


 闇夜の黒騎士となって任務に臨む事にした俺は、中古の剣を持っていたら恰好悪いだろうと思って宿屋においてきた。

 もちろん、素手でも問題ないからだ。

 いざとなったら、魔法もあるし。


 と思ってウルク山に入って順調に上っていたのだが、山の中腹に入ったくらいからゴブリンが現れ始めた。


 まぁゴブリン自体は弱いので特に問題がないけど、最初にゴブリンに遭遇した時にふと気づいた事があった。


 素手で倒したら返り血を浴びる。


 現在お金の少ない俺にとって服代というのは死活問題だ。

 しかも、この闇夜の黒騎士の衣装は一点物。

 汚す訳にはいかない。


 そこで俺は魔法を使って倒す事にした。

 そして、俺は魔王らしい……いや、闇夜の黒騎士らしい闇魔法(闇魔法しか使えない訳ではない)で、ゴブリンを倒していたのだが、厨二モードの俺には物足りない。


 と、いう事で倒したゴブリンの持っていたものの中でマシそうなロングソードを持ち応戦する事にしたのだ。


 ちなみに、ちゃんと身体能力の生かし、高速で斬り抜け、血を浴びないようにしている。


「闇夜の黒騎士の前に出たのが運の尽きだ。せめて、安らかに眠れ」


 俺は誰もいない中、そう呟き歩き出す。


 しばらく歩くと、前方が開け、頂上らしき場所が見えてくる。

 俺は少し歩を早め、その場所に向かった。


「これは……」


 頂上の場所は見るからに草木がなかった。

 そう言えば、クレイは光明草の価値が上がったと言っていたし、チャンスだと思った冒険者が依頼を受けずに採取にした光明草を直接売りに行ったりしたのだろう。

 光明草を取った後だろう、草はまばらになり、パッと見で光明草らしきものは見当たらない。


 ……どうする?


「……我が闇夜の黒騎士に不可能はない!!」


 そう、今の俺には不可能はない。

 必ず探してみせる!


 そして、俺は頂上のあたり一帯を探し回る。


 でも、ない……ない……ない……ないっ!!

 どこを探しても見つからない!!


 ちなみに、俺が光明草の特徴を知らないから見つけられていないという訳ではない。

 ちゃんと依頼を受けた時にその辺はクレイに聞いてきている。


 光明草は、白い星形の花を咲かせ、葉から淡い光を放っているからすぐに分かるらしい。

 しかし、それに該当するものが見当たらない。


「くそ、こんなに乱獲しやがって……」


 少し焦ってきた俺は周りに誰もいないのもあり、厨二モードが解除され、普通に戻っている。

 幸いな事に、今回は闇夜の黒騎士になって人前で厨二発言していないからダメージは少いので助かった。


「ここにないなら、来た道の反対側に行ってみるか」


 頂上付近を探し終えた俺は、来た道と反対側に行ってみる事にした。


「こっちもないか……」


 反対側の道へしばらく歩くと、ところどころに抜いたような跡は見えるけど、草の量は増えた。

 これなら見つかるかもしれないと思ったけど、見事に光明草はない。


 それでも俺は歩きながら探す。

 そうしているうちに、辺りは暗くなってきた。



「マジかよ……」



 それでも俺は諦める事をせず、暗くなった道を歩いていく。

 宿屋のチェックアウトは明日の昼前。

 まだ時間がある。


 そうしてあどれだけ歩いて探しただろうか、急に視界が開け、目の前に崖が出現した。


「くそっ……」


 俺はそれを見て悔しさのあまり呟く。

 初めて受けた依頼を失敗……きっと依頼を受けた事は依頼主に伝わっているだろうし、きっと子供達も期待しているだろう。

 俺は子供達の期待を裏切る事になるのか……。


 俺はそう思うと何とも言えない気持ちになり、悔しくなり、崖を睨み付けるようにして崖下を見る。


「あれは……」


 すると、崖の途中で淡く光っているところがある。

 はっきりと何かが見える訳じゃないから、きっと窪んでいるところか何かの場所に何かあるんだろう。


「何が光っているのか分からないけど、これにかけるしかない!!」


 普通ならビビるところだけど、いざとなったら風魔法をうまく使えば、空を飛ぶことはできないけど、なんとかなるはずだと思う。

 まぁ魔力でゴリ押しすれば死なないだろう。


 それに、身体能力も高いから滅多な事では落ちないだろうし。


 と、そうこうしているうちに俺は無事に淡い光のところにたどり着いた。

 そこは、やっぱり窪地になっていて、俺は落ちないように降り立つ。


「よっしゃ! 光明草だった!!」


 俺がちょうど降り立った先の足元に俺の探し求めていたそれはあった。

 そして、俺はそれをそっと摘み取ろうとする。

 

「さて、これで依頼は達成できるな。あとは速く帰るだけ……か……?」


 俺が言葉を口にしながら光明草を摘もうとすると、何やら奥から気配を感じ顔を上げると、そこにいた何かと目があった。


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